14 装置/色彩

装置/色彩


 幽霊が虚数の時刻に目の前を通り過ぎる

 そこに実数の影は落ちない

 すると丸くて四角くて三角な物体が

「やあ、この辺りもすっかり変わってしまってね」と云いながら時空を遡り

 過去のわたしを、とある事故から救ってくれた

 今やっと、それがわかる

 そして、この世界とはロジックの違う怪物が現れるのは、まだ先だ


 超人が無数の場面で音も無く活躍する

 見れば老人の杖が崩れる

 やがて黒くて黄色くて真っ青な抽象が

「あの、高速道路の下を潜り抜けて右」と説明しつつ角を曲がると

 未来のあなたを、とある限定から守りに行った

 まだ今は、それと知れぬ

 そして、この世界とはロジックの違う怪物が現れたのは、もう昔


 そのスイッチには、多分、触らない方がいい

 あのウィットには、きっと、決まった主がいない

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