ACT.10 純上位職とAランククエスト

━━クリストファーくんの講義から始まります━━



「基本初期職は、『ファイター』・『アーチャー』・『マジシャン』なんです。そこから派生上位職に転職するには、最初はDランクからになります。Zランクからあるのにって思いますよね。でもお話した通り、Gランクまでは比較的簡単にランクアップ出来ちゃうんです。そこからがちょっと難しいんですよ。ランク一個上がこなせればすぐに上がりますが、失敗したら本末転倒ですからね。今はアップデートごとに仕様も厳しくなって、同ランクでも中々クリア出来ないんです。だから皆さん、ランク一個下げて何回も挑戦している現状です。」


数も限られているから、ただたむろしてる連中も多いわけですね。まぁオンラインゲームって交流も大事ですから、レベルやランクに執着しなくてもいいですしね。


「一番多いのは『ファイター』からの『ハチェッター』。これは昨日の斧の方ですね。それと、『グレートソーダー』。昨日の大剣の方です。あと、『シーフ』。こちらも昨日の方ですね。この役職は純派生と言います。《ハチェッター》は《サイザー》。鎌使いになれます。《グレートソーダー》は《ナイト》になれるんです。《シーフ》は《リッパー》ですね。」


グレープソーダー??覚えきれないんで、相関図ほしいでーす!




暫く歩くと、城門前に到着します。


何にしましょうかねー?やっぱ、無難にBランクですかー?……あれ?あそこにいるの、昨日の大剣の人じゃないですか?ほら、グレープソーダーの!



進行方向なので近付いていきます。



「あ、キングスさん……。」


彼も気がついたようです。咲哉を目視するなり、青ざめています。


「よ、よぉ。昨日はお疲れさん。」


相当堪えてますねー。


「なぁにぃ?この子たち、知り合い?」


セクシーなお姉ちゃんキター!


「『エンチャラー』の方ですね。属性付与する役職なんです。『マジシャン』のの一つです。」


女性を目の前にしてもブレないクリストファーくん。


「ああ……、昨日のメンバーだよ。」


ばつが悪そうですね。


「へぇ。初心者さんの面倒まで見られてるんですか?お優しいんですね。」


清楚系お姉ちゃんです!


「あ、『クレリック』の方ですね。こちらも『マジシャン』の純派生上位職なんです。ボクはこちらに転職のつもりですよ。」


へぇー。しかし、ブレないね……。


「ま、まぁな。」


「じゃぁ、一緒にいく?」


「ちょっまっ……。」


咲哉はすぐに首を振りました。


「そ、そうか。まだ慣れないだろうし、人数多いと戸惑っちまうもんな!いつかまた行こうぜ!」


咲哉は頷きました。頷いてあげるのがタシナミってことだよね。


「僕たち、足手まといですから。失礼しますね。」


今は下手なことは言えない状況だから仕方ない。彼のプライドも尊重してあげよう。……ナンパにしかみえないけどねー。しかし!羨ましいぞ、今畜生!


当の咲哉は掲示板を見つめてる。興味ないのか、真面目に探し始めた。


「あ、サクヤさん!昨日、サクヤさんのお陰で、EからCにランクアップ出来たんです。ありがとうございます!」


ああ、"ドラゴン"ってそんなに経験値美味しいんだね。EランクがBランク級の倒したパーティーにいたら、それくらいなって当然だねー。


「だからその……転職に付き合って頂けませんか?」


確かDランクで最初の転職が可能なんだっけか

Cランクなら安定して転職出来そうだね。……これで安定のデスペナ受けたらどうなるのかな?


咲哉は頷きます。






流石にカリムさんはこっちは案内してくれてないみたいね。


「ありがとうございます!こっちですよ!」


転職はどんなゲームとも同じで、"神殿"らしい。『神殿地区ヴァルハラゾーン』へと足を向けた。去り際、然り気無く咲哉は一枚クエストを接がした。


「ん?サクヤさん、目ぼしいのありました?……って!?これ、Aランクの一番大変なヤツじゃないですか!」


あらやだ、咲哉ってば大胆。内容は……「ドラゴン討伐」ね。『フォレストドラゴン』、『ナイトメアドラゴン』、『シャドウドラゴン』、『ブラックドラゴン』……。『フレイムドラゴン』ちゃんがBランクだったんだよね?この四ドラゴン、全部Aランクだね……。…………いや、きっと咲哉ならやれるさ。


「何だかサクヤさんなら出来そうな気がしますよ。」


そんな二人を驚愕の目で、キングスが見つめていた……。顔色わるくないすか?


「あ、さっきの女性たちお綺麗でしたけど、サクヤさんの方がお綺麗です!」


にっこり笑って先導していく。

『エンチャラー』と『クレリック』の二人がすごい形相でこちら見てますよ、女性怖い怖い。逆にキングスさん、呆気に取られてます。見れてないのは悔しいけど、小気味いいですねー。……しかし、クリストファーくん。諦めてないんですね。






━━二人は知らない。咲哉を凝視する目があったことを。━━



******ACT.11へ******

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