ACT.2 推敲と推察

しかしながら、言葉を発さなくとも物語ストーリーと言うものは、進んでしまうものなのである。


……………とは言ったものの、目的コンセプトも性別も謎に包まれたままのもやもや感を感じていらっしゃる方も少なくないはずだ。この世界があのゲームの中だと思い、進めていこう。


ここで推敲のお時間だ。皆さんは冒頭を覚えているだろうか。


《━━お決まりの魔物襲来から物語は始まる━━


ここは魔法技術最先端なのに貧困極まりない小国。毎度毎度、隣国やら他国、魔物に襲われ、散々な国である。しかも国の名を持たない。

取り敢えず国王の名前が名称になり、毎回変わる為に意味あるのは技術力だけ。


勇者など存在するわけもなくて、野望と欲望ばかりが錯綜する、嫌な世界ゲームである》


そう、この冒頭だ。この内容から、この世界ゲームの趣旨やこの世界は何なのかを推敲しよう。


まず、頻りに《小国》を主張していることと現在地を照らし合わせてみよう。《街のようだが、そう遠くない位置にお城のような建物が見える》と述べたことは記憶に新しいと思う。そう、《小国》と《そう遠くない位置にお城のような建物》が上手く当てはまってしまうのだ。更に《国の名を持たない。取り敢えず国王の名前が名称になり、毎回変わる》とあることから、道行く誰かに国の名前を聞き、人名と取れるのであれは粗間違いなく、ゲームの中だと認識せざる得ない。

そして大事なことを忘れてはいけない。目的コンセプトだ。《勇者など存在するわけもなくて、野望と欲望ばかりが錯綜する、嫌な世界ゲームである》この部分のみからしか推察は難しそうだ。宣伝する気がなさそうな文体、咲哉の選択基準を問い質したい気持ちは今は抑えておこう。《勇者など存在するわけもなくて》とあるように、《勇者》がいない世界ゲーム。いやいや、RPGなのだから《主人公》が《勇者》でなくてどうする。要するにこの胸くそ悪い状況を打破する色々な意味での《勇者》を求めているのではないか。


………推敲、推察終了。今はこれ以上を汲み取る要素はないと思われる。何せ、取説と言うものもないのだから。


さぁ、最後に振り替えってみよう。一番考えたくないことに。《勇者》に選ばれたのは誰だ?


………………咲哉だね。


終始無言で全くもって反応すら見せない、この《主人公》にこの世界ゲームの未来が託された。

………現状だけならば、絶望的である。


******ACT.3へ******

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