ゲジゲジ

@ninfami

プロローグ

アメリカ独立戦争の「代表なくして課税なし」は非常に有名なスローガンであるが、これは現在の我々にも当てはまるところではないだろうか。かつてのイギリスが理不尽だったように、主導権を握っている教師というのも、同じように理不尽だ。

 「説明なくして校則なし」。我々がかかげたいスローガンはこれである。そもそも、"その校則"についての説明を受けてはいないのだ。我々人間は、アヒルのインプリンティングのような性質はあいにく持っておらず、その悲しき性ゆえに、合理的な説明をいつも必要とする。


 しかし、こうもつらつらと不満ばかりを並べてしまっては、要らぬ邪念で勉強もできやしない。ならば気にしなければいいのではないか、もっともな意見である。そして、これほどに便利な言い訳もないだろう。

 そりゃあ、「廊下を走るな!」「化粧をするな!」というのは、一秩序を守るための必要な校則だとは思う。後者は一部の女子が認容しないだろうが、概ね納得してくれることだろう。


 しかし、そのように規律をすべからく正すべき校則で


 「何人も、卒業式の終わりまでの期間に交際をしていないときには、留年とする」


という、あまりにも理不尽極まりない校則がポツリ。文字としてはポツリとしていても、存在感は校長先生をも凌駕する。


 誰がこんな校則に首を縦に振るであろうか。そもそも規律を正すという趣旨から外れているゆえ、俺は代わりに襟を正して、首を思いっきり横に振ってやりたい。

 まさにこう、担任の教師に文句を突き付けたものだが、「するとここはブルガリアだな」と、よく分からないジョークで笑い飛ばされた。

 「どういう意味ですか?」と聞くと、どうやらブルガリアという国では、首を横に振ることが「Yes」を意味するという話であった。


 ・・・・教師というのは、話をはぐらかすことも、一枚上手のようである。結局のところ、現在までその校則の意図については、我々生徒は知らぬ存ぜぬの宙ぶらりんの状態にされているのだ。

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