幸せなぬくもりに包まれて

誰ともくっついていない状態です。


ある休日の朝、幸希は王宮医師のセレスフィーナに頼まれて、まだ起きてこないというルイヴェルを起こしに彼の部屋に向かいますが……。


アレク&幸希&ルイヴェルの短いお話です。





 ──Side 幸希



「……ん~、返事がない」


 休日とはいえ、もう誰もが朝食を終えて、それぞれの予定に出掛けている頃……、なのだけど。

 私は返事のない扉を見つめ、そっとノブに手を伸ばす。

 鍵が掛かっているのなら、引き返して王宮医務室に戻ってそれを伝えればいい。だけど、もし、鍵が開いているのなら……。


「開いてる……」


 不用心……、には間違いないけれど、この部屋の主が誰かを知っていれば、誰もそんな恐ろしい破滅の道を辿ろうとはしないだろう。

 このウォルヴァンシア王国の王宮に席を置く、王宮医師様の片割れであり、私にこの部屋に向かうよう依頼した双子の姉の方である、女神様の如く美しい女性、セレスフィーナさん。

 その、弟であるルイヴェルさんのお部屋なのだから……。

 医師としても、魔術師としても能力の高いルイヴェルさんは、生業としているお仕事に関しては何の問題もなく、頼もしい人物でもある。

 だけど……。


「お、お邪魔しま~す……」


 鍵が掛かっていない事を確認し、そっと中に入る。

 相手は、性格的に少し……、いや、……まぁ、私にとって難のある人なのだけど、まさか起こしに来たくらいでしないだろう。

 ……意地悪は。

 私をここに来させる事にセレスフィーナさん自身、申し訳なさそうにしていたけれど、彼女は急ぎのお仕事があって手が離せない。

 なら! 丁度手の空いている暇な私が行くべきだ。

 そう思って、半分は自分の意思で来てみたのだけど……、今のところ、物音は、なし。

 まだ寝ているのかもしれないし、もしかしたら、お留守かもしれない。

 銀色の毛並みをした絨毯を一歩一歩踏み締めながら、私はルイヴェルさんのお部屋の中をきょろきょろと見まわし、その姿を探す。

 え~と、前方に見える長方形のクリスタルのテーブルに、飲みかけのワイングラスや、おつまみの類に……、ゲームに使うカードや、開いた本が何冊か散乱しているような状態、と。

 で、その両サイドに据えられている黒のソファーには……。


「すぅ、すぅ……」


「んっ、……い、や、……それは、……俺の、……勝ち、……すぅ、すぅ」


 むわ~んと噎せ返るような、お酒の匂い。

 そして、それぞれのソファーで寝乱れた姿を見せながら寝ている……、二人の大人。

 そのまだ少し赤い顔色からして、昨夜はカードゲームをしつつ、お酒を飲んで盛り上がっていた、といったところだろうか?

 私から見て、左側のソファーには、銀色の長い髪を垂らしながら何やら寝言を口にしている、騎士団の副団長、アレクディースこと、アレクさんの姿がある。

 普段は凛々しいキリッとした美貌だけど、寝ているとなんだかあどけなくて可愛い。

 そして、右側のソファーには、寝言はないものの、珍しく無防備な寝顔を見せているこの部屋の主、銀の髪に縁取られた美しい顔立ちのルイヴェルさんの姿がある。


「はぁ、……これじゃ寝坊しても仕方ないか」


 休日だし、寝坊しても誰に迷惑をかけるわけじゃない。

 だけど、セレスフィーナさんがルイヴェルさんに用事があると言っていたし、……起こす、しかない、よね?

