21 U
才能を顕わす前の自閉症児を薬物治療したらその天才(ジーナス)は何処に行くのか気になるところだが当時わたしが暮らしていた田舎には目立った自閉症児はいない。
その代わりに勘の鋭い人間は結構いたのでわたしと上級生の自殺を関連付けて考える者もあったはずだが幸いにしてそのような噂が家の近くを流れることもまた直接わたしに届くこともなく済んでいる。
わたしの生活は平穏に戻り家には頻繁に伯父が出入するようになる。
姉が年上の恋人Uを家に連れてきたのもその頃でわたしは何故かUに心惹かれてしまったのが悔しくてUを口説き落としには走らない。
それでもUが自分の意思でわたしに近づいて来たときには躊躇せずにUに抱かれる。
わたしはUに姉とわたしのどちらが好きかなどという馬鹿げた質問はしなかったのでUはしばらく二股をかけて過したが実家の農家が廃業を決めると高校卒業を機に都会に働きに出てしまったのでそれっきりだ。
Uが都会に出て行くとき姉は泣きながら追い縋り自分も一緒に付いていくと主張したがUがいずれ機を見て迎えに来ると約束したので素直にそれに従う。
Uがその後姉を迎えに来ることは一切なく姉もやがて別の恋人を得てUとの件は有耶無耶のうちに終結する。
その後Uとわたしは東京で再開することになるがそれはまだ先の話だ。
クレミン/モサプラミン(顆粒10%1g有り、10mg錠、25mg錠、50mg錠)はこれまでのもの同様統合失調症などの治療に用いられるイミノベンジル系定型抗精神病薬だが薬には良くあるように無臭だ。
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