第37話 混迷! 少女達は奇跡を証明する (Bパート)

チリリリン!


 鐘の音が鳴り響き、怪人達は自由を奪われる。その生命さえも。

「さすがに疲れてきたわねぇ……歳かしらぁ?」

 そう言ったスズミの顔には汗が滲んでいた。

 笑みは絶やさないまでも、疲れが僅かに顔に出るまでになっている。

 それによって築き上げた数は一山や二山ではきかない。

「母さん、私も戦うわ」

 その様子を見てカナミはいてもたってもいられなくなる。

「ダメよぉ、あなたの傷はまだ癒えてないわぁ」

 カンセーとの戦いで、傷や疲労はそう簡単に回復出来るものではない。

「母さんだって疲れてきてるじゃない」

「母さんはまだ大丈夫よぉ。それよりぃ、あなたは待機よぇ」

「どうして?」

「どうやらぁ、カナミは相当好かれているみたいだからぁ」

「意味がわからないわ」

 スズミは腕を振り上げて鈴を鳴らす。


チリリリン!


 鈴の音が怪人の耳に入り、身体の内側から破壊しつくしていく。

 それでも怪人達は次から次へと押し寄せて歩みを止めない。

「ざっと、六百……さらに、一千五百」

 スズミは卓越に強化された聴覚によって怪人の足音や心音を聞き分け、この場にいる敵やここに向かってくる敵の数を正確に割り出す。

「多分、さっきみたいなのがまた来るはずだからぁ、それまでに力を温存しておいてぇ」

 それはカンセー以外にも同じようにカナミを狙ってくる幹部がいるということ。

 テンホーとスーシー。カナミに心当たりがあるのはこの二人だ。

 どちらも直接戦ったことはないが、カンセーと同じくらい強敵だと認識している。

 出来れば戦いたくない。勝てるかどうかわからないし、こうして傷つくのも嫌だ。

「来てほしくないな」

「そう言われても来るでしょぉ、そんな予感するぅ」

 カナミにもそんな予感がする。

「……でも、だからって戦わないわけにはいかないでしょ」

「だからぁ傷がぁ」

「戦う!」

 カナミは立ち上がる。身体に痛みが走るものの、動けないわけじゃない。

「ああぁ、しょうがないわねぇ」

 スズミもその様子を見て諦める。引き止めておけるようなか弱い少女でもないと思った。

「右半分の敵は任せたわぁ」

「ええ、任せて!」

 カナミは魔法弾を連射する。

 さすがに怪人の軍勢だけあってただの魔法弾の連射じゃ、まったく止まる気配がない。

「神殺砲!」

 カンセーとの戦いで消耗した魔力から無理矢理引き出そうとして激痛が走る。

(この痛みに負けるもんかぁッ!!)

 それを意地で押しとどめる。

「ボーナスキャノン!!」

 洪水と言ってもいい魔力の砲弾が怪人達を飲み込んでいく。

「ハァハァ……」

 一発撃ったあと、倒れそうになるが膝に手をかけてこらえる。

「やっぱりぃ、アルミに似てきたわねぇ……意地でも倒れないところがぁ」

「そういうふうに鍛えられたから」

「これじゃぁ、親の面目がないわねぇ」

 スズミは少々苦笑いする。

「――まあ放っておいていたから当然か」

「母さん?」

 少しだけ声のトーンから重苦しさを感じたカナミは母の方を向こうとしたが、スズミはもう背中を向けて敵に向かっていた。それを見て今は戦いに集中しなければ、と、気持ちを切り替える。


チリリリン!

バゴーン!!

チリリリン!


