第9話人の暖かさ
震災が起こった次の日から、各地からボランティアの人達が、被災者に集まった。炊き出しや、怪我の処置、瓦礫の片付け作業。多くの芸能人や、スポーツ選手達も被災者達を元気づけようとした。
体育会で、避難生活を余儀なくされた人の中で、中山さんに話しを聞いてみた。
中山さんは、80歳になるオバァさんで、やっとこさっとこ逃げてきたという。
「毛布一枚に包まってそりゃぁ、もう寒くて寝れる気がしませんでした。食べるものもなくて、毎日パンとおにぎり一つと、お水しか渡されなくてね。。。生きた心地がしませんでした。そんな中で日本各地から、ボランティアの人達が、助けてくれてね。温かい豚汁やらカレーやらをいただきました。体も温まり、心に染みたんですね。あの味は今でも、忘れないよ?」
ほんわかする温かい話を聞きました。あの時ほど人の暖かさを感じたことはなかったかもしれない。そう語る中山さん。
仕事を休んでまでボランティアに参加した人もいるだろう。
私も行きたかったのだが、仕事の都合で行けなくて、何もできない自分に腹を立てた。やるせなかった。地元宮城県で、苦しんでる人が、沢山いるのに。。。
辛うじて実家は被害なく、家族も、全員無事だった。だが、私の、中学時代の友人の家は被災したりしたという。
母と電話が繋がり、昔着てた服を被災者にあげてもいいかと聞いてきた。
私は、勿論。それで、困ってる人の力になるならばと、喜んでいいよ。と言った。
その後日、中学時代の友人から、感謝の電話があった。
「ありがとう。中学卒業してから、連絡してなかったけど、お前の母ちゃんから服やら毛布やら、食べ物やら、もらったよ。中学の部活の時着てたジャージ懐かしいね。マジ助かった。」
良かった。少しでも力になれて。私は、ホッとした。
人と人。困ってる人を助け合い、理解しあう。苦しみも、喜びも、分かちあう。東北には、そんな、人間の奥底にある、優しさや、思いやりが、沢山あった。
これが、キズナ。頑張ろう!東北!!それをモットーにその瞬間は日本中、いや、世界中が、一つになった気がした。
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