『蜜蜂と遠雷』 雑談 1(ネタバレ)
ここでは感想でまとめ切れなかった部分のお話をします。
感想よりは軽めを目指していますが、どうなることやら。
もちろんネタバレであり、個人的な解釈ですのでお気をつけて。
<俺はまだ、神に愛されているだろうか?>
幻冬舎のホームページでは『蜜蜂と遠雷』のページにこの文章があります。
ですが、幻冬舎plusでは『私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?』という表現になっています。帯も同じだったらしいです。
<風間塵という名前>
ネットで調べた限りでは仏教用語の『塵』であると推測できます。
その中でもおそらく『声塵』のことだと思われわれ。
『衣鉢』という言葉も、もともとは仏教用語らしいでふ。
ちなみに『風間』というのは『風の絶え間』とか『風の吹いている時』という意味らしいので、何かしらの意味が見出せそうな気がしますが、細かくはカット。
<あなたがほしい>
『高橋 真梨子』氏の歌を思い出してしまいました。
小生は『クラシックファン』ではありませんね(汗)
<マサルが落ちたコンクール>
コネを持っていないと優勝できないコンクールというのは身内に『箔をつける』ためのコンクールなのだろうと推測できます。『出来レース』といってもいいかもしれません。『暗黙の前提条件』があるということです。
ですが、『マサル』を落とした審査員たちは、将来的にはそのレッテルを背負うことになるかもしれないわけです。
『審査する者は審査されているのである』。特にプロはその言葉の重みを実感しなければならないのですが、重みを実感していては仕事にならないという矛盾。責任があると言いながら、なるべく責任を回避するのが大多数の人間ですので。
責任を取るという言葉すら無責任であるという現実は如何ともし難く、もともと人間なんてそんなものですから深く考えない方がいいですよ。てへっ(笑顔)
<願いの連鎖>
『浜崎奏』は自分の感覚を確かめるために『栄伝亜夜』に未来を託し、『栄伝亜夜』は音楽家としてやっていく理由を『風間塵の音楽』に求めるという連鎖。結果としては『浜崎奏』の未来は『風間塵の音楽』に託されるという不思議な関係。
もっとも『風間塵』はそのことに気付いていないため、人間というのは時としてまったく予期できないモノを背負ってしまうという恐ろしさでもあり、それと同時に誰かの救いとなることもあるという希望のあるお話。
<情報量>
作中ではプロとアマの違いは一音に込められる『情報量の差』という話があり、なるほどなーと思った。(余計な)情報を込めればいいという話ではありませんが、情報を込められないのでは話にならないということでしょう。
これは『小説家』でも同じですネ。
制限がある中で文章にどれだけ『情報』を込めることができるか。
その『情報』が作品を形作っていくわけです。
ただ『WEB小説』や『ライトノベル』は込められる『情報量』が少なくとも成立させることができる稀有な表現方法といえるかもしれません。それはそれで別の意味で難易度が高いんですけどねー。
あれ?
そう考えると『純文学』というのはこの『情報量』が多い作品のことなのかな。
知らんがな。
<風間塵と栄伝亜夜>
『風間塵』と『栄伝亜夜』の関係は一歩間違えば、『栄伝亜夜が音楽家を止める』という結果になっていてもおかしくないように思えます。
だが、『風間塵』の存在は『栄伝亜夜』にとって『ギフト』であったため、その結末は回避されました。『災厄』だった場合はその結末になっていたと推測できます。
<回収されない伏線>
『ジェニファ・チャン』と『オリガ』周辺の伏線が回収されていないため、たぶん幾つかのシーンがカットされたのではないか、と推測できます。
もちろん全ての伏線を回収しなければならないわけではありませんが、意味ありげな描写があったわりに何も無かったため、肩透かしを食らった気がします。
たぶんそれぞれが『恋愛要素』と『審査要素』に繋がっていたと思うのですが、真相は不明である。ただ他の伏線も考えると『審査シーン』は本来書く予定だったような気がするのですが、真相は『作者の中』というお話。
『審査シーン』は『風間塵』が『ギフト』なのか、それとも『災厄』なのかということを問うシーンになるため重要なのですが、本作ではほぼ使用されていません。
そのため、最後に『風間塵』が『ギフト』であるというシーンが微妙に浮いているように感じました。審査員の一人である『ナサニエル』も、彼がどちらだったのか把握していません。ちょっと強引に押し切られたような印象が残りましたネ。
ここで分割します。
<雑談2に続く>
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