 鈴の音が鳴り響く中、爆音が轟き、再び鳴った鈴の音によってかき消される。

 しかし、確実に死体の山は築かれていく。

 倒して、倒して、いくら倒しても怪人は留まることを知らない。

 恐れを知らず、ただ目標目掛けて機会のように行進してくる。

 そのせいで、生物を相手にしている感覚はなく、ただ機械を叩いて壊しているような作業のように感じられた。

「一体につき千円とかならもっとやる気が出るのに……」

「ああぁ、それ思ったぁ」

「母さんも借金で苦労してるのね」

「子は親に似るって言うしねぇ」

「元々母さんの借金でしょ!」

「あぁ……そうだったわねぇ」

 これにはスズミも苦笑する。

 ちょっとたくましくなりすぎじゃないか、と、そう思ったに違いない。

「カナミ、あとぉ千体追加よぉ」

「えぇッ!? これ以上無理よ!」

「だからぁ、休んでいていったのにぃ」

「って、母さんに一人戦わせるわけにいかないでしょ」

「嬉しいことぉ、言ってくれるわねぇ。母さん嬉し泣きしそう」

「泣き言言ってる場合じゃないでしょ! なんとかしないと!」

「それはカナミの方でしょぉ、これはぁ久しぶりに本気になった方がいいかしらぁ……」

「って最初から本気になってよ!」

「後ろからぁ、五百追加よぉ」

「もう勘弁してッ!」

 ここから後ろからやってくるとなると厳しくなる。というか、全包囲されてしまう。

「情けないわね、カナミ」

 一人の少女が降り立つ。

「……え?」

 降り立ったのは、緑をベースに赤みがかった髪をした魔法少女。その衣装は法衣にも似ていて、巫女みたいな印象を受ける。

「「誰?」」

 カナミとスズミは揃って声を上げる。

「あ~、やっぱりそうなるか」

「知り合いぃ?」

「うーん、どこかで見たような……もしかして、チトセさん?」

「あ、違うわね。チトセとミアが合体したのが私よ」

「合体!?」

 カナミは驚きのあまり、声を出す。

「あ、でも、ミアちゃんそういうの好きそうだからそうなるか」

「納得はや!?」

 ミアチトセは思わずツッコミを入れる。

「ああぁ、そういう変わった娘なのねぇ」

「しかも、初対面の人に変な印象持たれてるし!」

「それで、今はミアちゃん? チトセさん? どう呼んだらいい、ですか?」

 カナミは無理矢理敬語で話す。

 なんというか、凄く面倒な状態になっている気がしてきた。

「ミアチトセ、名前も合体させてみたわ」

「……ミアちゃんのセンスを疑うわ」

 カナミは白い目を向けて言う。いくらなんでも安直過ぎる、と。

「いや、これチトセの方も入ってるんだけど」

「まあいいわ、それで」

「よろしくねぇ、ミアチトセちゃん」

「……このムカつく喋り方する女、誰?」

 ミアチトセはスズミを指差して、カナミに訊く。

「えっと、それは……」

「私はぁスズミ。カナミの母よぉ」

「……は?」

 ミアチトセは硬直する。

「ミアチトセ、言いたいことはいっぱいあると思うけど、今は」

「……はぁ」

 そのカナミの一言でミアチトセはため息一つついて納得する。

「わかったわ。あなた、得物は?」

「この鈴ぅ」

 スズミは自慢げに巨大な黄金の鈴を見せる。

「ごっついわね、頼りにさせてもらうわよ」

「ええぇそっちこそぉ。合体したら最強ってことを見せてねぇ」

「……そうね、これで弱かったら自殺モノよ」

 ミアチトセは忌々しそうに呟く。その後に、ニヤリと笑みを浮かべる。

(チトセさん……?)

