3-2 ピュアボディ・ピュアマインド

 「どういうことですか」


 「どういうことですか、とはどういう意味だ」


 「どういうことですかとはどういう意味だとはどういうことですか」


 「いや、だから」


 「私は、事情の、説明を、求めています」


 「…像を確認したんだな?」


 「確認しました。どういうことですかアレは」


 「何か問題でもあるのか」


 「マリア像ではなかったのですか」


 「一言もマリア像だとは言っていないが」


 「…確かに仰る通りです。『マリア像を取り戻せ』とは一言も言われておりません。だからと言ってアレはどういうことなんですか」


 「石像でも石膏像でも無いのだから、かえって奪取も運搬も楽でいいじゃないか」


 「アレをわざわざ非合法の依頼までして取り戻す必要はあるのかと聞いているのです。損失ではありますが諦めて買い直せばよいではありませんか」

 

 「黙って聞いていれば舐めた口を利くな。換えなど効くと思うか。身長、顔の造形は勿論のこと髪質や3サイズ、肌の色から瞳孔のサイズ、爪の形に至るまで全て特注の完全な一点ものだぞ」


 「大量生産品でないのは見れば分かります。しかし新しく特注して造り直す事も可能でしょう」


 「既に制作した職人は引退してしまっている。いくら積もうがアレと同じ物は二度と作れん」


 「何も完全に同じではなくても、クオリティ面で同程度のものを作ることなら」


 「愛しているんだ!!」


 耐えかねたように、声を荒げ遮るヴィンチェンツォ。

 その声色は暴力の世界に生きる者の粗暴な怒声というよりも、悲痛な現実に打ちのめされた者の悲鳴と呼ぶべきものだった。


 「まだ、愛しているんだ…いずれその時が来るとしても、今はまだ…」


 …反応を返せないでいると、向こうから通話が切られた。これ以上言うことは何も無いという事だろう。確かにこちらとしてもこれ以上聞きたい事は別にない。

 全て放り投げて前金も返金して何も無かった事にしてやりたいくらいだが、そうなれば向こうもそれなりの手段に出て来るだろう。それに対処できなくはないが無駄なリスクを背負い込むことは避けたい。難易度という面では容易い依頼だ。さっさと

目的の品を奪ってヴィンチェンツォに納めてしまえばそれで済む。

 ただ、どうしようもなくやる気が出ないというだけで。


 「はあー…」


 スマートフォンを放り、ベッドに身を投げ出す。

 ここはベナンの隣国、ナイジェリアの首都ラゴスにあるホテルの一室。

 産油国であるナイジェリアはベナンとは比較にならないほどの経済規模を誇り、

その首都であるラゴスは、多くの者がアフリカに抱いている貧困のイメージを根本から覆されるほどの現代的一大都市である。

 あの後「感動のあまり少しお腹が痛くなったので今日の所は帰ります、また今度日を改めて」と適当にごまかしてその場を後にして、予め抑えてあったこの部屋まで帰ってきたのだ。

 出入国が多少手間になるが、連絡及び危機管理その他諸々の事情を鑑みてこちらを拠点にした。よってこのホテルの部屋も防音耐震共に完璧で、多少騒いでも苦情が来る事はない。一応こういう事態も想定しておいて取った部屋だが正解だったようだ。正解であって欲しくはなかったが。

 私も目の前の悲痛な現実を耐え忍び、自分を取り戻すための儀式を始めることにする。

 

 立ち上がる。

 着ているTシャツの襟首に手をかける。

 

 「フンッ!!!」 


 そしてそこから力任せに引きちぎり、そのままTシャツを破り捨てる。

 続いてジーンズも力まかせに破り捨て…るのは難しいので乱暴に脱ぎ捨て下着も放り投げ一糸まとわぬ姿になり、そのままベッドにダイブして、赤子のように暴れまわった。


 「もーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!なんで!!なんでこうなるの!!わたしはまじめにやりたいだけなのに!!かっこいいやみのおねえさんでいたいのに!!なんであほですけべでばかなおしごとばっかりくるの!!!なんでかねもってるおとこはへんたいばっかりなの!!!このせかいにまともなおとこはいないの!!なんでみんなしてわけのわからないえろいぶったいをほしがろうとするの!!どうしてほどほどでまんぞくできないの!!なにごともやりすぎたらだめってむかしのえらいひともいってるでしょーーーー!!!」


 わーわーぎゃーぎゃーどたんばたんどごんべごん。

手足を感情のままにバタつかせ、ベッドを拳で乱打乱打乱打。パウンドに次ぐパウンド。鉄槌と鉄槌と鉄槌の嵐。これが総合格闘技のリングだったら失神KO間違い無しだ。今のこの姿を他人に見られたら私が失神間違い無しだが。そのまま「うわーー!」と叫び声を上げながらバスルームに突撃し、シャワーを全開にしながらバスにも全速でお湯を張り、シャンプーボトルの蓋を開け頭から一気に被り全身過剰なまでに泡まみれになりながらそのまま湯船に飛び込みその中でグルングルン回る。バスルーム全体がシャボンまみれになってすごく綺麗。更にそこにボディソープも追加してその加速はとどまる所を知らず、そのままうにゃーぎゃわーと叫びながらバスタブの中で20分ほど暴れ狂った。暴れ疲れると気が済んだので湯を抜き普通にシャワーを浴びて泡を落とし、体を拭ってそのまま何も付けずに部屋に戻り冷蔵庫を開けて冷えたビールを三本ほど一気に空けた。これにて儀式は終了である。最近嫌なことがあるたびにこれをやるのだが、段々癖になってきて頻度が増えつつある。それは阿呆な仕事の割合もより増えつつあるということなのだが。

 冷静に考えると色々やばい気がするが大丈夫だ。多分。私はまだやれる。


 頭が冷えた所で作戦を立て始める。無理矢理奪ってしまっても良いのだが、なるべく穏当に済ませたい。可能な限り事が荒立たず、八方丸く収まる方法を。

 私はしばし熟考を重ね、やがて一つの方法を思いついた。皆が幸せになり、私の憂さ晴らしも兼ねた方法を。



 一週間後。

 全ての手筈を整えた私は、再びベナンを訪れていた。

 今度は徒歩ではなく、宅配便などが使う大容量運搬トラックに乗って。

 村の入口にトラックを付けると、一体何事かと村人たちが遠巻きに見ている。

 トラックの運転席から降り、少し待っていると騒ぎを聞きつけたカリムが慌てて駆けつけてきた。

 

 「シャロンさん、これは何事ですか。このトラックはどうしたことです」

 「カリムさん、お久し振りです。今日は、先日素晴らしい物を見せて頂いたお礼に、贈り物を持ってきました」


 ちなみにシャロンとは適当に名乗っておいた偽名だ。

 一度名乗っただけなのによく律儀に覚えていたものだ。やはり真面目で純朴な青年なのだろう。これから多少騙すことになるので気が引けるがこれも仕事だ。

 私はトラックの荷台に回りこみ、鍵を開け運んできた荷を備え付けのリフトで下ろす。


 「こ、これは!」

 「あの後私が独自のつてを辿ってかき集めた、神像の数々です。カリムさんのものには及びませんが、どうか教団のさらなる信仰の糧になさってください」


 積み荷は、件の神像の製造元から取り寄せたラブドール100体余りである。

 オーダーメイドではなく全て既存の大量生産品だが、高級モデルの物なので決して安っぽくはない。値段にして一体につき3000ドルオーバーだ。

 あの後、改めてヴィンチェンツォに連絡を取り「取り戻せるなら手段は問わない、経費も全て負担する」という言質を改めて引き出した私は、ヴィンチェンツォのコネクションを使って製造メーカーに連絡を取りこれらを短時間で用意させたのだ。作戦のあらましは伝えてあるが、何体用意するとまでは教えていないので、後日、目が飛び出るような額の請求書がヴィンチェンツォに届くことだろう。まあそれでもマフィアのボスなら払うに問題はない額だ。私の精神的ダメージの代償だと思って頂こう。