 というか、私が入ってきても全然起きないなんて……、この二人、間然に酔い潰れてる。

 ちらり、と、もう一度テーブルを見れば、ワインボトルがひ~、ふ~、み~、五本以上開封済みだ。

 二人ともお酒には強いから、どんどん開けていっちゃったんだろうなぁ。


「とりあえず、……最初にアレクさん、かな」


 アレクさんを起こす必要はない。

 だけど、私一人で寝起きのルイヴェルさんがどんな状態になるのかわからない以上、最初に特攻するのは無謀だ。

 アレクさんなら、私に代わってルイヴェルさんを穏便に起こしてくれるはず……、だけど。


「アレクさん、アレクさん。起きてくださいっ」


「……すぅ、……んっ、まだ、……すぅ、すぅ。……次は、その、菓子を……、すぅ」


 はぁ。酔っているせいか、なかなか起きてくれない。

 まぁ……、寝起き自体もあまり良くない所があるけれど、早く起きてくれないかなぁ。

 仕方なく、私はアレクさんの耳元に顔を寄せ、懇願を込めて囁く。


「アレクさ~ん、起きてくださ~い。甘くて美味しいお菓子がありますよ~? 限定十個ですよ~? 全部なくなっちゃいますよぉ~?」


「んっ、……限、定、……甘い、……んっ」


 アレクさんは甘い物が大好きだから、これで起きてくれないかなぁ……。

 と、様子を見ていたら、ゆっくりと開いた先に見えた深い蒼色の双眸が、二、三度瞬きをし……、え?


「甘い、もの……、俺の、……限定、……菓子っ」


「えっ、きゃあっ!」


 すぐ傍に居た事が仇となったのか、まだ寝惚けているとしか言えない様子のアレクさんに後頭部を掴まれ引き寄せられたかと思うと、──カプッ。


「なっ!!」


「俺が……、食べる」


「ひぁあっ!!」


 ほっぺに甘噛みするかのような感触で噛みつかれた! と思ったら、今度は少し長い舌先でぺろりと舐められた!!

 どうしよう!! 完全に寝惚けてる!!


「アレクさんっ!! 私ですっ、幸希ですっ!! もうっ、ひあっ、ち、違いますっ、そこっ、お菓子じゃなっ、こらああっ!!」


「……ん。……ユキ?」


 ううっ、な、舐められたっ。舐められたっ。

 顔だけじゃなくて、首とかっ、手とかっ、腕とかっ、色々!!

 だけど、寝起きのアレクさんに問題があるとわかっていて起こした私に非があるのは当然だから、な、何でもない顔をしようっ。

 私は引き攣った笑みを作り、アレクさんの意識が完全に目覚めたところで、事情を話した。

 

「あぁ、そういうことか……。だが、ユキ」


「ひゃ、ひゃいっ!! な、なんでしょうっ」


「……顔が真っ赤だが、……それに、肌に、何か」


「な、なんでもありませんよぉおおおおおお!! え、え~とっ、つ、次っ、次っ、る、るるるるるるるっ、ルイおにいちゃんを起こさないとっ」


 あぁ、頭の中が寝起きのアレクさん寝惚けアタックで完全に混乱してしまっている!!

 そのせいで、アレクさんにルイヴェルさんを起こしてもらうつもりが、私は自分からマッハでルイヴェルさんの傍に移動し、その身体を揺さぶりながら、朝ですよ~!! と大声で叫んでしまった。


「ユキ……、俺は寝起きにまた何か」


「ルイおにいちゃぁあああんっ!! 起きてぇえええっ!! 起きてくださぁあああああああい!!」


「ユ」


「やかましい」


「あうっ!!」


 アレクさんからされた事を誤魔化そうとパニクって騒いだ結果、私は寝起きの不機嫌大魔王ルイヴェルさんからアイアンクローを頂く羽目になってしまった。い、痛いっ、ギリギリ言ってる!! ギリギリ!!

 

「い、痛いっ、痛いですっ、ルイヴェルさんっ」


「ふぅ……。お前達が人の近くで騒ぐからだろう。……ん? ユキ」


 どうにか頭から手を放して貰い、ほっとしていると、ルイヴェルさんが私の顔をまじまじと見つめてきた!

