第1話 とにかく捨てろ、とは言わない。

 ここで、断捨離系掃除本なら、「まず捨てろ!」「捨てれば楽になる!」「捨ててスッキリすることから掃除は始まる!」 って来るんですが、オタクとしてはここで言いたいわけですよ。


 ──黙ってろ。(据わった目で)


 いや、確かに半分は当たってます。私も、そう言っておきながら初回はやっぱり「物を捨てましょう」から始まります。とはいえ、ですね。我々は血と汗と涙と金銭を用いて、好きな嫁や婿の品々を集めているわけじゃないですか。それを捨てるとは何事だと、表に出て正座しろとっくりと1時間説教を──


 えー。ゴホン。


 何はともあれ、捨てることは捨てるけど、残したいものは残してもいいじゃない、ということをまず念頭に置いて考えます。とはいえ、部屋にはどーしても増やせない一点があります。それは、部屋の容量キャパシティ。こればっかりはどーにもできない。外部にレンタルルームを設けて物を移せるリッチメンなら話は別ですが、基本的にそれは除外する方向でいきます。


 ですので、容量が超えてる以上は「どうしても部屋に溢れて汚染される」ため、捨てることが必要になってきます。目安は、床に物が溢れ、なんとなはなしに床に置いている状態が発生していること。これが日常の風景に見られるようになると危険サインです。


 「それでもいやだ!!捨てたくない!!お金がないけどレンタルルームとかも借りたくない!!」という方は、手の施しようがありません。どうぞ、宝の山の詰まった部屋で生活して下さい。「このままではマズイ」と思えたあなたは、どうぞ先をお読みください。


 でですね。まずは、片付けたい一角を決めましょう。それは本棚? フィギュア棚? ミルフィーユになってしまった積ん読本たち? なんでもいいです。とにかく、部屋全体ではなくて、「部屋の一部」ここに限定しましょう。掃除初心者は特に、圧倒的な物量に押し流されて、気合いすらも流されてしまうからです。まずはちょこっとでお試し。


 その中にある片付けたい、と思う品々…例えば例として、本棚として使っているカラーボックス3段分としましょうか。こいつらをブッ殺…じゃない、片付けていきます。まずは、3段分の本を全部「ドザーッ」と床に出してください。ドザーッと! 遠慮はいりません!! 床の海へと大放出して下さい!!


 そうしたら、今度はその本の中から、4つの種類で分けていきます。


1)とてもお気に入り。普段すぐ読む。実用的。


2)とてもお気に入りで自分を形作る本だが、だからこそ逆に頻繁には読まない。宝物


3)ほどほどに気に入っているが、ここ2〜3年読んでない。


4)ほとんど読んでない。読む気が起こらない。今の自分にはもう必要なくなったかなと思う。


 特に1と2の本に関しては、再度読んでしまい時間ロスになるという「掃除あるある」な罠に陥りやすいので、絶対に表紙をめくらないことが肝要です。


 4はわかりやすいですね。これがいわゆる捨て候補です。「私には絶対存在しない!」と断言する人がたまにいますが、これは私も30年生きてよーやくわかったことなのですが…オタクも人間も、変化していきます。感情も性質も。だからこそ、今の自分に「本当に必要のない」ものは、常に持ち物から生まれていってしまいます。これは仕方のないことです。


 もし、それでもどうしても…この嫁は…この婿は…と思う本やグッズがあったら、2に残してください。ただし、すべてではなく、厳選して1〜2個としましょう。それに転んでいた時期も、間違いなく貴方を形成した証なのですから、全部捨てる必要はないと思います。とはいえ、4が多ければ多いほどスムーズにスッキリしますので、残すならば程々に。何はともあれ、4を処分することで、初めて掃除・片付けはスタートします。


 3は、いわゆる少し熱が冷めかけた中途半端なジャンルになると思います。そういったものたちは、全部まとめて、段ボール箱に入れてしまいましょう。そして、「比較的取り出しやすい位置」の天袋や押入れに入れてしまいます。


 そして、ここからさらに1〜2年の経過を待ちます。もっと短くてもOKです。つまり、その期間内に探して読まなかった場合は、4と同じく「今の自分にはもう必要のないもの」だと納得できるかと思います。(逆に忘れきってしまって「なんだっけこれ?」と放置になりかねないので、段ボールの見える面に必ず内容物を記載して下さい)そのまま処分してしまいましょう。逆にその期間内に慌てて探して取り出したものは、2へと昇格します。


 2は、小さい頃に読んだ本や作品が大体だと思います。本当に捨てられない。ならば、捨てなければ良いのです。そのまままるっと3と同じく、ダンボール箱に入れて「比較的取り出しにくい位置(奥など)」の天袋・押入れに入れましょう。3と近いですが、違うのは「ほぼ人生を共にすると決めたもの=絶対に捨てない」ものであるということです。そのため、2の量は少ないに越したことはありません。ここは、部屋の容量とよく相談してみてください。


 最後に、1。これは、まさに、今の貴方に必要とされているものです。ちょうど今ハマっている作品や、クリエイターさんでは実用本などがそれにあたると思います。そういったものは、外に出しておいてください。


 そうすると…


 外に出て見えるものは、実質1のみです。これだけでも、わりと掃除・片付けを行った実感が湧くのではないでしょうか? スカスカの空間が少しでも生まれた棚は心地よいと思います。


 コツは、「よく使うもの」「使うかどうかわからないもの」「しばらく使わないけど取っておきたいもの」の3種を取り出しやすい位置・取り出しにくい位置に収納することです。実はこれでほとんどの話が終わってしまいます。

 あとは、悠然とカラーボックスに残った1を詰めていきましょう。そうしたら、次は隣の収納棚…机…ベッド横…と範囲を少しずつ拡大していけばいいのです。


 とはいえ、これは基礎の基礎。ただこれだけ実行しても、住みやすく、漫画やゲームが取り出しやすく、アニメDVDを検索しやすく、フィギュアが美しく整理されているわけではありません。同時に、生活しやすくもならないでしょう。


 次からは、どうやって「収納から役立つ整理をしていくか」を書いていきたいと思います。

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