 カリムは大量のラブドールを前に目を白黒させている。流石にクオリティの面で劣るとはいえ、まさか自分を感動させた神像に近いものがこれほど無数にあるなどと、彼には想像も出来なかった事だろう。


 「あ、貴方は一体何者なのですかシャロンさん。私が神の導きによって巡りあった神像をこんなに大量に用意できるなんて。貴方は神の御使いなのですか」


 「私はただ、貴方と同じでこの神像の素晴らしさをもっと世に広めたいだけの貴方の同志ですよ。もしこの瞬間が奇跡だというのなら、それこそ貴方の信仰心の賜物でしょう。さあ、この神像達を教会に運びましょう。カリムさんも手伝ってください」


 流石にこのトラックで村内に入ることは出来ないので、村の入口から一体ずつ人力で運び込むことになる。カリムは慌てて信徒達を呼び集め、未だに目の前の奇跡が信じられないというような顔でラブドールの箱を大事に抱え教会まで運び始めた。そして私も用意したラブドールの内、予め印をつけてあるケースを持ち上げた。この一体だけは特別で、例の「マリアのラブドール」と同じとまでは行かないまでも、似たパーツを寄せ集めて作らせた模造品だ。よく観察すれば違いが分かるだろうが一見では区別が付くまい。「木を隠すなら森の中」というわけだ。そのためにわざわざ森を用意させたのはやり過ぎかもしれないが、まあこれならやがて神像がすり替わっていることに気付いてもカリムもそう悪い気はしないだろう。

 信徒達も目を輝かせながらラブドールを運び始め、やがて教団の信徒ではない村人たちも見物に集まってきた。カリムはそんな村人たちに興奮気味に今日起きた奇跡の素晴らしさを語り、村全体に対して熱心な布教活動を始めている。村人たちもどうやらまんざらではなさそうで、今日を境にこの村はラブドール教団の本拠地となるだろう。やがて信徒ではない村人達も荷運びを手伝い始め、カリムはその光景を見て膝を付き、涙を流しながら神への祝詞を唱え始めた。

 その隙を突いて私も模造品を教会内に運び入れ、マリアと贋作をすり替える。ケースをクリアケースでなく外側からは内容物が見えないプラケースにしているのはこのためだ。なるほど、こうして改めて手にとって見ると素晴らしいクオリティで、この分野に興味が無い私でも思わず引き込まれる。ここまでくれば一種の芸術と言ってもいいかもしれない。だがこのクオリティは、ある男の悲しい愛と執念の結晶だ。カリムには悪いが、本来の持ち主に返してやるべきだろう。私はカリムに何も告げず、マリアを詰めたケースを他の空ケースに混ぜて運び出しトラックに積む。これで任務は終了だ。何事も無く終わって良かった。

 そう思っていたのだが。



 「おのれ神を騙る悪魔の使いめ!信徒達よあの女を逃がすな!八つ裂きにして奴の血と骨と皮を神へ捧げるのだ!!」


 居並ぶ無数の神像達を見ようと教会内に入ったカリムに一目でバレた。

 そこまでこの神像に入れ込んでいたとは。

 とにかく捕まれば命はない。

 アクセルをベタ踏みにして全速力で逃げるが、舗装もされていない上に曲がりくねった悪路で思うようにスピードが出ない。

 加えてカリムを初めとする信徒達は先程までの柔和で人当たりの良い表情を一変させ、凄まじい形相で追いすがってくる。純粋な想いほど、裏切られ反転した時の憎悪は強くなるということか。口々に恐らくはブードゥーの呪言なのであろう奇妙な響きの歌を歌いながら、老若男女問わず全ての村人が襲いかかってくる。正にこれこそ呪いという文化がもたらす、群集心理の結束力だ。もはや信徒であるかないかすら問題ではないらしい。

