* * * * * *
「うまく運び出せたね」
武装した子供たちは各々のライフルや散弾銃を配られる。BBガンや二二口径で訓練したように、装填し、撃鉄を起こし、狙い、引金を絞る。作動の仕方に差異はあれどその一連の動作が必要であるという事は脳に刷り込まれたようだ。一部の物分かりの良い子供たちには
華子が強調したのは「味方に銃を向けてはならない」という事だった。安全管理として、薬室を空にしておく事。装填や射撃といった号令と命令に従う事。年長者/班長の指示に従う事。違反者は罰せられる事。それらは
「撃て!」<con fuoco>
抗日大刀を振りかざして、華子が命令した。バービー人形は銃弾に分解されていく。精度は上々。再装填の号令に、尾栓を開いて空薬莢を排出、薬室に弾薬を滑り込ませる。浮き上がった問題点を帽子屋がフィードバックし、各個体を調整する。指揮系統は引き継がれ、各スモールボーイ・ユニットの小隊長には短機関銃を携行させる。
(我々の肉体や動物、植物、いや原子や粒子に至るまで、この世界そのものが展開方法を失った情報圧縮・伝送技術だと考えた事は?)
横隊はリズミカルに銃声を響かせている。<sostenuto>エロチシズムの根幹とはその侵襲である。蠅がわんわん鳴る汚物の臭いが漂う便所でシモーヌの白い尻を掴んだ。
ジルベールとアヤメはベッドの中で共に
生い茂る葉っぱが切り裂かれている。花の首が飛ぶ。
華子は
静寂。
有栖は死体に浮かんだ絶縁破壊のリヒテンベルク図形の皮膚を剥ぎ脳と呼ばれる脂肪で鞣す。蝶形骨と耳を蒐集している。軟骨はコリコリとして美味しい。
華子は
「
相手は答えなかった。華子の顔を睨みつけながら懐に手を伸ばし、手榴弾のピンを抜く前に死んだ。オズが立ち尽くして言った。
「結局、誰だったんだろう」
「肌色が明るいから。たぶん華僑だろう」
「華子を殺しに来た?」
「かもな、」
オズは唇をきゅっと噛んだ。隣り合っていても永遠の距離があった。
身元の分かるような物は何も持っていなかった。その騎兵銃を除いて。チェコスロヴァキア製モデル五二/五七。独自規格の弾薬はソ連規格の口径に改修されていた。
「お前が手を入れたやつじゃないのか?」
華子は帽子屋に騎兵銃を投げ付ける。帽子屋は薬室をクリアにしてそれを覗くと頷いた。
「ああ。確かに僕のとこで預かったものだ。ここらへんじゃ珍しい型でね。破損部の予備部品が調達しづらくて。まあ一部は削り出ししたりして直したんだけどさ」
「ビン=スエン派の残党や華僑のゴロツキも取引相手か?」
「君も含めて、そうだろうね」
「真面目に答えろ」
「真面目に答えてるさ。なあ、僕は取引相手には拘らないよ。だけど拡散した銃の暴力性の所在までは責任に問われる筋合いは無いと思うんだな。こっちも
「敵はどこに潜んでいるか分からない。連絡を密にして、昼夜に歩哨を立て、警戒を怠るな。♠斥候隊も出す。♢船から国境の監視も行う。陣地構築もだ。
――街で目立った行動をするな。♣帽子屋の玩具箱からブツを持ち帰る時、尾けられないようにしろ。尾行されたら撒け。♡食料の採集と畑は続けてくれ。薬草や医薬品の収集も……」
その
「野戦電話。それに
(僕らは花と花の間を飛び交う
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