 寝起きの、まだ眼鏡を掛けていない深緑の双眸がじぃいいいいいいっと私の顔を穴が開くような鋭さで……。

 これは、まさか──。


「ルイヴェルさんっ、こ、これはっ、あぐっ!!」


 今度は顎をがしっと掴まれる!!

 ちょっ、いくらお兄さん的存在だからって、昔から私に対してどこか雑というか、乱暴なところありますよね!! ルイヴェルさん!!


「にゃ、にゃにをぉっ」


「……アレク。お前、寝惚けてこれに好き放題したようだな?」


「すまない……。やらかした気は、していたんだが……、その」


 ウォルヴァンシア王国に住まう狼王族(ろうおうぞく)は、たとえ人の姿であっても、もうひとつの姿である『獣』の性(さが)が多少なりとも影響してしまう事があるらしい。勿論、獣の姿の時よりは弱いものらしいのだけど……。

 寝起きのせいで、人型の時の自分と、獣としての自分が混ざってしまう。

 そんな感じではないだろうか。

 ルイヴェルさんが自分のズボンのポケットから白いハンカチを取り出し、私の顔を雑な扱いで拭いながらアレクさんを睨む。


「これはお前の食い物じゃない。いい加減に寝惚け癖をどうにかしろ。次にやったら、猟師にお前を売るぞ」


「す、すまない……。いや、だが、ルイ……、ユキが苦しがって」


「やかましい」


「ユキ……っ、すまないっ。無力でどうしようもない俺のせいでっ」


 こんな時に何だけど、すぐそうやって罪悪感に溺れて自分の世界に行くのやめませんかね!? アレクさぁああああん!!


「こら、じっとしていろ、ユキ」


「ん~!! んんんんんんん!!」


 顔を洗いに行った方が絶対に早い!!

 それなのに、ルイヴェルさんは私の顔面をハンカチで、ううっ、顔のパーツが無茶苦茶になっちゃうううううう!!



「──それで? わざわざ俺やアレクに自分から可愛がって貰いに来たわけでもないんだろう? 大方……、セレス姉さんから何か用事でも言付かってきたか?」


「うぅ……。は、はい。実は」


 最終的に顔を洗いに行くことを許して貰った私は洗面所からスッキリして戻り、セレスフィーナさんからの伝言を伝えた。

 だけど、まだソファーで寛ぎながら、寝起きのモーニングティーを飲んでいるルイヴェルさんはまだ眠そうで、ふぅ、と、疲れ気味の息を吐く。


「生憎と、俺は朝方まで起きていて、まだ眠い」


「大好きなお姉さんからの伝言ですよ? いいんですか? 無視するような方向性を匂わせて……」


 双子のお姉さんに対して、というか、お仕事に関しては迅速に動くイメージのあるルイヴェルさんなのに、あまり乗り気じゃなさそうに見える。


『ふあぁぁ……』


 ふと見れば、私の隣に座っていたアレクさんがいつの間にか銀毛の大きな狼さんの姿に変化しており、絨毯の方に転がってゴロゴロしていた。

 アレクさんもまだまだ眠そうだ。


「アレクさん、大丈夫ですか?」


『わふっ……。クゥゥゥン』


 あ、テラス窓から差し込んでくるあたたかな日差しが気持ち良いのか、アレクさんが本格的に寝入ってしまった。

 手入れバッチリの銀の毛並みがキラキラと光って、あぁ……、なんてモフり甲斐のありそうなモフモフ狼さん。

 でも、今はルイヴェルさんに集中しないと!