 ナチュラルボーンスプリンターとも呼ばれる、黒人特有の速筋力に加え、憤怒によって完全に心理的リミッターを解除された彼等の走力は凄まじいもので、速度を出しきれないとは言えディーゼルエンジンのトラックを持ってしても引き離せない。現在の100m走世界記録である9秒58は時速に直すと約38km/hだそうだが、これはそれに迫るか下手すれば上回っているのではないか。

 バックミラーで追手の姿を確認すると、走っている者だけではなく、道の両側に広がる森の木々を飛び伝って追いかけてくるものまで居る。彼等の手には石礫が握られ、先程から車体を雨霰のように叩いている。

 走るゾンビはただでさえ賛否両論なのに、凶器まで使うとはやりすぎではなかろうか。いやゾンビではないから問題なのだが。

 しばらくはこのままでも保つだろうが、この状況が続けばかなり危険だ。いずれにせよ彼等を振り切らなければ国境を通るのも難しくなる。

 しかし、勿論こんな事もあろうかと逃走プランもきちんと用意してある。全ての想定されうる状況に対して備えを怠らないのがプロの嗜みだ。

 予め備え付けておいたスイッチを押し、トラックのハッチを開ける。そしてもう一つスイッチを押し、荷台の中身をする。

 荷台にはこういう時のために備えた、ラブドールの予備が残してあったのだ。トラックの後ろに次々とラブドールが転がり出し追手の道を塞ぐ。無論ラブドールはただのラブドールなので、普通なら大した足止めにもならないのだがこの予備には仕掛けを施してある。


 「ああ~なんだこれ、凄えいい匂いがする…外国の女の人はこんないい匂いがするのか…」


 「あらあ、なにこれ凄い良い香りじゃない、部屋に持って帰って飾っておきましょう…」


 追手達が道に転がるラブドールを避けようともせず、むしろ誘われるようにラブドールを抱き抱え頬ずりを始める。やがて村人同士でラブドールの奪い合いが始まった。凄まじい力で腕を、脚を村人達に引っ張り回されるラブドール。引き千切れるラブドール。パーツごとにバラバラに分解されるラブドール。形を失い人形から物に変わっていくラブドール。しかし村人達はそのバラバラのラブドールですら奪い合い、宝物のように抱きしめる。


 「相変わらず恐ろしい効き目ね…殆ど劇薬じゃないのかしらこれ」


 今散布したラブドールには、全てに特殊な香水が摺りこんである。芳しい芳香であるのは勿論のこと、一度嗅げばその香りのもとから離れられなくなる程の中毒性を誇る、悪魔の水だ。

 フランスの調香師の中でも、極限られた優秀な者にのみ与えられる「」の称号。一度はその栄冠に輝き、その悪魔的なセンスで多くの人を魅了する香りを作り続け天才の名を欲しいままにしたものの、やがてその香りに対する追求が人倫を踏み外すほどに加速した結果、香水に毒劇物の混合すら躊躇わなくなり追放された、破綻調香師ミハエル。

 日の当たる表社会を追われ、闇の世界に生きていた彼に出会って学び取った技術。私が出会った時には、既に毒物を使用するのが日常化していたので毒の調合のプロフェッショナルにもなっていた彼から、毒の取り扱いの基礎を学んだ。

