第4話 チューニングアップ

全体練習をスタート前に必ずやることは、チューニングです。

オケ(オーケストラの略)の場合は、第1バイオリン(コンマス)に合わせるのだが、吹奏楽の場合は、弦楽器がないので、第1クラ(クラリネットの略)に合わせることになる。クラリネットは、B♭の楽器なので、クラリネットのドの音、つまりピアノのシ♭を基準に合わせるわけです。


チューニングの音を聞くと、今だに「ムズムズ」のは、そのころのことが、完全に深層部にすり込まれているんだと思います。そのころは、楽典のことは実は何もわかっちゃいないものだから、チューニングは、上のドの音を出すもんだと思い込んでいたのです。


ある日ピアノの「ド」でチューニングすると、どうしても合わない。

「なんでや?」

どうも、シ♭(B♭)をたたくと合ってる。

となるわけです。


ピアノはCの楽器で、トランペットはB♭の楽器ということだったということに気づくわけです。毎日、クラ(クラリネットはB♭)の「ド」に合わせていたので、トランペットは、上の「ド」でよかったんだと気付く。

トロンボーンはC楽器なので「レ」でチューニングしているという。ただし、トロンボーンは特殊で、CでもB♭でも同じ運指で演奏可能な楽器なので特殊です。

各楽器のキーのちがいの謎は、この日あたりで、すべて解決しました。


今考えてみるに、こういう理論は、意識的に教えないという方針があったように思い返されます。音楽は「理論じゃない」という方針がF先生により貫かれてたようです。もちろん学校の授業では、カリキュラムどうりの授業は、あるので後には判明す

ることになるのだが、今になれば、F先生の方針は、ある意味「正しいんだ」と思います。


守破離の守です。


このあたりの感覚は、プログラミングについても、共通するところがあります。理論だけじゃプログラムは組めないということです。組んで組みまくらないと、実は、頭に浮かんだイメージを即実装するという境地には到達できないのです。


少なくとも、新しい何かを新たに創造するような場合だと決定的にそうです。

講師クラスのプログラミング知識を持つ人も「使い物にならんプログラム」しか作成出来ないということが多いのは、とっても興味深いことなのです。


このチューニングから、おもむろに開始する曲が世の中には存在します。


「Tunening Up」

という秋吉敏子ビッグバンドのヒット曲です。

USAでは有名人ですが、意外なことに日本では知らないという人も多い。秋吉敏子さんは、山口県出身ですから当時でも名前はすでに知っていました。


http://www.youtube.com/watch?v=dDWuCIQZMCo

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る