第28話 賭博! 賭け金は少女の若さと可憐さ (Aパート)
「今月の臨時収入……」
かなみはラビィから手渡された封筒を握り締める。
「こんなものよね‥…」
その封筒の薄さにがっかりすることはない。
所詮は臨時収入なのだからそれほどの高額は期待できないし、無収入のときだってある。
そう考えれば、むしろよかった方だと言い聞かせられることもできる。
「たまにはもっとこうドカンとこないの」
とはいえ、不満を漏らしてしまうこともたまにある。
「なにその、みみっちい収入は!?」
明らかに馬鹿にした声が背後からする。
声の主はわかっている。
百地萌実。桃色の髪をなびかせ、イタズラじみた笑みを浮かべるその少女はかなみの神経を逆なでさせた。
「コロシアムの方がまだ稼ぎがいいでしょ。」
「そりゃそうだけど……」
「はあ、やだやだ。なんだってこんな貧乏臭いところでタダ働きしなくちゃいけないのよ」
萌実は不満を漏らす。そういう仕草を見ているとかなみはイライラする。
「だったらさっさと帰りなさいよ」
「帰りなさいってどこによ? あのクソ保護者のせいで帰れなくなってんのよ」
なんでも萌実は保護者のカリウスの辞令で、インターンシップという名目で会社にやってきている。
正直まともに仕事をしない萌実は迷惑でしかない。
早く追い出してください、とかなみはあるみに何度も進言したのだが、これもいい経験だと言って取り合ってもらえない。
「保護者の言いなりなんて、あんたも案外子供ね」
「うっさいわね……これには事情があるのよ、あんたには想像もできないようなね」
確かに言われてみればそうだ、とかなみは思った。
萌実が何者なのか、どうしてネガサイドに属していて戦っているのか、そのあたりの事情は全然知らない。深い事情でもあるかもしれない。
「まあ、そんなはした金で悩んでいるうちは無理でしょうね」
「は、はした金って……そういうあんたはお金なんてないでしょ!?」
悪の組織がまともに給料やお小遣いを与えるなんて到底思えない。
「それがそうでもないのよね」
萌実はそう得意げに言ってかなみに通帳を渡す。
銀行の名前はかなみとはまた違うが、胡散臭い名前であった。とにかく、それを開いて預金残高を確認してみる。
「0が一個、二個……い、い、いっぱいッ!?」
かなみはそのあまりの金額をみて驚愕し、半ば錯乱状態に陥った。
「ど、どどど、どういうことなの!? この金額ッ!? ま、まま、まさか銀行強盗ッ!?」
「銀行強盗したお金を銀行に預けるわけ無いでしょ」
「じゃ、じゃあ、何か犯罪でもしたの!?」
「違うわよ、これが私のお小遣いなの。まあ、その出処がどこからなのかは知らないし、興味もないけど」
「や、ややや、やっぱり、悪いことするって儲かることなのね……!」
「転職する?」
「だ、誰が!? しないわよ!」
「でも、お金が必要なんでしょ?」
「必要だけど、悪いことしてもらった悪いお金が必要なわけじゃないから!」
「おかしな事を言うのね、お金にいいもわるいもないのよ」
「う……!」
かなみは口を詰まらせる。
「だってね、あんたのその封筒のお金で飲み食いはできるし、そこの通帳のお金を使って飲み食いもできる。手に入れる手段や過程は違うけど、結局はおんなじお金なのよ」
「わ、わかってるわよ、そんなこと、気持ちの問題よ!」
「気持ちだけで生活できるものじゃないでしょ」
「でも、その生活だって気持ちが支えているのよ」
「ふうん、物は言いようね」
萌実は感心する。
「でも、貧乏なのは変わらないけどね、アハハハハハ!!」
しかし、最後には萌実は高笑いしてかなみを馬鹿にする。
「ムキー!」
かなみは癇癪を起こす。
「猿みたいになってる……サリィ、何か言うことない?」
「…………………………」
ラビィはそっとサリィに問いかけるが、サリィは「見ざる、言わざる、聞かざる」を通している。
「もう、なんなのよ、あいつ!」
みあは辟易していた。
あいつというのは言うまでもなくかなみ
「仕事しない、ただぶらぶらしてるだけで邪魔でうざったいのよね」
「みあちゃんもあんまり人のこと言えないんじゃ……」
「一緒にしないで!」
みあはサボることも多いが、なんだかんだ言って給料を払うに足るだけの仕事はしている。一緒にするなという気持ちもわかる。
「社長は何の考えがあってあんな娘を雇ったのかしら?」
翠華は首をかしげる。
「知らないわ、あいつの考えることもわからないし! とにかくイライラするわ!」
「まあまあ、落ち着いてみあちゃん……」
「それにいっつも、あいつはかなみにばっかりちょっかいかけてるし!」
それだ。結局のところ、みあが萌実を気に入らない理由はそこなのだ。
元々かなみとみあはそんなに喋る方ではないが、それは翠華とだって喋っているからだ。
