木漏れ日
竹ノ葉一心
第1話
週末の昼頃私は一人、床屋の窓を背にうとうとしています。座して一分ですが、今にも眠りについてしまいたいのです。自転車で何㎞も漕いだので疲れました…。
都会のある駅の離れにあるここは、有名だったり店員さんがイケメンというわけでもありませんが、私のお気に入りです。
髪の白んだ気の良いおばあちゃんと息子(?)らしきおっちゃんが一人。そして、彼女らはお客さんの要望に合わせ、また似合うようにカッティングします。どちらも前掛けを垂らして、真剣な眼差しで髪に向かっています。
床屋に来ると、果たして上手く切ってもらえるのだろうか、と思案したくなります。今の髪より悪くなったらどうしようって心配します。
けれども、よくよく考えてみると、私を見てくれる人間はどれほどいるのでしょう。左手の指全てを折り曲げ、右手の指を一、二本折り曲げ…。そんなに多くはありませんね。引っ込み思案な私は、友達が多くないからでしょう。
しかし、周りの評価に怯えて、 自分の一歩を踏み出せないというのは如何せん勿体ないとは思えませんか。勇気を出して胸を張って過ごせば、そんなに格好悪くはありませんよね。そこで笑われたなら、単純にあなたが嫌われているということです。大丈夫です、平らな私が保証します。
多くの友達よりも、あなたのことをしっかりと見てくれる数少ない人間を大切にしましょう。木漏れ日のもとで生まれる考えを大切に…。釈迦が菩提樹のもとでそうしたように、ゆっくりしていきましょう。
針時計は確実に進みます。音を伴ってリズムよく。うとうと、すーすー…。
今日は息子さんにお願いしたいなぁ。
おやすみなさい。
木漏れ日 竹ノ葉一心 @kokoro
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