16 腐乱/新鮮

腐乱/新鮮


 いまどき猫いらずを飲んで死ぬとは

 あなたはなんて気取り屋なんだ

 本当は長く長く舌を伸ばして

 あの空をぺろりと嘗めたかったのだろう


 あなたのお通夜はとても静かで

 はしゃぐ子供も、憎しみ多いエリシャもおらず

 曇天だったので当然、星だって見えず

 その向こうにあるあの空をあなたからひた隠した


 数日後、あなたは焼かれ

 煙に変わって憧れの空に上って行った

 あの空はあなたを受け入れて、あなたを天国に導き

 わたしの何気ない想いがあなたの魂を天と地の二つに引き裂いた


 人の想いはいつだって勝手なもので

 林檎の味かしたり、梨の味がしたり

 無花果の味がしたり、毒人参の味がしたり

 サクランボの味がしたりする


 やがて、それがゆっくりと無味無臭になって

 やっとあなたは一つに戻れる

 

 だけど本当に無に還れる日は、遠く、とおい

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