『第2回カクヨムWeb小説コンテスト』 結果 2 

 さてさて、個人的に意外な結果でしたが、そのことに対する意見があるかと言われれば『ありません』と答えるでしょうネー。


『前回に比べて消極的だなー』とは思いますけど、それだって運営さん(レーベル)の問題ですし、読者としては『どうでもいい話』です。


『売れる作品』を逃そうが、『売れない作品』を受賞させようが、全てそちら側の責任であり、こちら側には関係ございません。『欲しい作品』が書籍化したならば購入するだけですので、どうしても書籍化して欲しいという願望も別にありません。


 WEB小説は書籍化しなくても読めるため、書籍化に対する読者の欲求は低いですネ。昔は書籍化しなければ読めない作品が多かったため、自然と書籍化というものに対する欲求は強かったわけです。ネット社会ばんざーい。


 まあ、『書籍化できる作品』はもっとあると思いますけど、その段階で悩まれているのでは『ヒット作』になる可能性が低いということでしょう。せめて『書籍化は難しいけど、面白い』という方向性で悩ませた方がよろしいかと。


 あまり『運』に頼らずに受賞したいならば、『複数のレーベルで取り合いになるような作品』を応募しなくてはなりません。十年に一人の逸材とか呼ばれるぐらいの作品を書けるならば、高確率で受賞できるでしょう。


 もちろんそこまで辿り着かなくても、ある程度『作品の質(と商品価値)』を高めることによって、受賞できる確立は上がります。


 ぶっちゃけますと、『受賞しても売れない作品』や『書籍化しても売れない作品』はそれなりにあります。ただし『ヒット』しなくとも出版社側が『出す価値』を認めれくれる作品ならば、プロ作家として次に繋げることができます。


 問題となるのは『売れない作家』という『レッテル』です。

 一度これを貼られてしまうと、なかなか『書籍化』することができなくなります。

 そのため、プロを目指す方は作品が完成した後に一度こう考えて見ましょう。


『自分はこの作品で歴戦のプロたちと戦えるだろうか?』


 新人の場合は多少甘めに見てもらえますが、基本的には他の作品と同等に扱われます。作家としてやっていくためには、他のプロの作品を押し退ける必要があります。『その力』が無い作品は容易く埋もれていきます。 


『WEB小説』を読んでいると『面白い作品』にけっこう出会います。  

『カクヨム』でも『売り方を考えれば売れる作品』はあると思います。


 でも『それ以上』となると数が一気に減ります。

 別に『カクヨム』だけの話ではなく、『なろう』でも同じです。

 更に言ってしまえば、『プロの作品』でも同じです。


 もちろん個人的な感覚なので絶対ではありませんが、世間的にヒットした作品の多くには、他の作品とは違う『ナニカ』を感じることが多いです。


 まあ、『それ以上』とか『ナニカ』という書き方が卑怯ではあるので、多少具体的な話をしてみます。


 最近読んだ書籍化作品(新人作)の中では『86―エイティシックス―』や『ゴブリンスレイヤー』に『それ以上』や『ナニカ』を感じましたネ。あくまでも個人的感覚ですので、何も感じなかったという読者の意見は関係ありません。


『86―エイティシックス―』は欠点も多い作品ですが、印象的なシーンも多く、最後まで読み終えた後に『この作者の作品は次もチェックしよう』と思える作品でした。女性主人公が零した台詞とか、中途半端にいい話にしなかった部分が好きです。


 続編も購入すると思って、今チェックしたら『二巻 上』になってました。続編から分割とはなかなかの強気ですネ。こえー(笑)


『ゴブリンスレイヤー(一巻)』は『ゴブリンを中心とした世界観』が独創的で面白いのですが、文章自体は普通のライトノベル程度であり、物凄く上手いという作品ではありません。でも、最後のエピローグはとても良いと思いました。


 こちらの作品は一度『富士見ファンタジア大賞』で落選したらしいですよ。これまたよくある話です。改稿した可能性はありますが、これも『運』というやつでしょう。ので、落選したから『売れない作品』ということでもありませんヨ。


 うむむ、何となく『言語化』できそうだぞ。

『それ以上』や『ナニカ』を感じるポイントというのが幾つかありますネ。


 まず『名シーン』や『名言』があること。

『ソードアート・オンライン』や『ダンまち(略)』にもあります。この二つの作品は分かり易いでしょう。『ダンまち(略)』は特にそのシーンの評価が高かった作品です。ネット上でも『そこまで読め』と言われていました。