 毒の入っていない香水を取り扱うことの方が珍しくなっていた彼は、常に防毒マスクを着用するまでに至っており、彼は日頃からそのことを嘆いていた。


 「至高の香りを追求し続け、僕はここまで来た。でも道を進めば進むほどに、僕の鼻はその香りを嗅ぐ事が許されないんだ。いい匂いなんて、もう何年も嗅いでいないだろう…」


 まさに過ぎたるは及ばざるが如し、というやつだ。

 殆どの村人は振り切り、道も少しずつ平坦になり始めた。これで一安心か…と思うと、常軌を逸した速度で迫り来る影が目に入った。

 カリムだ。

 散らばるラブドールも、それを抱きかかえる村人達も全て足蹴にし、飛び石を踏むようにして加速、黒鳥のように飛びかかってくるカリム。

 ついに追いつかれ、荷台に取りつかれてしまった。そのまま荷台を伝って運転席にまで手を伸ばしてくる。


 「ワタシノカミヲカエセ!ケガレタ、チノオンナメ!」


 「ええいしつこい奴め、そんなに人形がいいのか!目の前にこんなに良い女がいるのに!」


 「ダマレ!ニクタイノオンナデアルオマエニ、カミノスバラシサハワカラヌ!」


 サイドウィンドウを凄まじい膂力で叩き割り、カリムが運転席に侵入しようとしてくる。いかん、このままではやられる。しかしトラックの運転を止めることも出来ない。こうなったら一か八かだ。


 「肉体の女と言ったな!ならばこれでどうだ!」


 右手でハンドルを握りながら、運転席に入り込もうとするカリムの首筋に左手を回し、逆に思いっきり胸元に引き寄せて、カリムの顔面を乳房に押し付ける。Fカップの威力を思い知れ。

 

 「ヌッ!グッ…むっ…むぅぅ…嗚呼…」

 

 最初は抵抗し暴れていたカリムだが、やがて大人しくなった。胸元から引き剥がしてみると、完全に呆けている。頬に手を這わせ、額にキスをしてやる。


 「貴方の神を奪ってごめんなさい。お代はこれで勘弁してちょうだい」


 完全に脱力しきったカリムを窓から放り捨てる。まああの体力なら死ぬことはないだろう。そのまま引き離し、やがて村が見えなくなるほどの距離まで私はトラックを走らせた。


 ようやくベナンとナイジェリアの国境付近までたどり着いた。アフリカの国境警備では賄賂が日常化しており、正式な手続きを経ただけで通過できることは稀だ。だが大した額でもないのでさっさと払ってしまうに限る。どうせ今回は全部経費だし。

 国境に入る前に荷台に積んであったマリアを下ろし、確認する。これだけは先の仕掛けで落ちないように特別に固定してあったのだ。依頼の品なのだから当然だが。

 簡単に点検するが特に欠損や損傷は見られない。今回の仕事もこれで終わりだなと安堵していると、人形の髪に隠れていた首筋に書き文字を見つけた。そういえばすっかり失念していたが、これが例のヴィンチェンツォのサインか。そこにはイタリア語でこう書かれていた。


 アマーリア、君の美しさを永遠にここに留める。そして私も永遠に愛し続けよう。

 だが、いつの日か君がここに還ってくる事を私は望む。

 ーーミラーノ・ヴィンチェンツォ


 そうか、この人形は確かに魂の座となるべく創り出されたのだな。そこに神性を見出したカリムの目もあながち間違いではなかったということか。

 愛とは、移ろい形を変えゆくもの。永遠でないからこそ愛は愛足りえるのだ。

 それを無理矢理留めようとすれば、やがて歪なものに変わり果ててしまうだろう。

 しかし、その運命と必然を拒んでしまうのもまた愛故か。

 男達の不器用な愛に、私も思わず目頭が熱くなり、やがてその頬に涙を…


 「って、なるかあぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーい!!!」


 広大なアフリカの大地で、一人太陽に向かって私は吠えた。

 その叫びは誰の耳に入ることもなく、雄大な大自然の中にただ溶けゆくばかりであった。横に置かれた究極のラブドールだけが、そんな私をガラス球の瞳で見ていた。

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