第2話
慌ただしい殺伐としたナースステーションで、申し送りを終らせると、更衣室で着替えを済ませ、愛車の黒のポルシェに乗って家路を急いだ。「あーあ、つっかれたーと」と言ってハンドル片手に欠伸をした。家路についたのは、午前9時59分だった。美佐子は黒塗りのポルシェから降り、自然体で普通に歩いて玄関まで辿り着き、また普通に鍵を開け、中に入った。その時、新築二年目の家の美佐子から見て右上に掛かっているハト時計が、「ぽっぽ。ぽっぽ」と鳴き始めた。それと同時に自分のデジタル時計が、ピッピとなった。「ジャストミート」と言って美佐子は笑顔で笑って自分を褒めた。「今日も1日よく頑張りました。まる。」と言って、スタスタと美佐子の部屋のある2階へ「トントントン」と駆け上がり、部屋に入って昔、帝国海軍中将で陸戦隊の一個師団を指揮していた今は亡き祖父と、国防婦人会には行っていた、もんぺ姿で写っている祖母に最敬礼した。そして、凜々として緊張した空気の中、申し訳無いという気持ちで畳式のベットに入り深い眠りについた。
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