Chime

白い猫は、私に向かって尻尾をふった。


「ミルクが欲しいんじゃろ!魔法を使ってだしておあげ」


妖精王ハーランは、私にウインクする。


学校の先生には、魔法は使ってはならないと習ったけど……。妖精王がいいっていうんだからいいのか!


私は、テーブルに向かって、手をふった。たちまち 、ミルクの入ったおわんがあらわれた。


「ただし、魔法を使うのは、人間界では、必要最低限にしとくことじゃ。そなたは、モモ!これから人間界に修行にいくとこだな?」


「はい、私はモモです。魔法でわかったんですか?」


「魔法の水晶玉に映し出されていたのじゃ。ココアを飲んだら旅立ちじゃ。ハザマに送ろう」


私は、あわててココアのカップを取り、猫がミルクをなめるのを見ながら、ココアを飲みほす。


ハーランが、また、手をふった。金色のベルがあらわれた。


「用意はいいかな?ハザマについたら、望む道を心で唱えよ。道は開けるぞ」


「道?」


「そなたが望むこの先の人生じゃ」


ハーランがベルを手に取り、鳴らした。きれいなチャイムが鳴り響いて私は、意識をなくした。


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