銀河帝国と吸血鬼

@curisutofa

執政閣下と私

帝国暦440年。銀河帝国が人類を支配する唯一の国家となってから、既に440年の月日が経過していた。


『月日の流れは早い物ですね、もう440年も経ったのですね』


先程までベッドの中で私と愛し合っていた、銀河帝国の執政閣下が。同じベッドの中にいる私の髪の毛を撫でながら言われたので。


『はい、執政閣下。まだ地球で暮らしていた頃の事を、時々夢に見ます』


執政閣下は笑顔を浮かべられると、ベッドで上半身を起こされて。


『僕も貴女と同じですね。僕達吸血鬼が、闇に隠れて密かに人間を狩っていた頃の事を。奇妙な懐かしさと共に思い出す事もありますね』


銀河帝国は吸血鬼が人間を支配…いや、人間を家畜として飼う帝国だ。最早我々吸血鬼が、闇に隠れて密かに人間を狩る事は無い。その事に執政閣下も私も安堵と同時に、ほんの少しの寂しさを抱きながら思いを馳せる事がある。


『さてと、そろそろシャワーを浴びないといけませんね。時間が許すのであれば、いつまでも貴女とこうしていたいのですけれどね』


『勿体無い御言葉です。執政閣下』


執政閣下は、笑顔で私に対して頷かれると。


『貴女は本当に弁えた女性ですね』


執政閣下はベッドから出られて、シャワーを浴びにバスルームへと向かわれた。私は半ば無意識に、執政閣下が横になられていたベッドの上に手を這わせて。執政閣下の残された温もりを手の平で感じていた。

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