FGO『星間都市山脈 オリュンポス』感想(ネタバレ)

 彼は選ばれた人間でした。

 彼は才能に溢れた若者でした。


 空を高く飛べる生き物に。

 地面の石ころが見えないのは当然のこと。


 それをおかしいと思うことがおかしいのです。

 彼らの一族はそれだけのモノを捧げて来たのです。


 でも、すってんころりん。

 彼は派手に転んでしまいました。


 そこにあったのは汚らしい石ころ。

 彼にとって何の価値も無い生命。


 これは偶然です。

 これは必然です。


 無数にある可能性のたった一つの間違い。


 でも、彼は見てしまったのです。

 とても愚かな美しさを見てしまったのです。


 がらがらと崩れる音がする。

 今まで自分が見ていた世界はそれでおしまい。

 

 以前の彼は今の彼を笑うでしょう。

 今の彼は以前の彼を笑うでしょう。


 彼は壊れてしまったのです。

 もう彼は元には戻れません。


 きっとそのとき終わりは定まって。

 彼の運命は決まってしまったのです。


 例えその果てに死んだとしても。

 彼はきっと微笑むでしょう。


 夢は潰えても。

 希望は受け継がれたのです。


 才能も無く、偶然選ばれただけの。

 愚かな美しさを持った一人の凡人に。

 

 ――――


 うわー凄い密度でした。

 上の文章も一つに限定しないと書けないぐらいでしたよ(汗)


 全体的な主題としては『人と神』ですね。

『人と神が辿り着く先の違い』でもあります。


 一番分かり易いのが『ブラックバレル』ですね。

 神ではなく人が作り上げた神すら殺す兵器。


 人には限界がありますが、人の作り出すモノは人の限界を超えることができます。

 それが神から人へと世界の主導権が渡った理由の一つでしょう。


 この世界には神すら倒すような『侵略者』がいて、いずれそれらと戦うときのために、人々は地獄を作り出したとしても止まるわけにはいかないのです。


 そうしなければいずれ訪れる『滅び』を回避することができないというわけです。

  

 いや、その『滅び』が今訪れてるのが『FGO』の世界なんですけどね(汗)

 まったく『地球国家元首』ってなんだよ(笑)


 まあ、あれはあれで正しいんですけどね。あそこで真面目にやられるとこっちの気持ちまで重くなってしまいます。この辺りはさすがという感じの上手さですね。


 第二部は本来物凄い『重いシナリオ』なのですが、重い展開の後に軽い展開をきちんといれるので、その重さを引きずらないという巧みな技。エンタメです。


 後は『キリシュタリア』と『ゼウス(異)』が対比になってるのも上手い構図です。正確には、


『キリシュタリア(若)』と『ゼウス(異)』

『キリシュタリア』と『ゼウス』


 それぞれが同じ存在として描かれています。

 後者は壊れてしまったがゆえの『エラー』ですけど。


『出会いによって怪物にエラーが起きる』


 というのが『型月』の基本的な物語です。


 でも、エラーはエラーに過ぎず、けっして根本的に理解できているわけではありません。あくまでもそれは『外付け』に過ぎず、彼自身もそのことを理解しています。


(平行世界には壊れていない『キリシュタリア』も存在しているでしょう)

(むしろそちらの方がベーシックな状態と言えるかもしれません)


 ですが、例えそれが『外付け』だとしても、『借り物の理想』だったとしても、それを否定できる者はいません。いるとしたら自分自身だけでしょう。


 そういう意味では『キリシュタリア』は自分で自分を否定していた部分もあったのでしょう。だから、救われる中に自分が入っていないとしても、彼は満足していたのかもしれません。


 彼が救いたかったのは自分ではなく、彼が美しいと想う人々だったのです。

 彼らが生きていける世界こそ、自分が作るべき世界と定めてしまったのです。


『マスター』もその中の一人です。凡人でありながら人理を救ったその偉業は、彼にとって人の未来を信じるに足るものだったのかもしれません。


 さて、その『マスター』も今回の物語でようやく『自分のやりたいこと』を見出しました。第二部では『背負ったモノ』に突き動かされてきただけの凡人が、ここにきて『明確な目標』を得たのです。 


 それは今歩む道を更に難しくする決断です。

 ただ世界を救うよりもずっと難しいことになるでしょう。


 ですが、それが『自分の望み』ならば不可能すら超えるのが人の業です。

 神すらたどり着けない結末を手繰る寄せることができるのが人なのです。


 後は『宮本武蔵』の件ですね。

 まあ、そのうち復活するんじゃないですか(てけとー)


 いやまあ、『商業的』にも『物語的』にもこのままスルーは無いでしょう。ただそれがいつになるかという問題かと。小生的には『どっちか』かなーと思います。


 一つは因縁がまだ残ってますから、そこで復活もあり得るかと。

 もう一つはたぶんあっちの方が優先されるから、可能性は低いかも。


 あれとあれをおそらく繋げてやると思うから、たぶん後者は無いかもなー。

 となるとやっぱり前者の可能性が高いですかね。


 となると案外早めの復活になりそうですね。

 いや、これで復活しなかったら小生が馬鹿みたいですけど(汗)


 でも、伏線が露骨過ぎるのでたぶん大丈夫かと。

 復活しないんだったらあそこまで徹底する必要が無いですし。

 

 徹底しているからこそ、逆に復活するという伏線になっているのです。

 いや、物語を作る人間ならこの伏線を上手くいかさないわけがないと思いますヨ。


 あ、後は『ローマ』ですね(笑)

『ロムルス』低レア問題に対する答えです。


 実装されたときから『もっと上じゃね』と言われていたのは懐かしい思い出です。

 ということは『源義経』が実装されないのも何か理由がありそうですな。


『源頼光(剣)』もまだ実装されてねーし。

 完全体の『呂布奉先』もまだだっけ?


『シャルルマーニュ』関係もなかなか増えないね。

 いや、そもそも『円卓』自体が揃ってねえけど。


 まだまだ稼げそうだぞ『FGO』

 新素材はほどほどにしろ『FGO』


 では、第六章はおそらく『マシュの物語』となるでしょう。

 今から楽しみですな。色んなキャラが増えそうな予感もありあり。


 まあ、この状況だと実装されるのが来年でもおかしくありませんけど(汗)

 もっともそのぐらい平気で待てるのが訓練された小生なのでした(爆笑)

 

<完>

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