レベルは充分に上がりました。
「じゃあ、行こうか」
「うん」
「ええ」
レグフトさんを仲間に迎えた翌日、俺達三人は東の平原へと向かう。
今日はレグフトさんを交えて、一緒にレベル上げを行う。素材を取るにしても、苦手を克服するにしても、レベルがあった方が危険が少なくなるしね。
昨日の時点でレグフトさんの冒険者カードを見せて貰い、レベルとステータスは確認済みだ。
『名前:レグフト・ウィンザード
性別:女
年齢:十七
レベル:18
体力:B-
筋力:C
敏捷:D
耐久:C+
魔力:F-
幸運:D
ポイント:35
スキル:【斬撃Lv2】【白剣Lv1】【守護Lv1】【注目Lv1】【頑丈Lv1】
魔法:なし
称号:【白騎士見習い】』
まず、俺とクロウリさんよりもレベルは高く18だ。そして、体力、筋力、耐久のランクは三人の中で一番高い、反面敏捷は低めで魔力と幸運は一番低い。
そんなレグフトさんは持ち前の体力と耐久で相手の攻撃を受け、その際に重い一撃を繰り出す攻撃スタイルを取っているそうだ。
彼女の習得しているスキルは俺も習得している【斬撃】に【白剣】【守護】【注目】【頑丈】となっている。【斬撃】のレベルが2となり、斬撃で与えるダメージがレベル1の時よりも若干増えたのに加え、スキルアーツと呼ばれる特殊な技を放つ事が出来るようになっている。
スキルアーツは攻撃に対して何らかのメリットが生じるスキルのレベルが2以上になると使えるようになる。なので、防御や補助のスキルではスキルアーツは存在しない。俺の習得した【精神安定】やクロウリさんの【詠唱省略Lv2】【魔力制御Lv2】などが該当する。
で、【斬撃Lv2】で習得するスキルアーツはスライドスラッシュだ。レグフトさん曰く、滑るように相手の懐に潜り込んで一閃をお見舞いする技だそうだ。普通に切るより何倍もの威力を誇っており、弱い魔物なら文字通りに一刀のもと両断される。
ただし、このスライドスラッシュは技を放った後の硬直時間があるらしく、相手を仕留めきれない場合、または複数を同時に相手取る場合は使わない方がいいらしい。
そして、スキルアーツは使用する毎に体力を消費する。普通に剣を振るよりも多くの体力を消費するのであまり乱発は出来ない。そして、スキルアーツは自分の意思で動くんじゃなくて、身体が勝手にその動作を行うらしい。なので、一度放つと自分では止める事が出来ず、機転が利かないそうだ。
なので、スキルアーツはここぞと言う時のチャンス、トドメの一撃などに使用するのが無難なんだとか。ただ、パーティーを組んでる場合はスキルアーツを放った仲間のフォローが出来るのでソロの時よりは多用出来るとかなんとか。
で、レグフトさんの持つ他のスキル【白剣】は剣に白属性を付加させ、【守護】は他者を守る時に自身の耐久を少し上げる。【注目】は敵の目を自身に向けやすくするもので、【頑丈】は耐久に常時プラス補正をかけるスキルとなっている。
まさに、民を守る騎士に相応しいスキル構成となっている、とでも言えばいいだろうか? 本人からも「前衛は任せてくれ」と胸を張って言われたので、本日はロンリーウルフ相手にレグフトさんが攻撃を防いでその間に反撃するのが大まかな流れだ。当然、レグフトさん一人だけに負担を背負わせず、俺も襲い掛かってきたロンリーウルフにカウンターを喰らわせたり、クロウリさんもブラックグラビティエリアで動きを阻害する手筈だ。
あと、仲間になった事と歳が近いと言う事もあり敬語は言わない方向になった。なので、俺もレグフトさんにはクロウリさんに対するのと同じような口調で話すし、レグフトさんも少し砕けた口調になっている。クロウリさんは元から敬語じゃなかったから、唯一口調が変わっていない。
そんなロンリーウルフの生息区域に着き、少し進んだところで俺達は暫し辺りに視線を彷徨わせる。
「来た」
ロンリーウルフが岩陰から出て来るのを視界の端で見た俺はそちらの方に顔を向ける。すると、即座にレグフトさんが動いて盾を構える。ロンリーウルフはレグフトさんの構えた大盾にぶち当たり、そのままバックステップで距離を取る。レグフトさんは追いはせずにクロウリさんを守るように立ち回って盾を構え、剣に白い光を宿らせる。
再びロンリーウルフが飛び掛かってくる。レグフトさんは堅実に盾でそれを防ぎつつ、盾を払って後退しようとしたロンリーウルフの動きを阻害する。その隙に、白光煌めく剣を一閃。ロンリーウルフの身体は上下に分断される。
「ふぅ」
一息吐き、レグフトさんは剣に付着した血を軽くふるって落とす。
