小生小説講座『作品の成功と失敗』

 何を持って『成功』や『失敗』とするのかは難しい問題ですが、商業的に考えれば『売れなかった』というケースでしょう。


 つまり、商業的に考えれば内容がどうであれ『売れた作品』が成功したケースです。それが純文学であろうと、ライトノベルであろうと変わりありません。


 まあ、あくまでも『商業的価値』であり、『文学的価値』とか『歴史的価値』というのはまた別ですのでご注意を。


『商業的に価値があっても、文学的に価値はない』


 という評価が下されることも多々ありますので、いろいろ『基準』が違うわけです。このため一概に『失敗作』と言っても、こっちでは『成功』であっちでは『失敗』という矛盾するような状況が発生してしまいます。


 というわけで、そういうややこしい部分は全てカットしましょう(笑)

 以前も似たような話をした記憶もありますしね。たぶん。


 今回はシンプルに『作者にとっての成功と失敗』です。

 これは分かり易いですよー。なんせ結論は一つですから。


 それは『作者が書きたいものを書けたら成功』です。


 ライトノベルを書きたいと思ってライトノベルを書けたら『成功』です。

 ライトノベルを書きたいと思って純文学になったら『失敗』です。


 いや、まあ、そんな特殊な例は滅多にないと思いますけど(汗)

 要は作者様が『想定した作品』を作れたかということですね。


 例えば小生の作品は全て自己満足なのでたいていは『成功』です。

 WEB小説を書く人の中には小生と同じタイプの人もいるでしょう。


 このタイプの人間にとって読者の評価はあまり気にしません。

 自分が楽しむことが第一だからです。


 でも、多くの作者様は『読者の反応』が気になります。

 ので、もうちょっとだけ言い方を変えましょう。


『作者の想定した反応を読者に齎した作品が成功』


 つまり、泣ける作品を書きたくて、その作品を読んだ読者が泣いたなら『成功』です。もちろん、泣かなかったら『失敗』と考えてもいいでしょう。


 ですが、全ての読者を感動させることは不可能ですので、もうちょっと具体的に想定してもいいかもしれません。


『読んだ読者の一割が泣けるような作品』


 まあ、一割というのは志が低いかもしれませんが、あくまでも『作者の想定』なので、残りの9割の読者が爆笑するような作品だったとしても、一割が泣けば『成功』ということになります。


 逆に9割の人間が泣いた場合は『想定外』という奴で、ある意味では『失敗』です。まあ、でも、作者の『想定』を超えた反応が起きることもよくあることなので、それが例え自分の実力以上の評価だったとしても、良い評価だった場合は素直に喜んでもいいかもしれませぬ。


 そんで、こういう『成功と失敗』というのは作品全体だけではなく、『小説の場面』一つ一つに存在します。


 盛り上げたい場面で、盛り上がらなかったら『失敗』

 伏線を張る箇所で、読者に違和感を与えなかったら『成功』

 

 などなど、全てのシーンに『作者の想定』を与えることができます。

 その一つ一つの積み上げが『作品の成功と失敗』を左右するわけです。


 物語のありとあらゆる場所に意味があります。極論を言えば使う『単語』が一つ違うだけで『成功と失敗』が分かれることもあります。


 キャラクターの台詞なんてけっこう影響力が大きいでしょう。

 名作と呼ばれる作品の多くに『名言』があるのは偶然ではないのです。


 まあ、その名言が読者に上手く伝わらないと『迷言』になったりしますけど(汗)


『何のためにその物語を書いているのか?』


 単純ですが、忘れ易い部分でもあります。シンプルに『読者を楽しませたい』と考えるなら『どんな風に楽しませたいのか?』という部分も意識すると『ストーリーライン』が明確になるでしょう。


 そして、今書いている場面に『どんな意味があるのか?』ということもしっかりと把握しましょう。『日常会話を楽しむシーン』とか『あまり意味は無いけど緊張を緩和させるシーン』とか、そういうことを把握して書くことも重要ですヨ。


 ちなみにそれを把握するために『プロット』があるわけです。

 見る機会があるなら『プロのプロット』というのを拝見しておくといいでしょう。


 いろいろなことを書いてあったりします。小生も『Fate/EXTRA Last Encore』のシナリオ原案を読んで、うんうんと唸っておりますヨ。なるほどこれが『元』だったわけですな。


 まとめ


『それは何のための物語?』


 てけとー。

 練習なら練習でWEB小説なら割り切ってもいいわけです。


 例え誰一人読まなくても、それが自分の実力を上げるための作業になっているならば、そう想定した作品はその作者にとって『成功』なのです。


 意味を求めてください。

 意味を考えてください。


 読者の感想ですら自分で考えましょう。

 プロの意見ですら正しいとは限りません。


 正解があるようで無い地獄です。

 

 だから多くの作者様は読者の反応を『正解』と考えるわけです。

 それも間違ってはいません。


 中には読者が作品を理解できないのを怒る作者もいます。

 それも間違っていません。


 そういう世界です。

 人間の不完全なコミュニケーションです。


 げろげろー。

 そんな中で何とか『自分のやりたいこと』は見失わずガンガレ。

 

 終わり。


<正確な批評というのは物凄く貴重です>

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