漫画感想文『よつばと! 14巻』(ネタバレ)

『あずまきよひこ』氏はキャラクター造形に関しては天才的だなーと思いました。

 新キャラの存在感をここまで出せるのは単純にすげーことですね。


『あずまんが大王』もそうですけど、一癖あるキャラクターの書き方が抜群に上手い。この辺りの上手さが多くのファンを生む要因でしょう。


 あと『よつばと!』を読んでいると自分の幼少期を思い出すのも見事です。

 小生が子供の頃に見ていた『世界』がこの作品にはあります。


 普段はまったく思い出さないけれど、『よつばと!』を読んでるときだけは自分が確かに『その世界にいた』という実感が湧くという不思議現象。この領域に辿り着くような作品はあまりありませんから『希少価値高し』ですな。


『ノスタルジー』とはちょっと違う、ただ自分にも小さい頃は確かにあったというだけの感覚。『そんなこと思ったよな』とか『そんなこと感じたよな』みたいな共感でしょうかね。ちょっと不思議。SF(笑)


 子供を喜ばせようと大人が一生懸命考えるんだけど、子供はもっと単純というギャップも面白いと思いました。


 こういうのって難しいんですよね。

 前に好きだったものを持っていったら、もう好きじゃなくなってたりして(汗)


 でも、最終的に喜んで貰えれば嬉しい。

 これで良かったんだと安心する。


 それが最後の表情に表れているのが素晴らしいです。

 彼女が本気で『よつば』に喜んで欲しかったというのが理解できます。  

 

 さて、今回のお話ではちょっと悪意のある大人が出てきます

 その部分が賛否両論になるのではないかなーと思いました。


 物語なのでこの部分を書かないこともできた。

 でも、『今の現実はこうなんだよ』という強烈な皮肉。


 イラッとするのは確かにそうかもしれない。

 でも、それを表に出す人に限って自分の失敗は認めない。


『その人』が同じような失敗をすれば物語として面白かったですが、たぶん書きたかったのは『人の失敗を許さない人間』もいるという現実でしょう。


 物語の主人公の『よつば』は作品の中でいろんな失敗をします。

 人に迷惑をかけるようなこともしますし、場の空気を読むこともしません。

 

 でも、子供なので許されることが多かった。

 それなのに今回は、はっきりと悪意をぶつけてくる大人が登場します。


 そういった人間が増えてきているという現実を描きたかったのかもしれません。子供たちの遊ぶ声が『騒音』と言われる時代ですから人間の心も変わったのでしょう。


 まあ、ここで『悪意』があった分、その後の『善意』が光り輝くのですから、物凄く上手い対比でもありますけど。子供の失敗を許さない大人もいれば、子供の喜ぶ顔を見るために努力する大人もいる。大人もいろいろなんですヨ。


 さてさて、『よつば』も少しずつ成長してきているので、物語もそろそろ終盤かもしれません。いや、完結するまで後何年かかるか分かりませんけどねー(汗)


 他の作品同様、気楽に待ちます(笑)


<きにいりました!>

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る