しかし、萌実は来てからかなみと喋る機会が明らかに減っている。それは翠華にとっても面白いことではない。
「その気持ちはわかる」
翠華は全力で同意する。
よもやライバルになるとは思えないが、かなみと萌実の仲が一転しないとも限らない。
喧嘩ばかりしていたのにある日突然仲良くなる、恋人のように。
「そんなことはありえない……絶対に絶対に……!」
「なんとかして追い出せないかな……」
「追い出すのは難しいわね……でも、大人しくさせた方がいいわね」
みあと翠華は目を合わせる。
合ったのは目だけではない。珍しいことだが、初めてじゃない。
「大人しくってどうやって?」
「それを今から考えるのよ。例えばかなみさんにちょっかい出さないでって忠告するとか」
「そういうの甘いって言うのよね。そのくらいじゃあの女は止まらないわよ」
「そ、そうかしら……?」
「やるなら、本を投げつけたり、靴の中に画鋲入れたり、カバンの中に砂をぶっかけってやったり」
「みあちゃん、それはひどくない?」
「何言ってるのよ!? あの女が目障りなんだから、これぐらいやらないと追い出せないわよ!」
「……みあさんがそういうことするの、良くないと思います」
「って、うわあ紫織いたの!?」
一仕事終えて、やってきた紫織に誰も気づいていなかった。
紫織はみあの驚きように少しばかりショックを受けた。
「みあさん、ひどいです……」
「ああ、悪かったわ。泣くのは無しよ!」
みあは必死に紫織をなだめる。
その様子は姉妹みたいで、微笑ましいと翠華は思った。
(私もかなみさんをあんなふうに……でも、かなみさん強い娘だから人前で泣きそうになることは……いつもお腹を空かして泣きそうになってたかな?)
よし、今度腕によりをかけて手作り弁当を振る舞う。
そうすれば、きっとかなみも自分のことを気にかけてくれるはず。
(第一、かなみさんが喜んでくれるし……ありがとうって満面の笑顔で言われたら……)
翠華は、頭にお花が咲き誇ったかのようにバラ色になる。
「翠華さん、どうしてにやけているんですか?」
その様子を見て紫織は首をかしげ、みあは呆れる。
「あれは放っておいた方がいいわ」
ドカッ!
そこへドアが勢いよく開いて、かなみと萌実が入ってくる。
「あ、あんた……いくらお金があるからって、言っていいことと悪いことがあるでしょ!」
「悔しかったらあんたもお金持ってみなさいよ」
何やら口喧嘩しているみたいだが、まあいつものことだ。
面白くないのはみあだった。
「百地萌実ももちももみ!」
お金の話題と聞いてさすがに黙っていられなかったのか、みあは萌実を指差す。
「あら、なにかしらチビッ子!」
「ち、チビじゃないわ! これから大きくなるのよ!」
「みあちゃんはそのままで十分可愛いよ」
「かなみは黙ってなさい! 大体あんただって小さく貧相なくせして! ってああもうそういうことじゃないのよ! いい百地萌実!あんたに一言どうしても言わなくちゃいけないことがあるのよ!!」
「へえ、それはなに!?」
「かなみを借金持ちの貧乏でけなしていいのは私だけなんだから!!」
「みあちゃん、ひどい!?」
かなみは泣きたくなった。
「あら、独り占めは良くないわね、そういうこと言われると逆にどんどんけなしたくなってくるわ」
「やれるものならやってみなさいよ! あたしだって黙ってないんだから!」
「へえ、どう黙っていないのかしら?」
萌実は興味ありげに挑発する。
「かなみ、あんたってどうしてお金が無いわけ?」
「借金のせいだよ! ていうか、けなさいでよ、みあちゃん!」
「あんたは私にけなされているために生きてるようなものじゃない」
「そこまで言う!? 借金ってそこまで罪なことなの!?」
「うわ、あんた何涙目になってんの!? だいたい、借りた金をお返さないって十分犯罪よ!」
「いやいや、私は借りてるわけじゃないから!! 勝手に増えってただけなんだって!」
「ふうん、楽しそうじゃない」
萌実は面白くなさそうに言う。
(た、確かにそうね……)
翠華は二人のやりとりを羨望の眼差しで見つめた。
あそこまで遠慮なく言い合えるというのはお互いを深く理解していて、かつ確かな絆で結ばれていなければできないことだ。
例えば、自分とかなみだったらどうだろうか、と翠華は考える。
いや、無理だろう。よくかなみは翠華に相談を持ちかけたりしてくれることはあるが、遠慮しているような印象をかんじてします。し、自分だってかなみが相手となると無意識のうちに遠慮が入ってしまう。
だから、あれだけの言い争いをすることはないし、次の瞬間には何事も無かったかのようにまた話し始めることなんて到底できない。
(私が遠慮してるせいからかしら?)
でも、遠慮なく言って嫌われるかもしれない。
そうなると怖くて今のままでいいかも、と思ってしまう。
「あんたもかなみ目当てなの」
「え!?」
意外にも萌実は声をかけてきた。
はっきりいってこの娘は苦手だ。遠慮なくぐいぐい攻めかけてくるし、イタズラっ子のようなにんまりとした顔がちょっと怖い。
「あの娘、お金がないのに人望はあるのね」
「そ、それはかなみさんが頑張ってるから……」
「それだけかしらね」
「何が言いたいの?」
「べっつにーただああいう娘って、一人になるとすっごくつらい想いをするからね。そういうのってたまらないじゃない?」
萌実は悪魔のように笑う。
その嗜虐に満ちた笑顔は翠華に悪寒を走らせた。
「か、かなみさんはひとりじゃないから!」
「だといいけどね、ひとりのときって案外結構あるものよ」
翠華は苛立ちで震える。
この娘は敵だということを改めて認識させられた。
「翠華さーん」
「か、かなみさん!?」
そこへ今にも泣き出しそうなかなみが飛び込んできた。
「みあちゃんに言ってください! 私は借金持ちだけで貧乏じゃないって!」
「あ、あははは、みあちゃん……そのへんにしておいてあげて」
「ふん、ちょっとけなしただけで泣くなんて情けないわね!」
「あ、あれがちょっと……」
一部始終を聞いていた紫織はあまりの容赦の無さに身震いする。
あんなの自分が言われたら間違いなく泣く。涙をこらえているだけかなみさんは凄い、と紫織は密かに思った。
ドゴーン!!
そこへ爆音じみた音を立てて扉が勢いよく開けられる。
こんな音を立てて入室するのは、あるみだけと決まっている。
「仕事持ってきたわよ!」
あるみは陽気に言う。
あれだけ張り切っているということはよっぽど危ない仕事なんだろうと容易に想像がつく。
しかし、最近ではためらっていられないと、かなみは思うようになった。
ハイリスクハイリターン、という言葉がある。
あるみの持ってくる仕事はまさにそれだ。
鯖戸が持ちかけてくる仕事は基本ローリターンだ。ハイリスクかどうかはその時々によって変わってくるが、とにかく報酬は雀の涙で泣きたくなるぐらい、ローリターンだ。
しかし、あるみの仕事は基本ハイリスクだが、見返りはそれなりに期待できるし、金払いもいいのでそれだけで今持ってくる仕事を受けてみる価値はあると、かなみは判断した。
「社長、その仕事ってなんですか!?」
「お、くいつきがいいわね、かなみちゃん!」
あるみはニヤリとする。
「かなみちゃんにおあつらえ向きの仕事よ。誰かパートナーが必要なんだけどね」
「パートナー……」
その言葉を聞いて、翠華は名乗り上げようとした。
しかし、また遠慮する。
今ここでパートナーに名乗り上げて、断られたらどうしよう。と、恐怖してしまった。
「じゃあ、私がそのパートナーになってあげようかな?」
意外なことに萌実は名乗り上げる。
「え!?」
これにはかなみは声を上げて驚いた。
「え!? ってなに、そんなに嬉しいの?」
「嬉しいわけないじゃないの! 誰があんたとなんかパートナーくむもんですか!」
「よかった。嬉しいなんて言われたら寒気が走るところだったわ」
「じゃあ、二人で行ってもらいましょうか」
「「はあ!?」」
かなみと萌実の声が重なる。
「社長、本気なんですか!?」
「こいつと組むなんて冗談じゃないわ」
二人共抗議する。
「私は冗談はあんまり上手くないのよ」
「ええ、そうね。全然笑えないわ」
「だからこういうときは本気よ」
「今すぐ鉛玉食らわせてやろうか、このババアッ!」
この時、かなみ達は即座隅っこに退避した。
萌実が本物の銃を取り出して、あるみに向けたからではない。ババアと言われたことであるみがニコリと笑ったからだ。
こういうとき、あるみは天使のような笑顔で悪魔のような残虐を行うかもしれない、という予感が恐怖となって全身を警告したのだ。
「そんな豆鉄砲で私を殺せると思ってるのかしら?」
あるみは一歩萌実へと近づく。
たった一歩、歩いただけで突風が巻き起こったかのような強烈な威圧感を叩きつけてくる。
――ああ、この人には一生勝てる気がしない。
この場にいた魔法少女達は思った。
怖いもの知らずと思われた萌実でさえ、その威圧感に恐怖を覚え、一歩だけ後ずさった。
「殺せると思ったら銃口を向けられないわよ」
「殺されると思ったら銃口を向けないのと同じようにね」
「はあ」
萌実はため息をついて銃をしまう。
「わかったわ、今回はおとなしく従うわ」
「今回も、でしょ。次回もよろしくね」
「次回があったらね」
ここで一区切りついて、緊張が緩み、和やかな空気が少しずつ流れ始める。
「やっぱりあの娘がいると生きた心地がしないわ」
「その生きた心地がしない娘とこれから仕事するのよ」
みあはご愁傷様と言いたげに嫌味を言う。
「うーん」
かなみは憂鬱な気分になる。
せめて、これで報酬が良ければ、というわずかな期待だけを持って萌実との仕事に望む実感を固めつつあった。
「さあ、これが軍資金よ」
あるみはそう言って封筒にたっぷりと詰められた札束をパンとデスクへ叩きつける。
「た、たたた、大金!?」
特にわけもなく、ただお金がそこにあるというだけでかなみは恐れおののいた。
「軍資金って、こんなはした金で何をしようっていうの?」
それを冷静に見下ろした萌実は訊いた。
「はした金って、そりゃあんたの預金に比べたら大したことないけど、一般的には十分大金なのよ!」
「そして、あんたにとっては法外ね。文字通り法律の外側から借金を背負っているあんたにとっての皮肉なんだけどね」
「なんですって!」
かなみは突っかかる。
「社長! やっぱりこんなやつと一緒に仕事なんてできませんよ!」
「そりゃどうも! せっかくの軍資金は私が全部貰うわ」
萌実は封筒に手を伸ばす。
「って、ちょっとなんであなたが貰うのよ!?」
かなみがそうはさせじと伸ばした手をはたく。
「だって、私の仕事のためにくれるんでしょ?」
「くれるんじゃないの。ちゃんとあとで返すのよ! っていうか、やっぱりネコババするつもりだったんでしょ!」
「だって目の前にお金があったらネコババするのが礼儀でしょ」
「そんなスリみたいな礼儀、とっとと捨てなさいよ!」
かなみが睨んで、萌実は笑って受け流す。
「あ、あの……やっぱり、この二人でいいんでしょうか?」
「翠華ちゃん、不安なの?」
「不安ですよ、仕事になるわけないじゃないですか……これなら、かなみさん一人でやるか、それか……」
言いかけて、翠華は口をつぐんだ。
私と組ませてください、と言おうとして条件反射でやめた。
しかし、その想いはあるみに見透かされた。
「フフ……それじゃ、翠華ちゃんにも組んでもらいましょうか?」
「え!?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。
「わ、私も!?」
「かなみちゃんに訊いてみましょうか?」
「え、いや、その?」
翠華が遠慮しているうちにあるみはかなみに耳打ちする。
「翠華さんとですか?」
「三人でならどうよ?」
ヒソヒソ話をしているようだが、少しずつ聞こえてくる。
「三人ですか?」
「翠華ちゃんとは嫌?」
ドキリとするような問いかけだ。
わざわざ聞こえるような声の大きさにしているところにあるみの性格の悪さを感じずにはいられない。
「いえ、そんなことないです」
かなみは即答する。
翠華の不安は杞憂だったということだ。
「翠華さんはとても頼りになりますから」
「――!」
声になって出ようとしたところで、必死にこらえた。
――頼りになる、頼りにされている。
その高揚で舞い上がりそうになる。
「ふうん、私はいいわよ。面白くなりそうじゃない」
「じゃあ、あたしも!」
みあはすぐに名乗りを上げる。
「みあちゃんはダーメ。紫織ちゃんと別の仕事よ」
そう言って、あるみはみあにまた別の封筒を渡す。
「はあ、なんでこんなときに紫織となんか!」
「なんか……私となんか……」
傍からそっと聞いていた紫織は暗い顔で呟き込む。
「みあさんはやっぱり私とお仕事するのが嫌なんですね」
「あ、そういうわけじゃなくて! ああもう面倒ね! さっさといくわよ!」
「で、でも……」
「いいから!」
みあは無理矢理紫織の手を引いて連れ去っていく。
「みあちゃん、やっぱり後輩の面倒見がいいわよね」
「あの、かなみさん……忘れてないと思うけど紫織ちゃんの方が年上なのよ」
翠華にそう言われて、にこやかにしていたかなみの微笑みが引きつる。
「で、でも、私もみあちゃんには助けられてますから……年上への面倒見がいいですよね」
「まあ、そうね……私にとってもみあちゃんは先輩だから」
「あ、そうなんですか」
翠華とみあがかなみにとっての先輩。
でも、どちらが先輩なのか、までは知らなかった。
イメージ的には翠華の方が先輩だと思い込んでいた。
「じゃあ、みあちゃんが一番の先輩なんですね」
「私の方が経験長いのにね……」
萌実は面白くなさそうに言う。
「ここじゃ、私が先輩なのよ」
「うわあ、死にたいわ。あんたの後輩なんて最低よ」
「そこまで言わなくていいでしょ!」
また言い争いが始まった。
「ね、いいコンビでしょ?」
あるみは翠華にそう言うが、素直に頷けない。
(こ、こんな二人で、大丈夫なのかしら……?)
翠華の不安は増すばかりであった
高層ビル群の片隅にある小さなビル。その中に、かなみ、翠華、萌実は入る。
「ど、どうでしょうか?」
「素敵よかなみさん」
子供用のタキシードを着込んだかなみは不安になって翠華に訊く。
「翠華さんは凄く似合うのに……」
「わ、私はそんなことないと思うけど」
「いいえ、翠華さんの方が凄く似合います。大人の魅力ってやつかもしれません」
「お、大人って……私、高校生なのよ、かなみさん」
「え!?」
「いえ、そこを驚かされても困るんだけど……」
「ようするに、あんたもババアってことね」
ピキッと翠華は青筋を立てた。
ああ、かなみさんはこういうところが嫌いなんだ、と今なら共感できる。
それはとても嬉しいことのはずなのに、ニヤリと笑う萌実を見ると打ち消される。
「そういうあなたはおいくつなのかしら?」
「そういうことは聞かないのがこの世界の鉄則なのよ」
「どういう世界よ、それ?」
少なくとも翠華にはとても縁が無さそうに思えた。
そんなかなみ達はビルの奥へと進む。
エレベーターに乗って、翠華が目的の階のボタンを押す。
B3Fだ。
誰かが偶然に入ってきて誤って押してしまうの防ぐためにそう言う階に設定されているのだとかマニィが言っていた気がする。
誰かが、偶然入る。そんなことが重なるのだろうか少し疑問だった。
エレベーターに乗って降りていく感覚はある。
それが妙に長く感じる。
「緊張してる?」
萌実は茶化すようにかなみに訊く。
「うん、ちょっとね」
しかし、かなみは緊張のせいか素直に答える。
こんな立派な服を着ているのもさることながら、これから向かう場所が場所なだけに緊張してしまうのだ。
その場所というのが、エレベーターを降りたすぐ先だ。
「これが、非合法裏カジノ」
ガタガタ、ガラガラと音がせわしなく音が鳴り続ける。
それにともない、阿鼻叫喚、狂喜乱舞の声が上がる。
「まるでお祭りね」
「あそこで頭を抱えている人が他人に思えません」
かなみは切実な眼差しでスロットの前で頭を抱えたり、うなだれている人達を見つめる。
あれは未来の自分の姿だと想像すると他人事に思えないのは無理もない話だ。
「一度ああいうドル箱積んでみたいと思ってたのよね」
しかし、その奥で金色のコインがタップリ詰まった
それを見て萌実はまるで縁日にやってきた子供のようにはしゃぐ。
「そう簡単に勝てるわけないじゃない」
「簡単に勝たないといけないのよ」
萌実はそう言って背を向ける。
――カナミ、あんたはわかっていない。私はね、勝たなくちゃいけないのよ!
戦って! 勝って! それが私の存在意義なのよ!
何気なく聞こえた声があの時の戦いの声と重なる。
あの時、おちゃらけた調子で本音を一切話しそうにない萌実が吐き出した本音。
――勝たないといけない。
勝たないといけない重圧を背負っているなんて思わなかった。
なんでそういう使命を背負ってしまっているのか。
かなみは萌実のことを何も知らない。
知りたいわけではない。だけど、知らなくちゃいけない気がする。
あるみが何か知っていそうな感じはするが、その件に関してあるみはダンマリだ。
本人に問いただしても答えてはくれない。馬鹿にされてはぐらかされるのが目に見えている。
「かなみさん?」
「え、あ、はい!?」
翠華の声でかなみは自分がボオッとしていたことに気づく。
かなみは慌てて翠華を追いかける。
今はそんな事を考えるより、この仕事を成功させなければならない。
何しろ、今回はいつも以上に借金が関わっているのだ。
あるみから渡された今回の軍資金、あれがそうだ。
今回かなみ達がこのカジノで勝負して負けた場合、その分だけかなみの借金に回されるということになっている。
理不尽です! と、抗議したところでかなみはあるみが聞き入れるはずもなく、この仕事は強行された。
(こうなったら何が何でも買ってやる!)
と気持ちを切り替えた。
それに勝てばその分だけ、かなみにボーナスになるのだから何が何でも勝たなければならない。
しかし、いざカジノの換金所を目の前にすると本当に勝てるのだろうかと不安になる。
ギャンブルといえば負け続けて破産して悲惨なことになるイメージが強い。
今、軍資金の入った封筒は翠華が持っている。一番の先輩で頼りになるからだ。
その翠華が換金所でこのお金をゲーム用のチップに変えようとしている。
今ならまだ間に合う。
ここで換金しなければ勝負しなくていいから負けることはない。
負けることがないから破産することはない。
それでいいんじゃないかな、と思ってしまう。
「かなみさん?」
そんな気持ちを察した翠華がかなみを問いかける。
「本当にいい?」
このお金を使っていいの、と言いたげに真剣な眼差しでかなみを見つめる。
今なら間に合うんだけど。
でも、ここで逃げたら仕事は失敗したことになる。
そこでどんな罰ペナルティがあるみから科せられるか、考えたくもないし、逃げたくない。
「お願いします」
かなみは決意のもと、返事する。
その意志を汲み取って、翠華は即座に封筒を出す。
「全額お願いします」
受付の人はすぐに受け取って札束に機会を入れる。
するとチップが凄い勢いで出てくる。
「まるでゲームみたいね」
まさしくゲームセンターのメダルのようだ。
そのカップ一杯に入れられたチップを見上げる。
「これがあんたの生命線ね」
萌実はニヤリと笑って、その三つのカップのうちの一つを取る。
「う、うるさいわね! 空からにしたら承知しないわよ!」
この軍資金を三等分して、それぞれの勝負で稼いでいくというのがこの仕事の取り決めだ。
「かなみさん、頑張りましょう」
「はい! 翠華さんもお願いします!」
かなみのまっすぐな眼差しに翠華も重圧を感じる。
(ぜ、絶対に負けないようにしないと……!)
翠華だってギャンブルに強いわけじゃない。というか、経験はまったくない。それなのに、頼りになりそうだからと大した根拠も無く信頼してくれている。
絶対に期待に応えなければ、と翠華は手渡されたカップを握り締める。
三人で手分けしてそれぞれのギャンブルに取り組むことになった。
パチンコ、スロット、ルーレット……
見渡す限りのギャンブルとそれに挑む人達の熱狂に圧倒される。
自分もなにかしなければと思いつつも尻込みしてしまう。
「勝てる気がしないわ……」
「そうだね、君に勝ち運があったらこんなところで賭けに出ていない」
「あんたは黙ってなさい」
かなみは叩き落す。
「私に勝ち運が無いかどうかやってやろうじゃない」
かなみは勢い任せでパチンコに座る。
絶対に勝ってやる。その記憶を手に乗せてパチンコのレバーを回す。
………数分後
パチンコの前でうなだれるかなみの姿があった。
まさしく予感したとおりになった。
ここに来た直後にパチンコの前で頭を抱えている人と同じになった。
「ああ、どうしよう! もう半分になっちゃたよー!」
「勝ち運が無いと思っていたけど、まさかここまでとは……」
さすがのマニィも呆れて棒立ちになってしまう。いや、このマスコットは元からかなみの肩で棒立ちの状態であったが。
「これ以上やっても勝ち目がないから、他の台に変えてみたら? いや、そもそもパチンコをやめてみたら?」
「いいえ、この台で何が何でも勝ってやるわ!」
こうなったら意地よ! とでも言わんばかりに自分を奮い立たせる。
「すっかりのめり込んでるね、君は破産するタイプだよ。いや、もう破産しているか、アハハハハ!」
「むう……!」
マニィの嘲笑が耳に障る。
「私が破産するタイプって……!」
でも、悔しいけどその通りだ。
あっという間にパチンコで軍資金の半分を使い果たした。明らかにギャンブルに向いていないのはわかる。
「……パチンコはやめるわ」
かなみは立ち上がる。
こういった純粋なギャンブルじゃ勝てない。やるならもっと自分に向いた勝負をするべきだ。
「私に向いてるモノはないかしら?」
かなみはキョロキョロ見回す。
ジャラジャラジャラジャラジャラジャラ!!
そこへあるスロットの台から勢いよくチップが出ている。
「翠華さん!」
それは翠華の座っている台だ。
「あ、かなみさん?」
「翠華さん、凄いですね! これ、いくら勝ってるんですか!?」
「なんだか、スリーセブン連発しちゃって……これでかなみさんの借金返済の、足しになれたら嬉しいわ」
「翠華さん……」
かなみは涙が出そうなほど嬉しかった。
「やっぱり、翠華さんは頼りになります!」
勢い余って翠華に飛びつくとこうとした。
「わ、かなみさん!?」
翠華はあまりの突然のことに「まだ心の準備がー!」と叫ぼうとした。
パパパパーン!!
