おまけ・本編その後

学校帰りに「デート行くぞ!」と言われ、制服のまま直矢と数駅離れたやや都会?の方へ連れだされた。

数駅離れているだけなのに、この駅は駅中から大通りまで長く綺麗なイルミネーションが広がり、それを見るためにカップルがうじゃうじゃしていた。


「おーすげーなー」

「……おぉ…」

イルミネーションは凄いと思うし綺麗だとは思う。

…けど、正直全く興味ない。一瞬パッと見れば飽きてしまう。

オレがぼへーっとしながら直矢の横を歩いていると、「こっちこっち」と直矢に腕を引かれて、ある店の方に引き寄せられた。

そこは、よく一緒に来てたカラオケ屋だった。


「カラオケしよー」

そう言って直矢はいつも通りに入店の手続きをして、いつも通りマイクと飲み放題のコップを受け取った。

そしていつも通りに部屋に入り、飲み物を取ってきて、歌って…いつもと同じくらいの時間に店を出て、帰りの電車へ乗った。


(…なんか、デートって割にめっちゃ普通だったな)

デートっぽいことと言えば、直矢がカラオケ代を奢ってくれたことぐらいか。

ほっとしたような、拍子抜けしたような。

ぼへっとしながら帰り道を歩いていると、あっという間に直矢の家に付いた。


「…じゃーな、直矢」

いつものように軽く挨拶をして家に向かおうとするが、直矢はそのままオレにくっついてきた。


「……何?」

「家まで送る。デートだし。」

「はぁ…?」

オレの家からは、直矢の家を通り過ぎて徒歩5分の場所にある。

送ってもらうような遠い場所ではないし、男なんだからそもそもすごく無意味な気がする。


「…すぐそこなんだからいーし。」

「いや、送る。冬だしもう真っ暗だしね。危ない危ない」

「いやオレ男だし。家5分だし。」

「知ってるし」

直矢は引いてくれそうにないので仕方なく足を動かすと、直矢は本当についてきた。

そしてあっという間に家に付いた。



「…送ってくれてありがとうございました。そいじゃーな」

一応礼を言って家に入ろうとすると、「あ、サンタ」と呼び止められた。


「なんだよ」

振り向くと直矢がいつの間にか真後ろにいて…顔に影が落ちてきたかと思うと、頬にちゅっ…とキスされた。



「…なっ…にしてんだよ!」

「だってこういうのなきゃ、デートっぽくならないっしょ?」

そう悪戯気に微笑まれる。


「あとは、コレ。プレゼントね」

そう言って鞄の中から取り出された小包を右手にギュッと握らされた。


「えっ」

「じゃあね」

さっさと去っていこうとする直矢の腕を慌てて引きとめる。


「……オレ、用意してないっ」

…どう考えてもこの包みはオレがあげた飴玉とは割が合わないし、1000円ぽっちで買えるものじゃない気がする。

そう思っていると


「別にいいし。…それとも昨日言ったプレゼント、くれる気になった?」


「え…や、違っ!!」

慌てて否定すると

「いいよいいよ、来年で。じゃ」そう言って直矢は今度こそ去っていった。



(来年て…直矢本気なんかな…)


貰ったプレゼントよりも、キスよりもなによりも、再度落とされた爆弾発言にオレはしばらく固まって動けなかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る