一般ピーポー王族少女の執事になる

飛鳥

第1話一般ピーポー執事になる

清峰学園 二階 生徒会室

そこに仁王立ちする少女と

正座している青年がいた。


「あ、あのー、

僕に何か用でしょうか?」

正座している青年 蒼音あおね

姫月しづきは目の前に立つ少女

東雲とうぐもあおい

尋ねると東雲 碧は

凛とした声で告げた。


「蒼音 姫月!!あなたには

私の執事げぼくになってもらうわ!!」

「嫌ですけど」

「即答?!即答なんてどういう事よ!」

「どういう事も何もそんなの

下僕なんてやですよ」

「違うわ!下僕じゃなくて

執事よ!執事!!!」

東雲 碧は顔を赤くしながら

全力で否定した。

「あぁ、執事か

執事って事は碧さんって

金持ちのお嬢さま?!」


「え?あなたまさか知らないの?!

この国を治めるこの星城王国の

第三王女の東雲 碧を?!」


「は、はぁ?!碧さんがあの

星城王国の第三王女?!」

僕は人生初の大声を

喉が張り裂けんばかりに

出した気がする。

いやそんな事より何で

こんな貴族様が一般ピーポーの僕に

執事になれと頼むのか 分からない。


ちなみに星城王国は日本を治める

いわゆる大統領のようなものだ。


「あのですね、

なぜ僕なんでしょうか?」


「それは、あなたが一番

庶民っぽいからよ!」


な、なんだと?!庶民だから?

僕が1番庶民っぽいからだけの理由で?!


「すいません、この話はなかった方向でお願いします」

僕は生徒会室の窓から

飛び降り、家へと逃げ帰った。



僕が住むアパート『星城荘』 201号室


僕は買えるついでに寄った

スーパの袋を持ちながら階段を登ろうとうえに視線を向けるとそこには

30人ほどのメイドと見慣れた女の子

が僕の部屋の前に待機していた。


嘘だろ、ま、まさか 碧さん?!

生徒会でのこと断ったから?

武力行使に?!


僕は買い物袋を投げるわけにもいかず

静かに郵便ポストに置き逃げた。


「いたわよ!貴方達!

どんなことをしても構いません

蒼音 姫月を捕らえなさい!」

姫月に気づいたらしい彼女は

約30人のメイドに命令を下した。


「げっ?!気づかれた?!」

僕は学校への通学路の階段を駆け下り

大きな森に無我夢中で逃げた。


逃げてから何時間経っただろうか

既に夕方になっていた。


「ハァ、帰るか...」

僕は大きな館から出ると

「待ってたわよ蒼音 姫月!!」

そこには彼女がいた。

約30人のメイドを引き連れて


は?何でここって分かったんだ?!


「いや、ちょ、

何でここが分かったの?!」


「何でも何もここは私の家よ?」


「え?嘘だよね?」


「いいえ、ホントよ。

ほら、そこに掛かってる札を

見てみなさい」


「は、はぁ」

僕は大きな厚い塀に掛かっている札を

見るとそこには大きく

『東雲』と書かれていた。


「ほんとだよ?!嵌められたのか?」

「いや、あなたが自分から

ここに走ってきただけよ」

「え?ほんとですか?」

「はい、本当ですよ」


あーそうだ、なんか見たことあると

思ったんだよなぁ...じゃないよ!

詰んじゃったよ 諦めよ うん諦め大事


「分かりましたよ

あなたの執事になります」

僕は抵抗する気がないことを

証明するために両手を上げて告げた。


「うむ、よろしく頼むぞ 姫月」

その時の彼女の笑顔は

女神も嫉妬するほどの美しさだった。



翌日、僕は星城王国

第三王女 東雲 碧さんの執事として

寝ている主を起こしに来たのだが

もう帰っていいかなぁ。

だって体を揺すった瞬間に

グーパン飛んでくるとか

今どき小学生でもやりませんよ?

いや、例外がひとりいた。

お恥ずかしながらぼくの妹だ。

とそんな事はどうでも良くて

早く起こさなければメイド長が

ブチ切れてしまう。

僕は顔を手でガードしながら

もう片方の手で体を揺するために

肩部分をつかもうとすると

寝相の悪い彼女が寝返りをうったため

ただでさえ胸が小さいのに

大きな服を着ているから

かすかに膨らむ胸に手が

乗ってしまった。


お、手のひらサイズ...じゃないよ?!

ヤバイ、起きる前に退かさないと..

ってアレ?手が外れない?

てかめっちゃ腕に柔らかい感触が?!


僕はガードしていた手をどかし

その柔らかい感触が何なのか

見てみるとそれは彼女の二の腕だった。

ものの見事に僕の片腕を

ホールドしている。

心臓の鼓動が

早くなるのが止められない。

落ち着け 落ち着け 落ち着け ぐっ

お、落ち着け ヤバイ 理性が


「うおあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

思い切り地面におでこを叩きつけ

理性をなんとか取り戻した。


しかし彼女は全く起きなかった。


うん、とても凄いですね...

そろそろメイド長が来る時間だよな?

仕方ない 怒られるかな


僕はため息をつき立ち上がろうとすると

「うわぁ?!わっぷ?!」

何か柔らかい感触のものに頭を挟まれた。


「ん?んっ、」

「ぁん」


ん?この声って?!てか今の声は?!

ま、まさか僕を挟んでる

柔らかい感触の正体は太もも?!

って事は僕の顔の前にあるのは

ま、まさか...


「失礼します、お嬢さまっ...」

メイド長のサラ

が扉を開けて入って来た。


フゥ!終わった(泣)


「あら、おはよ サラ」


「お、おはようございます お嬢さま。

と、ところでそ、その 」

「どうしたの?私の布団の中を指して...

僕は彼女と目が合った。

「おはようございます お嬢さま」

とりあえず挨拶すれば許してくれるかな


「あら、おはよ 姫月」

許してくれるようだ。

「それじゃ、僕はこれで」

布団からはいでて逃げようとすると

思い切り肩を掴まれた。

背後から物凄い殺気が感じられる。

僕は恐る恐る後ろを振り返ると

天使のような笑顔(目が笑っていない)

の彼女の拳が僕の頬に見事と言えるほど綺麗に決まった。


「グベブッ?!」

僕はこの後、メイド長にお説教を

3時間も受けさせられた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る