第13話 本来、本物なんて出遭わない方が普通なんだ…4
かれこれ一時間以上も泳いでいるけど一向に風景が変わらない。
と言うより分岐が多くて『
スキルレベルが低いのは勿論、分岐が多岐に渡り過ぎてぎてマッピングしきれないのも原因の一つだ。
というか地上より水中探査の範囲が鈍くなってる、ていうか認識できてないし!
そのせいで行き止まりに気付かない事が多かったりする。
実際此処かな、と思った道を行くと部屋にぶち当る事がかなりあった。
ただマップは着実に塗り潰されている訳だけど、それでも通路が長過ぎて本の一画程度でしかない。
――行き詰ったな、これなら例の泉から入った方が良かったかも。
悩んで居る位置に地上に出られると思しき水面の膜が頭上に見えて来た。
逸る気持ちを抑えてゆっくりと泳ぎ切り、顔を出した。
見た所【
んー、と…脅威判定は無し、っと。
【
それから『
幾らメンテナンスフリーな身体でも、何時までもずぶ濡れなのは気持ち悪いのは変わらない。
取り敢えず進んで行こう。
暫く歩いてるけど、危険度はあまり無い。
用心のために『
お陰で『
何て言うか…盗賊系ジョブの冒険者もビックリなスキル。
でも相変わらず遠くの景色が見えない、そう思ってた時期がありました。
《性急に『望遠』のスキル取得の要求を確認、受理します。『
――変異転換?
兎も角、物凄い事が解った。
SP表示も無くてどうしたらスキルの取得が出来るのか解らないのに強制取得した揚句、進化、それから統合・変異転換という流れは些か無理矢理過ぎる。
せめてスキルの習得にはSPを経由からの方がこの先安心できるかもしれない。
《スキルの自動習得に疑念在り。同時にスキル習得を
最近インフォが仕事をしたがる、何故だろう。
音沙汰無いと思った時に、一気に来る。
そうだ、インフォと言ったら
今まで忘れ掛けてたけど、現在の
しかも
取り敢えず、メニューを開いてステータスウインドウのジョブ欄から『
《称号『生存本能の塊』を取得しました》
ジョブをセットすると称号をゲットした。
ただ、サブの方みたいだけど。
ふむふむ…成程成程。
効力は素材アイテムの発見率微上昇か。
モノは有限、無くなれば死活問題だからこの効果は純粋に嬉しい。
元気が出たし、もうちょっと頑張ろう。
更に奥に進んで行くと、奇妙な広間が広がっていた。
う~ん、何て言ったら良いのかなぁ?
さっきまで誰かが暮らしていたみたいな、そんな感じの雰囲気だ。
辺りを見回して見ると、少し奥まった場所に水洞の入口に繋がってると思しき水溜りを発見。
――まさか?
そしてその予感は予想もしない形で実現する事になった。
唖然としていると、不意に水溜りから気泡が出てきて、さばぁとナニカ巨大なナニカが現れたのだ。
「ふぅむ、最近獲物が少ない所為で狩りがし難くなってきたわい」
『キュ、キュオ!?』
あ、しまった!?
「む、誰か居るのか?」
気が付いたらドラゴンの前に出て土下座をしてしまってました。
恐い恐い恐い恐い!
「む、むぅ」
『キュオ、キュオォ~~』
暫く落ち着いてきたので、目の前のドラゴンさんを恐る恐る見て腰を抜かしそうになったのは秘密。
「しかしお主、妙じゃの」
『キュ?』
「普通儂等の様な知性の有る生物は、警告等を示すのに人語を交わす事が出来る。なのにお主は人語を解せても人語を交わす事が出来ぬ、それが妙なのじゃ」
まぁ、そりゃそうだ。
まだ一度も人間に会ってないし、言葉はアイテムを鑑定した際に自動取得しただけだし。
実際に会話で学習してないし、というかした事なかったし。
「口頭で話せない、となると――」
『?』
『これでどうかのぅ』
あれ、頭の中に直接?
ウィスパーチャット……とかの類じゃないみたいだけど、えっと?
『むぅ、『
『
知らないスキル?
メニューを開いてスキル欄を探しても見付からない。
スキルじゃない?
『『
魔法?
《『
何か生えた。
でも、いちいち魔法として発動させるのは面倒臭い。
『
《
迷わずYを選択。
《PSに追加されました》
『あー、あー。マイクテス、マイクテス。大丈夫かな?』
『ぬお!? これ、急に大声を出すでない』
え、大きかった?
ていうか、使えた!
『お主が何かしたかは解らんが、『
そういう事になるのかな、うん。
取り敢えず使える様になったと言う事でこれまでの経緯を目の前のドラゴンさん話した。
『成程のぅ。別の世界からか、じゃからこの世界の言葉を知らんかったのじゃな』
『そう言う事、です』
ドラゴンさんの名前はロゥジィールさんと言うらしい。
ウォルボリア語で“優しく包む”っていう意味らしい。
『命有るゴーレムに宿りし人の魂か。それが誠なら、悪戯好きにも程があると言える』
『…そう言う物でしょうか?』
『そう言う物じゃ。というかお前さん』
『シェーシャ、です』
『シェーシャよ、少々悪意に鈍感過ぎるのではないか』
『……』
『沈黙は肯定と見做して貰うぞ』
痛い。
そうだ…ずっと、あの中に居たってのに。
『…今は深く追求しないでおこうかの』
『えっと…』
『儂の事はロゥ爺で良い』
『ロゥ、爺』
気が付けば俯いてた僕の頭を優しく撫でるロゥ爺。
そう言えばあの時助けてくれた人も、そうやって落ち付かせてくれたっけ。
(温かい)
落ち付いた所で逆にロゥ爺が何故此処に居るのか訊ねてみた。
どうやらロゥ爺、最近怪我をして傷を癒すためにこの大樹海に留まってるだけみたい。
それから傷を癒すのに必要なねぐらを探して此処に辿り着いたって訳。
『少々油断しておったのかもな。無駄に長生きしておるだけの年寄りじゃ、老いには勝てん』
『そんな事は無いです。ロゥ爺は――』
『解っておる』
真剣な顔付きから一転、にこっと笑顔を溢して
『安心せい、儂はまだ死ぬ気なぞ無いわい』
その言葉を聞いてほっとした。
折角理解者を得たと言うのにそれが直ぐに消えてしまったらどうしようかと思ったけど、大丈夫みたいだ。
メニューを開いてこの場所をマーキングしようとマップを開いた時、表示に奇妙な突っかかり感じたので範囲を広げてみたらその違和感の正体が判明した。
赤で示された巨大エネミーアイコンに幾つかの緑で示された味方アイコン。
赤アイコンの動きがかなり変だ。
『――――!!』
『どうしたのじゃ――これ、お主何処に行く気じゃ!?』
驚いたロゥ爺に腕を掴まれて引き留めるけど、それを振り切って【
『その慌て様…む、成程。…そうじゃな、猶予はないか。良かろう、此処から先の道は儂が
ロゥ爺も何かを察した様だ。
それにそう、こっから先の水の道はロゥ爺にしか解らないんだった。
軽率な考えに後ろめたさを感じながらも、ロゥ爺の後に続いて水の中に飛び込んだ。
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