義賊

あどけなくねむる枕元

貴女の耳から忍び込み

とりかえしたい言葉がある

暗い道を奥、また奥へ

どんなに深く刺さったの

探しあてし胸の底

しづかに震えし胸の底

突き刺さる言葉のはねや、とめは

いざ抜かんとする力に、もの言わず抗う

警報器仕掛けられ、固く鎖に巻かれた硝子の箱から

世界にひとつの宝石を盗む賊のように

僕の手は震えながら、やさしく大仕事を為そう

胸の底に紅く、痛々しい傷口ひらいたら

僕は夜通し、唇をあて塞いでいよう

逃げ遅れ、捕まっても構いやしない

とりかえした言葉だけを、それだけを

窓から捨ててしまえばいい

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