カワカミンのススメ(境界線上のホライゾン編)

『こんなに分厚いラノベは初めて』と多くの読者を驚愕させた力作(物理的)

 書店員が『あの作家さんの本ね。もう慣れたわい』と諦めた怪作(物理的)


 それが『境界線上のホライゾン』(GENESIS)という作品です。


 前回と似てますが、微妙に違いますよ(笑)

 

 書店員が慣れたというのも事実で、最初の頃はブックカバーをつけるのに手間取っていて店員が、最近では手馴れた手つきでささっとやってくれます。人間は慣れる生き物なのでふね(遠い目)


 さて、『終わりのクロニクル』が面白かった小生は、もちろん『境界線上のホライゾン』にも手を伸ばします。発売日に買いました。


 ですが、小生も『都市シリーズ』からの長いファン。もはや熟練の三流読者である小生を驚かすことはなかなかできません。作家さんがパワーアップしているように、小生も読者としてパワーアップしていたのです。


『ふっ、小生を満足させられる作品が書けるかな(誇張)』

『並大抵の作品で絶賛する小生様じゃないぜ(誇張)』


 そう思っていた小生くん。『境界線上のホライゾン』の一巻(上下)を読み終えた後、面白過ぎてぶっ飛びましたとさ。めでたしめでたし(完)


『なんだこれは』と正直思いましたね。

『これが新シリーズの最初の物語か』と自分の価値観が崩壊しそうでした。


『終わりのクロニクル』は『都市シリーズ』を集約させたような作品でした。

 それでも新規の方にも分かり易いように、それを一から構築していった作品です。


 この『境界線上のホライゾン』も新シリーズであり、条件としては『終わりのクロニクル』とあまり変わりません。前の作品と関連性があったとしても、段階を飛ばして物語を展開することは難しく、普通は一から物語を構築していきます。


 確かに『境界線上のホライゾン』も新しい物語を一から構築しています。

 そこは『終わりのクロニクル』と同じです。


 この二つの作品を分けた要素は一つ。


『終わりのクロニクル』が『制限速度』で走り抜けた物語ならば、

『境界線上のホライゾン』は『最高速度』で走り抜けている物語なのです。


 言い換えるならば『終わりのクロニクル』は新規の読者が読んでも面白いと思える作品を目指し、『境界線上のホライゾン』は『川上稔』氏の作品に慣れている読者を対象にした作品と言えるでしょう。


 規模的には『終わりのクロニクル』に近く、性質的には『都市シリーズ』に近いという作品。それが『境界線上のホライゾン』という作品になります。


 最初から特殊な設定てんこもり。

 いろんな種族がどーんと出てきて、様々な術や技がばりばり登場。


『交渉』での駆け引きもあれば、『艦隊戦』でのド派手な戦闘もあります。

『集団戦』での連携もあれば、『個人戦』で力と技を駆使した戦いもあります。


 制空権を取り合うような『空戦』もあれば、武神が戦う『ロボット戦』もあります。シリアスからギャグまで網羅し、主人公からモブまで活躍する。先達たちがカッコいい作品でもあります。点蔵ネタは毎回笑います。

 

『終わりのクロニクル』では段階的に積み上げてきた要素を、この『境界線上のホライゾン』は最初から全力でぶちかまします。『最終回のような一話目』というのが作者様の言葉ですが、まさにそれが実現している作品なのです。


 他の物語が話数を重ねて辿り着く『大きな物語』を、最初から展開していくというのがこの作品の最大の特徴になります。無駄に分厚いのではなく、この分厚さが無ければ表現し切れない物語がここにあるのです。


 しかもそれで終わりではなく、話数を重ねるごとに面白くなるというのが更に凄い。まあ、途中で複雑になり過ぎている部分もありますが、それだけの複雑さを持たせることができる物語ということでもあります。


『3』ぐらいまでは勢いでどばーと読めるのではないかと思いますので、『1』が面白いと思った方はそこまで一気に読んでみてくださいな。

 

『アニメ版』もあるのですが、やはり『小説版』を読んでないとちょっと難しいですかね。素晴らしい『アニメ』ではあるんですよ。製作者が『本気』で作ったというのも理解できます。これ以上の物はいろんな意味で難しいと分かってはいるのです。


 ですが、それでも『足りない』と感じてしまう。『アニメ化』が決まったとき、小生は製作者の正気を疑ったぐらいですから、ここまで『アニメ化』できただけでも凄いことなのですが、小説に比べるとどうしても『情報量』が足りていません。


 おそらく『終わりのクロニクル』ならば『アニメ化』できる範囲だと思うので、そちらの方もよろしくお願いします。『境界線上のホライゾン』の続きでも歓迎ですけど、たぶん製作者が死ぬんじゃないかと思います(汗)


 まあ、そんな作品ですので、『川上稔』氏の作品を初めて読む方にはあまりお薦めできませんね。『都市シリーズの分かり易い面白さがある作品』か『終わりのクロニクル』から入門するのが挫折し難い道でしょう。


 シリーズ作品とはあまり関係ない『連射王』から読み始めるのも一つの手ですね。だた『シューティングゲーム小説』なので、そちらに興味が無いと面白くないかもしれません。『シューティングゲーム』の面白さが詰まった小説なのですがねー。


『総統閣下の塔』も綺麗にまとまった作品でお薦めです。

 そのうち『カクヨム』にも投稿されるかもしれません。


 そんな感じでまとめ。


『一から読むなら都市シリーズから。でも癖が強い』

『終わりのクロニクルは分かり易い。でも土台からでは無い』

『境界線上のホライゾンは最初から全力なので難しい。でも面白い』

『連射王から読んでも良し。でもゲーム小説』


 まあ、小生が読んだ限りでは『カクヨム』に掲載されている作品から読み始めても問題ないかなーと思います。ここにある作品が少しでも面白いと感じたならば、この濃密で中毒性のある世界観を味わうことができるかもしれません。


『激突のヘクセンナハト』という作品もありますが、こちらはある程度慣れてからの方がいいかなーと思います。『翼』という初期初期作品もあるので、興味があればどうぞ。


 さて、ここで終わってもいいのですが、次回少しだけ『世界観』のお話。

 ちょいバレぐらいでやりますので、お気楽に。


<楽しく濃厚な世界へようこそ>

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