 その横顔はチトセのように見えた。

「Gヨーヨー!」

 その右手に持った武器はミアと同じヨーヨーであった。

「スパイダーフェンス」

 さらに左手でチトセと同じ魔法の糸を張り巡らせる。

「とりゃぁッ!!」

 炎に燃えるヨーヨーを投げ込む。

 怪人達が薙ぎ倒されていき、さらに糸で弾かれてまた勢い良く転んでいく。

 それを繰り返して、瞬く間に怪人達は倒されていく。

「すごい!」

 たった一撃で百体以上の怪人を倒した。カナミはその様に圧倒された。

「うーん、ひょっとしたらぁ私より強いんじゃないぃ?」

 スズミも感心する。

「こりゃぁ、負けてられないわぁ」

 スズミは黄金の鈴を投げ込む。


ゴ、チリリリン


 轟音が響き前に、鈴の軽やかな音が鳴り響く。

「うーん、十体」

 スズミは今聞き取れなくなった心音の数を数えて

「どっちも十分凄いから!」

「じゃあぁ、休んでなさいぃ」

「そうよ、下手に動かれると迷惑だから」

「むむぅ!」

 二人にそう言われると反感はあるものの、大人しくせざるを得なくなる。

 ミアチトセはもの凄く頼もしいからこの場を任せてもいい気がしてきたし、

 正直言うと魔法弾を撃つ度に全身に痛みが走る。結構無理をしてるなあって自覚もしてきたし、休むべきだと思う。

――一体につき千円とかならもっとやる気が出るのに……

 前にそんなことを言ったことを思い出して苦笑する。

 もしも本当にそれだけボーナスが入るならここは無理をしてでも頑張っていただろうなって思う自分がちょっといかれてるんじゃないかって気がしてきた。

「それじゃ、お言葉に甘えて」

「ハッピーコールウィンド♪」


チリリリン!


 スズミが心地よい鈴の音を鳴らす。

 それだけ痛みや疲れがスウッと消える。

「これは便利ね」

 ミアチトセも驚嘆する。

「疲れがとれたわ、魔力も回復したし一万体出てきても戦えるわね」

「褒めてくれて嬉しいけどぉ、一万体は勘弁してほしいわねぇ」

「あとはこのムカつく喋り方はどうにかならないの?」

「これはぁ、昔からのクセだからぁ」

 ミアチトセはため息つく。

「しょうがないわね、その分てきぱきとやってよ」

「りょーかいぃ」

 ミアチトセとスズミはそれぞれヨーヨーと鈴を投げ込む。


カンカンカンカンカン!!

チリリリン!!


 ヨーヨーと鈴がぶつかりあい、爆発したかのように勢い良く四方八方に飛び散る。

 弾かれたヨーヨーと鈴が糸でバウンドしてまた怪人目掛けて飛ぶ。

 しかも、飛んでいる間鳴り続けている鈴の音は怪人に確実にダメージを与え、弱い怪人ならそれだけ死に至っている。

「凄いコンビ……」

 カナミは安心してみていられた。

 確かにこれなら一万体来てもなんとかなりそうだ。

 というか、もうすでに千体は倒したんじゃないか、とさえ思えるくらい大量の敵を倒していた。

「もぉう、千体追加でやってくるわねぇ」

「あんた、目がいいのね」

「うぅん、耳がいいのよぉ。足音と心音の数で一万体来ても聞き分けられるわぁ」

「……耳か。さすがに心音を聞き分けるのはあたしにも無理ね」

「母は強しよぉ」

 スズミは得意気に言う。

 変なところで子供っぽいのは相変わらずだとカナミは思った。

(ミアちゃん、イライラしてないかな? でも、チトセさんも混ざってるから大丈夫だよね)

 カナミはミアチトセの様子を見てる。

(うわ、手がプルプル震えてる! 耐えて! こらえて! ミアちゃん!)

 カナミは心の中でミアを応援する。

「それでぇ、追加の千体なんだけどぉ」

「え、どうしたの?」

「その中にぃ、すんごく強いのが混じってるみたいなのぉ」

「ああ、それね。もちろん気づいてるわよ。これでもSランクと戦った経験はあるから」

「Sランクねぇ、懐かしい響きだわぁ」

「ただ、そいつよりもヤバイ感じはするわね」

「まぁ、やることは変わらないけどねぇ」

 スズミはそう言って鈴を投げ込む。そして、鈴の音を鳴らす。

「あの、ミアチトセさん……私も戦っていい?」

「あんたは完全に回復するまで休んでなさい」

「でも、いつまでも休んでいるわけには」

「ただでさえ借金の沼につかってるんだから休める時に休みなさい!」

「は、はい……」

 カナミは素直に返事する。

 口調はミアのそれだが、身体が大きくなったのとチトセが持っている大人の風格のようなものがついているせいで妙な迫力がついている。

(ひょっとして、社長より……いやいや、そんなはずないか)

 そうこうしているうちに、スズミとミアチトセは百体倒してしまう。

「歯ごたえはないわ、とっとと出てきなさいよ」

 ミアチトセがそう言うと、彼女の前に雷光が閃く。

「来たわね」

 ニヤリと笑う。

「フッここまで蹴散らされていい気になられては面倒だからやってきたまでのこと」

 そう言って、雷光とともに金色の角を生やした、俗に言う鬼の風貌をした怪人・雷口が現れる。

「いい気になってないわ、これが実力なのよ」

「ならば私の実力で黙らせてやろう」

 こいつ、強い、と一目でわかる。

 雑魚の退治に飽きてきたところだ。Sランクの怪人ならこの力がどれほどの試すのかちょうどいい、そうミアチトセは思った。

 気持ちが高揚してくる。それに比例して魔力が湧き上がってくる。

「多分このまま行けば昔の、ピークだった頃を超えることもできそうだけど、それ以上やったらいけないわね」

 身体が馴染み、魔力が充実していくごとに、ミアチトセという合体によって生まれた不安定な存在は安定していく。

 それはミアチトセという一人の人間が確かなものになっていくことで、ミアとチトセは消えていく。

 この状態がいつまで続くかわからないけど、完全な合体により元に戻れなくなる事態だけは避けなければならない。

 しかし、今この敵を倒すために溢れる魔力を存分に振るう。

「――!」

 スズミは突然せり上がってくる岩の突起をかわす。

「ほう、かわしたか」

「耳はいいからねぇ、地面から何か来るのはわかったしぃ」

「トロイ喋りしてるくせに素早い対応じゃないか。それはポーズか?」

「うぅん、地よぉ」

「そうか」

 ステッキを持った岩肌の怪人・地眼ちがんはそれで納得する。


コン


 地眼がステッキを地面に叩くと地面が盛り上がり、スズミの足場を崩す。

「あらぁ?」

 スズミは宙へ舞う。

「とおりゃぁッ!?」

 そこから一回転して、勢いをつけて地眼へ鈴を振り下ろす。

「ぬ?」

 地眼はステッキをかざして、鈴を受け止める。


チリリリリン


 鈴の音と地鳴りが響く。

「おぉ、けっこうやるじゃないぃ」

「この音、岩肌に染み入る……!」

 地眼は顔を歪めて言う。

「じゃあぁ、続けてぇいくわよッ!」

 スズミは鈴をブンブン回して次々と地眼にぶつける。

「ぐッ!」

 地眼が鈴を受け止める度に岩の肌にどんどんヒビが入っていく。

「岩の割にぃ柔肌なのねぇ」

「相性が悪いみたいだな。ならば距離を取って!」

「さぁせない♪」

 後退しかけた地眼へスズミは鈴を鳴らす。

「ぐッ!?」

 その鈴が身体に染み渡り、ヒビが大きくなる。

「効果抜群ねぇ♪」

「本当に相性が悪いみたいだ。ならば!」

 地眼がコンコンと地面へステッキを叩く。

 すると、スズミの周囲の地面がせり上がって、スズミを逃さないよう壁になる。

「壁を作るなんてぇ、伊達にSランクじゃないわねぇ」

 スズミはそう言って、唯一の出口である真上へ飛んだ。

「そのとおりッ!」

 しかし、地眼はそれを読んで、既に飛んでおり、ケリをぶちかます。

「んッ!?」

 スズミはこれを受け止めたが、腕がズキズキする。

「防いだか。だが、これで袋小路だ」

「これくらいでぇ、追い詰めたと思うのはぁ早計じゃないぃ?」

「どうかな、貴様の鈴は距離を取れば厄介極まりないシロモノだが、こうして距離を詰めれば振り回すことも鳴らすこともできまい」

「あちゃぁ~いきなりぃそこを見抜くかぁ、さすがねぇSランクぅ」

「その小馬鹿にした態度がいつまで続けられるかな」