「セレスフィーナさんの所に行きましょう、ルイヴェルさん」


 ちらり。知を抱く深緑の双眸が私を見やり、また小さく欠伸を漏らす。


「セレス姉さんの件だが、確かに必要な作業が生じているが、特に急ぐ必要のない、昼からでもいい案件だ。──よって」


 ポンッ! と、私の目の前で光に包まれたルイヴェルさんが、アレクさんと同じ毛色だけど、瞳の色だけが違う狼に変身する。

 マイペースな様子で尻尾を緩やかに左右に振りながら、まるで笑っているかのような表情を見せてくると……。


『俺は寝る。最高の二度寝日和だからな。アレク、起きろ』


『……わふぅっ。……ん。俺も、……まだ、眠たい』


 はぁ……。

 まぁ、ルイヴェルさんが急ぐ必要がない案件だと言っているのだから、それに間違いも問題もないのだろうけれど、……う~ん。

 モフモフの大きな体躯を頼りなさげに小さく揺らしながら、ルイヴェルさんの寝室へと入っていくアレクさん。

 あぁ、完全に二度寝コース一直線だ~……。

 こんなに天気も良くて、どこかに出掛けたくなるような陽気なのに。

 勿体ないなぁと感じるけれど、睡眠が大事な事もわかっている。

 とりあえず、このテーブルの上を少しだけ片づけてから、一度セレスフィーナさんの所に戻るかな。

 ルイヴェルさんの意向を伝えておく必要もあるし。

 ……と、片づけの体勢に入ろうとした私のスカートの一部を、くいっと、何かが引っ張る気配がした。


「え?」


 後ろを振り向くと、私のロングスカートの裾をぱっくりとその口に銜えた深緑の瞳の狼さんが、意味深に私を見上げていた。

 

「ルイヴェルさん? 寝ないんですか?」


 何か私に言う事でもあるのかな、と、首を傾げてみる。

 だけど、ルイヴェルさんは不満気な視線で私を見つめ、わんっ! と、一声。


「いや、喋れますよね? なんですか、わんって!」


『クゥゥゥン……』


 うっ。……人型との時とは違う、動物特有の可愛さを全面に押し出しながらの、おねだりの気配を含んだ一途な視線!!

 狼の姿になったルイヴェルさんは、わざと人の言葉を使わず、私のスカートの裾をもう一回銜えて、寝室の方にグイグイと引っ張って行こうとする。

 流れで視線を寝室の方に向ければ、そこには顔だけ出して純真無垢なおねだりの視線を送ってくるアレクさんの姿が……。

 大きな狼さんが二頭、揃って私に二度寝のお誘いをしているのだ。

 可愛い。プライドも何もなく、動物の可愛さ全開でおねだりして甘えてくるその姿は、何よりも可愛い!!

 ──だけど。


「ごめんなさい、アレクさん、ルイヴェルさん。物凄く心惹かれるモフモフパラダイスの予感ですけど、──お酒の匂いがプンプンするのでお断りします」


 ──ニッコリ。


『『!!』』


 くるりとテーブルに向き直り、私はてきぱきと片づけを始める。

 そりゃあ、素敵なモフモフさん達との二度寝はとても気持ち良さそうだけど、お酒の匂いがどうこうよりも、──年頃の女の子に獣姿とはいえ、大人の男性二人と添い寝しろと言ってくるほうがどうかしている!

 

「え~と、まずはおつまみのお皿から」


「眠いと言っているだろう? 手間をかけさせるな」


「へ? きゃっ!!」


 ぐんっと一瞬で遠のいたテーブル上の惨状。

 抱き上げられた! と察した時にはもう逃げる暇もなく、私は宙でくるっと体勢を変えられて、人の姿に戻ったルイヴェルさんの肩にまるで俵担ぎの如く拘束されてしまっていた。──なんで!?!?


「お前には役目があるだろう? 俺の抱き枕になるという、昔からの役目がな」


「それっ、小さい頃の話ですうううううう!! やぁっ、下ろしてっ、下ろしてくださいよぉおおおおおおおお!!」


「お前が望んでいる事だろう? このウォルヴァンシアに戻って来ては、いつもいつも、俺が仮眠をとっている寝台に自分から潜り込み、俺の腕の中に是が非でも入ろうと」


「ああああああああああああああああああああっ!!!!!! こ、子供の頃と今は違うんですうううううう!! ひあっ!! お、お尻触らないでください!! ってちょっ、一緒に添い寝はしませんって!! あ、アレクさんっ、アレクさんっ!! 助けてください!!」


『わふっ……、クゥゥン、クゥゥン』


 何を自分の前足を招き猫みたいにやって、来い来いしてるんですかああっ!!

