結婚を誓った幼馴染が久々に会ったら性別が変わっていた件について
( ˙-˙ )
八年前
セピアの記憶
緋色の髪が風に揺られて夕焼けの光を反射しながら輝く。
夕日を背景に丘に立つ彼の後ろ姿を見つめる。
しばらくその景色に見惚れていた少女のメイはハッと我に帰った。(いけない、いけない)と心で呟き、緋色の髪の少年の名を呼んだ。
「アルト」
呼ばれて彼は振り向き、金色の瞳でメイを見つめては嬉しそうに笑った。
「メイ。こっちに来いよ」
「う、うん。今行く」メイが隣に立つとアルトはまた夕日に視線を戻す。アルトは何かを名残惜しそうに思う切なげな表情をしていた。しばらく二人で夕日を黙って眺めているとアルトが沈黙を破った
「この景色もメイと見るのは今日が最後か」
「別に恋しくなったら、帰ってくればいいじゃん」
「あぁ…そうだな…」
「何よ、いつものアルトらしくない。どうしちゃったの?」
夕焼けのせいか、はたまた熱でもあるのだろうか、アルトの顔は赤く染まっている。心配してメイは体調が悪いなら帰る?と言うと、アルトは体を震わせて「違うッ!」と叫んだ。
そして…
「俺が強くてカッコいいオトコになってこの村に帰ってきたら…結婚してくれ!」
と齢十才の少年は同い年の少女に告白したのだ。
「!!!」メイの顔もみるみる赤くなりながら、照れ顏で「喜んで」と返した。
その返事にアルトは今にもオーバーヒートしそうになる。さらにメイはトドメを刺すようにアルトの額にチュッと唇を押し当てる。
それは甘酸っぱいセピア色に包まれた8年前の記憶。
少年は少女と共に生まれ育った村を離れ、何処かへ。
そして時は進み、少年少女は大きくなった…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます