17
「茉梨さんって凄い人だったんだね……」
日記の悲劇のヒロインの姿にはいろいろと考えさせられるものがあったようだ。美沙にとっては一度も会ったことがない人物だというのに。
「凄いよ。茉梨さんにとって優奈さんは恋敵だったのに、ここまで優しくできるなんて」
私だったらこうはできないなと美沙は続ける。
「茉梨と優奈は仲良かったから。正直、俺なんかとよりは」
「あんた、いないほうがよかったかもね」
冗談ではあるけれど、美沙はついついそんなことを言ってしまう。
「むしろ逆じゃないかな。同じ人を好きになったからこそ、いろいろ分かり合えるものがあったんだよ」
「店長もよくそんな解釈するなぁ。私にはわからんわ」
まっすぐに生きてきた美沙にとってはわからない。茉梨、優奈、隆一の不器用な三角関係は。
それ以上に、どうして茉梨も由希もこう人に対して優しすぎるのか。やはり姉妹なのだなと美沙は思う。
「だいたいどうして茉梨さんも優奈さんも、こんなヘタレ野郎を好きになったの。私、この日記を見ている分には全然わかんないんだけど」
「それは仕方ないよ。この日記には書いていないことだもん」
「……は?」
由希はページを一つめくる。次が最後の日記だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます