ムギチョコクエスト(仮)

銀の雫

Ep. 0 とある世界のお話。

 ここは、ユーデピリア。

 地球と大陸ごとに異なる種族が生活しており、それぞれが国を建て、独自の文明を築き上げてきた。

 近年では異種族間の交流も進み、世界全体の経済活動が活発になったが、友好関係を結ぶ国がある一方で富を独占しようと企む国が現れはじめたことが問題視されている。


………が、それは今回の話には無関係なので、ひとまず置いておくことにしよう。




 ところで、この世界の全ての大陸には、どの種族にも属さない「モンスター」と呼ばれるものたちが存在する。彼らは時に人々を襲い苦しめ、時に人を惑わし国を混乱させる厄介な存在だ。

 したがって、各国で増えすぎたモンスターを討伐するためのシステムが設けられている。それは国によって指名制であったり、志願制であったり様々だ。

 そしてそれらのシステムは、多くの勇者や英雄伝説を生み、現在に至るまで継承されてきた。そのほとんどは、多少の違いはあれど勇敢に戦って国を救った誇り高き戦士たちの話である。

 しかし、中にはそれに当てはまらない特殊な(?)事情から生まれた伝説もいくつか存在する。



 今から紹介する話もその一つ。

 第6大陸に国を構える人族の間で語り継がれている、とある英雄たちの冒険譚である。


 前置きはさておき、そろそろ話を始めようと思うのだが……覚えていてほしい。



英雄は、必ずしも崇高な目的の下に誕生するのではない―――…ということを。




これは、くだらない(本人達は大真面目な)目的から始まり、国を救ってしまった成り行き英雄と仲間たちによる、なんとも奇妙な物語である――――

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