その間に、もう一匹ロンリーウルフが飛び出してきた。それはレグフトさんの死角となる間後ろからで、レグフトさんは微かな物音で気付き振り返りながら盾を構える。
しかし、ロンリーウルフの牙がレグフトさんに届く事はなかった。
それよりも速く、俺がロンリーウルフの前へと躍り出てドライブスイングをかまして頭を切り落としたからだ。
「助かりましたよ」
レグフトさんは俺に礼を述べると、盾を構え直して辺りに視線を向ける。同族が続けてやられたので、どうやら他のロンリーウルフは警戒をしているようだ。物陰から隙を窺っているらしい。
「ブラックグラビティエリア」
だが、ここに陣取ってから詠唱していたクロウリさんのブラックグラビティエリアが発動して辺りにいたロンリーウルフが次々と浮かび上がっていく。
俺は鉄球で、クロウリさんはブラックショットで遠くにいるロンリーウルフを倒す。
「スライドスラッシュ」
一番近くにいた一匹を剣を薙いで倒し、底から少し遠くにいるロンリーウルフへとスライドスラッシュをかまして屠る。
ブラックグラビティエリアの効果が切れる頃には、浮かび上がったロンリーウルフは全匹絶命している。
その後も場所を変えつつ同じようにしてロンリーウルフを倒すのを三回ほど繰り返してから町へと戻る。レグフトさんがいる分、個々への負担が減るので少し多めにロンリーウルフを倒す事が出来るようになった。
それを一週間も続けると、俺達のレベルは20を超えた。
『名前:宇都宮卓海
性別:男
年齢:十五
レベル:23
体力:D+
筋力:D+
敏捷:C
耐久:E
魔力:F+
幸運:C
ポイント:80
習得可能スキル:【逃走Lv1】(消費ポイント10)
スキル:【卓球Lv1】【殴打Lv1】【斬撃Lv1】【精密向上Lv1】【精神安定Lv1】【気配察知Lv1】【料理Lv1】【反応Lv1】
魔法:なし
称号:【異世界からの流れ人】(隠蔽中)』
『名前:クロウリ・アズサ
性別:女
年齢:十六
レベル:21
体力:E
筋力:E-
敏捷:F+
耐久:E-
魔力:B+
幸運:B-
ポイント:98
スキル:【詠唱省略Lv2】【魔力制御Lv2】【気配察知Lv1】【魔力増幅Lv1】
魔法:【黒魔法Lv5】【赤魔法Lv0(MAX)】【青魔法Lv0(MAX)】【黄魔法Lv0(MAX)】【緑魔法Lv0(MAX)】【白魔法Lv0(MAX)】
称号:【異世界人の血を引く者】【黒魔法使い】』
『名前:レグフト・ウィンザード
性別:女
年齢:十七
レベル:25
体力:B-
筋力:C
敏捷:D
耐久:C+
魔力:F-
幸運:D
ポイント:121
スキル:【斬撃Lv2】【白剣Lv1】【守護Lv1】【注目Lv1】【頑丈Lv1】【気配察知Lv1】【反応Lv1】
魔法:なし
称号:【白騎士見習い】』
俺が23、クロウリさんが21、レグフトさんが25までレベルが上がった。それに伴って新たなスキルも習得した。
全員が習得した【気配察知】は隠れているものの気配に気づきやすくなると言うもの。岩陰に隠れるロンリーウルフばかりを相手にしていた為、全員が習得条件を満たしていたらしい。
そして、俺とレグフトさんが習得したスキル【反応】は反応速度が僅かに向上するスキルだ。このスキルの御蔭でロンリーウルフへのカウンター及び防御の動作が早くなった。
クロウリさんが習得した【魔力増幅】は魔法を発動する際に魔力を上乗せして効果や威力を増加させるスキルだ。これによってブラックグラビティエリアでの無効時間が少し伸びて、ブラックショットやブラッククロウの威力も上がった。ただ、その分発動回数が少し減ってしまうデメリットもあるが、今の所特に問題はない。
で、俺が何気に習得した【料理】と言うスキルは、料理の手際が少し良くなって、感で味付けしても結構美味しく出来上がるようになるというものだ。毎日店で食べるのはちょっとお金がもったいないと思い、何時か前から朝は馬小屋の主さんに頭を下げて厨房を借り、朝食を作るようにしている。
そしたら、このスキルの習得条件を満たしたので、折角なので習得した次第だ。
さて、このようにレベルも上がって新たなスキルも習得したので、明日から湿地帯へと赴く予定だ。ガイドブックに寄れば、レベルが20越えてればそうそう苦戦する事はないって書いてあったし、一人じゃなくて三人で行くんだからアクシデントが起こっても対処出来る筈だ。
と、この時は思っていた。
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