「だから地なんだってぇ」

 スズミは追い詰められたというのに余裕を持った笑みを絶やさない。

 しかし、鈴を振りかぶってみても壁にぶつかってしまい、勢いがつかない。これだと鈴を鳴らすことも難しい。

「フッ、やはりな」

 地眼は接近して殴り掛かる。

 岩よりも固い豪腕がスズミを襲う。

「くッ!」

 スズミは鈴を盾代わりにして直撃を避ける。しかし、その衝撃でスズミの身体が浮く。

「ここまでぇ、接近許したのはぁ久しぶりねぇ」

「まだ笑っていられるか」

「そうよぉ。だってぇ鈴いらなくなるからぁ。

――思いっきり殴れるものね」

 その瞬間、地眼の背筋が凍る。


ドスンッ!


 文字通り岩を砕く正拳突きが繰り出される。

「ゴハァッ!?」

 地眼は壁に叩きつけられ、カラカラと壁は崩れる。

「自分の武器の弱点ぐらいちゃんと把握してるわよ。克服していないと思った?」

「グフ……それがこれか……」

「ええ」

 スズミは笑顔で答えて、地眼を蹴り飛ばし、掌底を腹に叩き込む。

「そう、拳法よ。まあ、我流だけどね」

「く、こんな、バカな……! だが!」

 地眼は血反吐を吐きながら、せめて一矢報いろうと岩の身体で体当たりをかける。

「チェイサー!」

 しかし、スズミはこれをハイキックで粉々に打ち砕く。

 地眼は最後までどうして自分が負けたのかわからないまま、死を迎えた。

「地眼!」

 仲間が死んだことによって、雷口は取り乱す。

「あの人、なんでもありなわけ……?」

 ミアチトセは呆れたようにぼやく。

「これで、尾張五人衆は俺一人になってしまったか……」

 雷口は身体の周囲へバチバチと火花を散らせる。

「ならば、俺一人で貴様らを全滅させてやる!」

「ああ、それどう考えても無理だから」

 短絡的だとミアチトセはバッサリと切り捨てる。

「だって、あんたはここで私にあっさりやられるんだから」

「そんなわけあるかぁッ!!」

 雷口は電撃を撃ち出してくる。

「サンダースピン!」

 それに対してミアチトセは電撃を込めたヨーヨーで迎撃する。

「ぬうッ!」

「百裂ヨーヨー!」

 激突して飛び散ったヨーヨーが弾丸のように雷口に降り注ぐ。

「うーん、我ながら酷い名付け方だわ」

 ミアチトセは思いついた魔法名をそのまま口にした自己嫌悪に陥る。これは合体したチトセのセンスのせいなのかもしれない。

「ふざけた奴だ」

 ヨーヨーを浴びるように食らった雷口は怒りを示した。

 ダメージは負っているものの、その闘志は燃え盛っている。

「しぶといわね」

「この程度で死んでたまるかぁッ!」

 雷口は電撃を迸らせる。

「雷を喰らえッ!」

 その腕から放たれたのはまさしく天上を切り裂いて輝く雷いかづちであった。

「防護法糸ぼうごほうし」

 ミアチトセはこれに対して、魔法の糸で編み込んだ即席の盾で受け止めようとする。

「ガアァァァァッ!!」

 しかし、盾の隙間を縫うように雷は潜り込む。

「く……!」

「む、耐えたか。この一撃で死ななかった人間は初めてだ」

「よっぽどヤワな人間としか戦ってこなかったのね」

「いや、俺が強すぎた。俺に勝てるのは刀吉様ぐらいなものだ」

「あ~それは聞き捨てならないわね」

 ミアチトセは両手でヨーヨーを構える。

「あんたなんて所詮雑魚に過ぎないんだから」

「それは俺も聞き捨てならんな」

 雷口は怒りの電撃を迸らせる。

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