読書感想文『カルデアの事件簿 file.02』 感想(ネタバレ)
今回も面白かったです。ただ全体的に『ミステリー風味』という感じが強いので、本格的なミステリーが好きな人にとっては物足りない部分もあるかもしれません。
とはいえ、きちんと作品の中に『謎』が置いてあるので、最初から最後まで『興味』を持ちながら読むことができました。
でわでわ、一話ずつ感想を書いていきましょう。
もちろんネタバレなので、いつも通りご注意を。
<鎌切村忌譚>
作者様が『シナリオライター』なので、このシナリオをそのままゲームに流用できるほど完成度が高い作品です。
『FGO』というゲームを上手く小説に落としていますね。周回周回!
もしかすると将来的に『FGO』のシナリオを書く機会もあるかもしれません。
ただ『マスター』の一人称が『自分』になっていたことだけは気になりました。 まあ、プレイヤーの数だけ『マスター像』があるので、特に問題はないでしょう。
戦闘シーンも良かったです。
『刑部姫』の宝具も活躍してましたし。
ゲームだと地味だけど、小説にすると頼もしい宝具ってけっこうありそうですね。
そういうのを活字で読むのも楽しかったです。
<ロンドン黒死病事件>
今読むとタイムリー過ぎて困りましたが、書いてある内容はきちんとした『医療もの』であり、多くの作品で『テーマ』として扱われる王道でもあります。
ミステリ要素としては『動機』が中心の作品。
そこが判明すればパズルが解けるように作られています。
三作品の中では一番ミステリーとして堅実に作られていますね。
その分、サーヴァントの戦闘シーンとかは無かったです。
まあ、この手の『テーマ』に答えは無いと言いますか、遥か未来の可能性まで考えると今を生きる人間に出せる答えでは無いわけです。
ただ未来に生きている人間は『過去の過ち』を容易く断罪することができます。
でも、それは断罪できるだけで、彼らが過去を変えられるわけではありません。
我々にできることは『過去の過ち』から学ぶこと。
同じ失敗を『もう二度と繰り返さない』こと。
それが地獄の中で戦った先人たちに対する唯一の敬意だからです。
未来が見えない中で抗った人々から受け取れるモノだからです。
もっとも、それを理解していてもできないのが人間なのですが、できないからと言って諦める理由にはならないわけですよ。
できることをやる。
未来は分からないのだから助けられる命を助けていくしかありません。
我々は神では無いのですから、生かすべき命など分からないのです。
<密室遊郭>
サーヴァントの『真名当て』に焦点を当てた作品。
イラストに罠が仕掛けてあるところがミステリーって感じですね。
ミステリーってこういうことやるよね。
嫌な奴だぜ(笑)
遊郭を舞台にしていますが全体的にライトな雰囲気で、他の二作品よりも気軽にサーヴァントとの掛け合いなどを楽しむことができます。他の二作品が重めなのでこの気軽さがちょうどいい感じでした。
ただこの作品を最後に掲載しない方が良かったかもしれません。
『鎌切村忌譚』『密室遊郭』『ロンドン黒死病事件』
『ロンドン黒死病事件』『密室遊郭』『鎌切村忌譚』
このどちらかの掲載順の方がよりこの作品を生かせたと思います。おそらくわざと重い雰囲気を排除した作品だと思うので、やはり真ん中に掲載した方が緩急が付いてよかったのかなーと思いました。
感想おわり。
やはり全員活躍している作家さんだけあって上手いですね。
アンソロジーだから手抜きをしているという感じはしません。
きちんと一つの作品として面白さを表現してます。
一番面白かったのは『鎌切村忌譚』ですね。
短い中に色んな要素がつめ込められていたのが良かったです。
このクオリティを保てるならばもっと出して欲しいですが、毎回このレベルの作家さんを確保するのが大変でしょう。ふつーに小説を出せば売れそうな作家さんばかりですし。
そういう意味ではほんとに贅沢なシリーズですね。
ミステリーじゃなくても良いので続編かもん。
でわでわ次のイベントまでに『あれ』を読まないといけないのでこの辺りで。
<カマキリ>
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