探偵
俺は何者なのかって?
俺が何者かを表すには、4文字で足りる。
「イケメン」である!
ほら、あそこにいる女子を見ろ。あれは「まあ、何と素敵な殿方なのでしょう」とでも言いたそうな顔じゃねぇか。
『古事記』に、こういう表現が出てくるらしい。昨日、行きつけの喫茶店のマスター(渋いオッサン)が言ってた。
マスターは、他の常連客から聞いたそうだ。
その常連客とやらは、かかりつけの医者に聞いたそうだ。
その医者が誰に聞いたのかは知らん。
つまり、まあ、とりあえず。
俺は「イケメン探偵」ってやつなのさ。これだと6文字になるけど。
「探偵」なら2文字だな。「イケメン」よりも文字数が少ないが……。どっちかって言うと、イケメンの方が重要だな、うん。
しかも、ただのイケメン探偵じゃない。
俺、超能力者でもあるんだよ。
つまり、イケメンすぎる超能力探偵だな。
どんな超能力を使えるのかって?
それは……
「探偵さん探偵さん!」
おっと、依頼が舞い込んだようだな。依頼主の女が、事務所のドアを開けて入って来た。
俺はイケメンなもんだから、依頼主は女であることが多い。今回も、やっぱりと言うか、女のようだ。イケメンってのは罪なもんだぜ。
まあ、来るのが美人ばかりだと嬉しいんだがな。今回の依頼主は…………うん。
俺は、相手が太ったオバチャンでも、真摯な対応をする。紳士だからな。
「どうしたんだい、マダム。そんなに慌てて。この名探偵に解決して欲しい殺人事件でもあるのかい?」
「違うわよ、探偵さん。うちのピーちゃんがいなくなっちゃったのよ!」
「ピーちゃん?」
名前からすると、ペットだろう。インコかオウムか九官鳥か鶏……鶏はないか。
まあ、ペット探しも探偵の仕事の内さ。俺としちゃ、殺人事件を解決する名探偵に憧れていたんだけどよ……。
「これが、ピーちゃんの写真!」
そう言って、オバチャンがスマホを見せる。ほー、これがピーちゃんか。こいつはなかなかカワイイ…………ネコだな。
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