第5話 ちんどん屋

トランペットも1カ月くらい吹くと、それなりには音が出るようになってまう。

ドレミファソラシドレミファソラ,シドレミ・・・

の最後の4音あたりになると、カスカスであやしくなる。

トランペットは、高音域を出すのが難しいのです。プロ達が、それを誇示するよう高音域を出すのを聞くと、羨ましいやら嫉妬に似た感情を抱いていました。マーチのように最初から最後まで吹きっぱなしとなると、唇が疲労して音は、出なくなる。このことが、中坊の初心者トランペッターにとっては、悩みの種となる。


ちょうど、その頃(1960年台)は、大学/高校の学園紛争が全国で勃起いや違った、勃発しとった時期なんやが、その影響なのかは、いまだ不明だが、2、3年生徒の練習ボイコットが発生した。結局3年生の全員と2年生の有力部員も退部してしまった。その結果、ほとんど演奏として成立しないころまできていた。


私が思うには、こうなることは予想されていたようで、自分のような剣道バカまで入部させられたのは、このことが原因だったのだろう。人数だけは1年生で十分揃っていたのだ。しかし、ほとんどの部員が1年未満の経験です。1夜にして下手な「ちんどん屋」状態になってしまった。3番4番クラから1番クラへ、3番ペットから1番ペットへとスライド起用されて、

「どうすんだ・・これから」

という気持ちになったのを鮮明に思い出します。

誰もが心配したのは、

「吹奏楽コンクールには、出場できないだろう」

ということです。

しかし、予定どうり出場するというのだ。

F先生は、女先生だが、今で言うところの「男前な性格」で、

諦めるなんて言葉を知らないようだ。


もうそろそろ、夏休みも間じかに控え、皆がウキウキし始め頃であった。

これから「本当の辛い練習の日々」が始まるなんてのは、夢にも思っていなかったのだ。


※ちんどん屋は、下手イメージで語られる事が多いが、実は下手でできる商売じゃないのです。最少人数編成で音を作り出しているれっきとしたプロ達です。それでも、メロディは、サックスやクラリネットなどの木管楽器が多い。やはりトランペットは、下手が目立ちすぎるからなのか。


https://www.youtube.com/watch?v=0ksSCNujfUc

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