しかし、そこでスロットからトランペットが鳴り出す。
「あ、翠華さん! また大当たりですよ!」
「か、かなみさん……!」
翠華は嬉しかったような、残念なような……とにかく、スロットの台に向かった。
「凄いですね、ドル箱持ってきますね」
「あ、う、うん、お願いね」
かなみはスタッフを呼んでドル箱を要求する。
「ウシシ、千載一遇のチャンスだったのにな!」
「それを言わないで……でも、かなみさん不意打ちで来るから心臓に悪いわ」
「ウシシ、それもまた恋ってやつだぜ」
「え、ええ……でも、これで確実にかなみさんの好感度はアップ……頼りになリますって、頼りになりますって……!」
翠華は有頂天になってスロットのボタンを押すのを忘れた。
「あー!」
かなみの声で我に返った。
「大当たりタイム終わっちゃってますよ!」
「え、あぁッ!?」
うっかりしてしまった。しかし、そのおかげでいくらか冷静になれた。
一息ついて、またいつもの落ち着いた顔をかなみに見せる。
「ごめんなさい、かなみさん」
「え、なんで謝るんですか?」
「このお金で借金返済させてあげたかったのに」
「そんな……もう充分稼ぎましたよ」
「でも、かなみさんの四億には到底届かないわ」
「それは……」
そう言いつつ、翠華はスロットのスイッチを押す。
「嬉しいんですけど……借金は私の手で返しますから」
「かなみさん……」
翠華にはかなみの気持ちを察した。
痛々しいけど確かな決意。
出来れば共に立ち向かっていきたい逆境だけど……
「わかったわ。せめてここで稼ぐお金ぐらいは受け取って、元はこれはかなみさんのモノなんだから」
「翠華さん……」
翠華はスロット台を押す。
7!7!7!
再びスリーセブンが揃う。
台の画面が光りだす。
「凄いです! 翠華さん! 凄いです!」
「たいしたことないわよ。怪人の攻撃に比べたら止まって見えるもの」
「ええ!?」
「目押しというやつだね。近接特化の翠華の動体視力なら十分可能だよ」
「可能なんですか!? それなら私だって!」
「ああ、かなみは無理だね。魔力を視力強化に回せば別だけど」
「じゃあ、さっそく!」
かなみは翠華の隣のスロットの台に座る。
「ああ、魔法は御法度だよ。使ったら即座にあるみに報告するから」
「な、なんで!?」
あるみとマスコット達は魔力を供給している。
その関係でこのマスコットはあるみの目であり、耳でもある。
報告するとなったらそれこそ数秒の間もなくあるみに知れ渡るのだろう。それだけに魔法は絶対に使えない。
「使っちゃダメなのー!?」
かなみの悲痛な叫びが木霊する。しかし、それはカジノの喧騒の前にかき消される。
「それだと面白くないからだそうで」
「私は面白くない!」
かなみは台を叩きそうになる。
「いいや、私だって動体視力なら自信あるわ!」
かなみはスロットにチップを投入しようとした。
「ダメよ、かなみさん! ここは私に任せて!」
「翠華さん……!」
「私はいつも至近距離で戦ってるから、魔法を使ってなくてもこのスロットは止まって見えるけど、かなみさんはそうはいかないでしょ」
「そ、そうですね……」
かなみは納得せざるを得ない。
かなみは離れての魔法弾や砲撃が主体で、接近戦は翠華どころかみあよりも少ないかもしれない。
「……これは、私に向いてないかもしれません」
「向いてない? かなみさんに向いているギャンブル……?」
翠華はスロットのスイッチを押しながら考える。
「それはなんだかわからないけど、このカジノのどこかにきっとあるんじゃないかしら?」
「は、はい! 探してみます!」
かなみは勢いよく席を立ち上がる。
さっきのパチンコの台で重い腰をようやくあげた時とはまるで別人のようだ。
「わああああッ!!」
そこへ奥の方から歓声が上がる。
「ん、何かしら?」
かなみは興味を引かれて、その歓声の方へ行く。
歓声が湧き上がった先にあるのはルーレットだった。
赤か、黒か、どちらを選ぶか。
その二択によって天国か地獄か命運を分ける。
(確率は二分の一……でも、今の私じゃそれも勝ち目ないかも)
そう弱気になっているところで、ルーレットで歓声が上がった理由を知ることになる。
萌実だ。
萌実が物凄い得意顔でチップを積み上げている。
その量はさっき翠華が積み上げたものより多い気がする。
「萌実!」
「あら、負け犬じゃない」
「ま、負け犬って……!」
実際そのとおりだ。
カップに半分しかないチップをみると惨めな気持ちにさせられる。
「さあ、次ね。」
萌実は全部のチップを赤に乘せる。
「赤ルージュよ」
「ぜ、全額!?」
勝てば確かに倍額に戻ってくるが、外れれば今までの勝ちが全て無に帰して無一文になる。
「ちょ、ちょっといくらなんでも調子に乗りすぎじゃない?」
「いいのよ、絶対勝つから」
「絶対って……次にルーレットが赤に来る保障があるの?」
「保障……そうね、私の勝ち運が保障ってところかしら?」
「勝ち運って! そんなもので私のお金を……! っていうか、今までそれで稼いでたの!?」
「ええ、手っ取り早く稼げていいでしょ」
かなみは呆れてワナワナと震えた。
「ば、ばば、バカじゃないの!? それで勝ってこれたからよかったものの、もし一回でも負けたら破滅よ破滅! あんた、わかってやってんの!?」
「わかってるからやってんのよ。こんなことでも、私は勝たないといけないのよ、勝ち続けないとね」
意外にも萌実は真剣に答えた。
――戦って! 勝って! それが私の存在意義なのよ!