 まあ、『名シーン』や『名言』の定義自体が曖昧なので、その作品を思い返したときに『これだ』という部分があるかということでしょう。『86―エイティシックス―』や『ゴブリンスレイヤー』にも(個人的には)あります。


 次に『上手く物語を終わらせている』こと。

 ラスト付近がぐだぐだになっていると、途中まで『ナニカ』を感じていても、読み終えたときにそれが失われてしまいます。一般的には『おしい作品』と呼ばれる作品になってしまうでしょう。


 なるべく『めでたしめでたし』の方が好まれますが、作品の方向性次第となります。あまり無理やりハッピーエンドにしても、逆に非難されてしまいますね。『ご都合主義でもいいからハッピーエンドで良かった』と言われるぐらいの作品ならば『花丸』でふ。


 最後に『好き嫌いが分かれ易い作品』であること。

 ある程度『読者をばっさりと切り捨てている作品』という言い方もできます。

 

 もっと具体的に言うならば『その作品を嫌いな読者を想像できる作品』でしょうかね。『西尾 維新』氏のデビュー作『クビキリサイクル』もこれですネー。


 逆にその作品が『好きな読者も嫌いな読者も想像できない作品』からは、あまり『ナニカ』を感じることはありませんし、『それ以上』と思うこともありませぬ。

 

 上手く言語化できた気がしませんが、多少言語化するとこんな感じですかね。

 ただこの『ナニカ』を感じる作品であったとしても、必ずしも『書籍化』できたり、『売れる』というわけではありません。


『冲方丁』氏の代表作に『マルドゥック・スクランブル』という作品があるのですが、この作品の後書き(旧版)で『出版元がなかなか見つからなかった』というエピソードを披露しています。『問題となるシーン』が多くて出版できなかったらしいですよー。読めば理解できますネ。


『作品の質』は間違いなく高い作品だと思います。

 ですが、『売れるか(商品価値)』と『出版できるか(出版社の都合)』という点に問題があり、なかなか出版することができなかったわけです。


 他にも『作品の質』を高めすぎたゆえに、『商品価値』を下げてしまった作品というのもわりとあります。『ヒットした作品』というのは『完成度的に妥協した作品』であることが多いです。多いだけで絶対ではありませんけど。


 もちろん売れなくとも『名作』というように呼ばれる作品はありますので、その辺りは作者(と出版社)の都合というやつでしょう。


 話が長くなってので、分かり易くまとめましょう。


『貴方の作品はプロの素晴らしい作品と比べて満足できますか?』

『そして、その作品が今の市場で売れる(売ることができる)と思いますか?』


 情報的に齟齬が出ますが、分かり易くするとこんな感じです。『運』も実力のうちですが、『運』や『偶然』に頼れば頼るほど、受賞した後が大変になります。


 今だと大ヒットしてますが、『鎌池和馬』氏のデビュー作である『とある魔術の禁書目録』の第一巻は『かなり危ないライン』だと思います。この時点で打ち切られたとしても驚かなかったかと。当時の売り上げは知らんけど(汗)


 読んだ感想としては面白さの欠片はありましたが、かなり欠点が多く、物語自体もあまり盛り上がらないという印象が残りました。次回作を購入するか悩むぐらいの作品だったと思います。


 でも、作品に『ナニカ』を感じたので、二巻も購入。

 すると、一巻よりも面白い。そんな感じでずるずると購入し続け、五巻辺りで『このシリーズは売れるんじゃないだろうか』と思いました。


 まあ、正確には『とある魔術の禁書目録』は受賞作ではないため、ちょっと話が変わりますが、逆に言えば『この一巻』を出版させた編集の方がすごいと言うべきでしょうな。

 

 他にも『涼宮ハルヒの憂鬱』を大賞として出版させた『スニーカー大賞』とか『クビキリサイクル』を見出した『メフィスト賞』なども英断だったと思います。二つとも『色物』として落選したとしてもおかしくはありません。今はどうなってるのか知りませんけど(汗)


 あ、やべ、話がまたそれてきとるわい。

 まとめその二。


『受賞作が未熟でもそこから成長することは可能である(時間制限あり)』

『面白い作品(売れる作品)だったとしても、出版側の事情によっては無理』

『レーベルカラーと合わなければ合わないほど、出版することは難しいと知れ』


 ただ今の状況ではあまり成長を待ってくれない傾向があります。

 一巻出して満足する売り上げではなかった場合は、おさらば的な。WEB小説で求められるのは『即戦力』であることが多いので、よりご注意ください。


 こんな感じで。

 せっかくなので、もう一話追加しましょうか。

『WEB小説とは何ぞや』というお話。たぶん。


<つづきゅ その二>

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