 ……駄目だ。あれは完全に眠気が酷すぎて本能に忠実になっている!!

 それに、こんな逃げ場も方法もない拘束をされてしまったら、寝室に直行以外のルートがない!!


「たまには懐かしい頃を思い出すのも良いだろう? ──言っておくが、これ以上の抵抗が見えた場合、後で仕置きだ。だが、俺としては二度寝と、その後のお前を可愛がる作業が待っているのは望むところだがな」


「ドS魔王ぉおおおおおおお!!」


 足早に寝室へと連れ込まれ、綺麗にセッティングされているキングサイズよりも大きなベッドに放り込まれる生贄の子羊となった私。

 狼の姿のアレクさんがぴょんっとベッドの左側に寝そべり、私を真ん中にして右側に人の姿のルイヴェルさんが欠伸を漏らしながら横たわる。

 あぁっ、本当にもう逃げ場がない!!


「ルイヴェルさぁぁぁんっ、もうこれ自体がお仕置きじゃないですかぁああっ!」


「俺の懐に入れないと、意地悪だと言って拗ねていたのは誰だったか言ってみろ」


「だからっ、それは幼い頃の私ですぅううう!!」

 

 って、あ、そうだ!

 逃げられないなら、もうこの手しかない!!

 降参の白旗を振りつつも、私は体内の魔力を使って子供の頃の、三歳ぐらいの時の自分の姿へと変化し、満面のドヤ顔で毛布を引き寄せた。


「ふんっ! これなら大人の男性と寝ても問題ありません!!」


「……お前は、……時々、意味がわからないほどに、……アホの子になるな」


「乙女としての最大限の譲歩です!! もうっ、ほらっ、寝るんでしょう? 私、お昼からは城下に行く予定があるんですからっ、はいっ、おやすみなさいっ!!」


「城下か。丁度良いな。食事がてら、アレクと三人で行くか」


「昼もついてくる気ですかっ!!」


 もう今の段階で精神的に疲労困憊ですよ!!

 うがーっと、子供の姿で抗議するけれど、ルイヴェルさんは私に毛布を掛けなおしながら、胸のあたりをポンポンと優しく叩いてくる。


「お子様ランチでいいだろう? 奢ってやるから……、そろろ、……寝ろ」


「だからっ、私は子供じゃっ、……寝てる」


『ユキ』


 自分勝手な二度寝大魔王様が無防備な寝顔を見せ始めた矢先、左側から声がかかった。振り向くと、微睡んでいるような表情のアレクさんが私の頬にその大きな狼の頭を何度かすりすりと撫でつけ、すぅ……と、やがて寝入ってしまった。


「……はぁ。今日に限って、……二人とも、甘えん坊すぎますよ?」


 溜息の後に滲んだのは、諦めと、微笑ましさのようなものがまじった声音。

 少しだけ香ってくるお酒の余韻と、穏やかな寝息の音。

 お酒が効いているのか、今日の二人はいつもより子供っぽい。

 両側から私に寄り添ってくる二人の大人を交互に眺め、またくすりと笑う。

 私はもう子供じゃないけれど、小さい頃の私を見守ってくれていたお兄さん達を、今度は逆に私がその眠りを見守りながら不思議な気持ちに浸る。

 それは、少しくすぐったくて、だけど、幸せなぬくもりを感じさせてくれる時間。


「んっ。たまには……、私も子供に戻っていいよね」


 子供の姿になったせいもあるのかもしれない。

 だけど、二人に挟まれてそのぬくもりを感じていると、どこか、守られて安心している子供のような心地になる。

 今だけ、次に目が覚めるまで……、幸せな夢を見よう。

 大好きな人達との、滅多にない、珍しいひとときを楽しみながら……。


 ──おやすみなさい。良い夢を。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る