あの時の声がまた今の萌実と重なる。
「どうしてそんなに勝ちにこだわるの?」
「あんたにはわからないでしょうね、わかってほしくないけど」
そう言って萌実はルーレットに視線を移す。
カラカラカラカラ
みると、ルーレットはもう回っていた。
赤と黒のラインを超えたり、入ったりして、軽快な音を立て、玉が回り続ける。
(赤……! 赤……! 赤! 赤! 赤!)
かなみは祈るように玉を見つめ続ける。
これに負ければ、負けた分だけかなみはまた借金を背負うことになる。
そんなの絶対にゴメンだ。
赤だ。何が何でも赤だ。是が非でも赤だ。頼むから赤に入ってくれ。
「お願いーーーー!」
――カタン!
玉は赤の穴に落ちた。
「おおぉぉぉぉぉぉぉッ!」
かなみの歓喜の声と周りの取り巻きの歓声が重なって、どよめく。
「凄い、また勝った!」
「これでいくら稼いだのかしら?」
「また賭けるのか? また勝つのか?」
「俺もあの娘に賭ける方に賭けようかな?」
などなど取り巻きは好き勝手に言ってる。
「どう、あんたも賭ける?」
「……う!」
かなみは迷った。
確かに今なら萌実の賭ける方に賭ければ確実に勝てるだろう。
しかし、それを許さなかった。
邪魔をしているのはプライドだ。
こいつに頼るなんて死んでもごめんよ。
「なんてね!」
その気持ちを察したのか萌実は茶化す。
「冗談よ。あんたが賭けると私のツキが逃げるから絶対にやめてよね」
「む……!」
これにはかなみもイラッとした。
「上等じゃない! やってやるわよ!」
かなみはチップを台に置く。
「そんなみっともない賭金タネで私とやろうっていうの?」
「みっともなくても、私のお金よ! 意地でも勝ってやるんだから!」
「フフ、面白いじゃない。こうなったらギャンブルで勝負もいいかもね!」
かなみは萌実を睨むが、萌実は別の方へ視線を移す。
「でも、今回はお仕事優先ね」
「はあ?」
かなみは呆然とさせられる。
このいい加減な萌実が仕事を優先なんて冗談もいいところだ。
しかし、かなみは萌実の視線の先が気になってそちらに目をやる。
「――あ」
今回の仕事、それはギャンブルで一儲けすることではない。
ギャンブルは軍資金を元手に稼いで賭金タネを作る過程に過ぎない。
本当の目的はこの作った賭金タネで勝負することだ。
その視線の先にいる賭けの怪人――賭博師ギャンブラーだ。
タキシードに身を包んだ紳士風の男。
ニヤリ顔で萌実の前に座る。
「稼いでるみたいだね、お嬢さん」
男は優しく語りかける。
しかし、その瞳には獣のような獰猛な目で睨んでいる。
――喰ってやろうか。
そんなギラついた目だ。
「フフ」
しかし、その視線を萌実は笑って受け流す。
この男……爆ばくという名で、裏カジノを渡り歩いて荒稼ぎしてはカジノの金を根こそぎ持っていく賭博場荒らしだ。
その被害額はかなみの借金なんて子供のお小遣いに思える程だとあるみは言っていた。
あまりにも勝ちまくるので廃業に追い込まれたカジノがいくつもあると聞いている。
今回の依頼はそのカジノの組合かららしい。
『爆を負かして二度とカジノに立ち入れられない身体にしてくれ』
封筒にはそう書かれていた。
身体に……ってどうやって? と、かなみと翠華は思ったが、とにかく爆を負かすには賭金タネが無いことには始まらない。そういうわけで、かなみ達は賭けとカジノの雰囲気に慣れるために練習を兼ねてひと勝負していたわけだが、その本番が早くもやってきたようだ。
「一勝負やってみる?」
「可愛いお嬢さんのお誘いを断る紳士はいませんよ」
爆は不敵に笑う。
「あんたの得意なギャンブルで勝負してやろうじゃない」
「では、ブラックジャックではどうでしょうか?」
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