第5話 どらごんてきさばいばる(何か違う気が)4

足取り重く、半ば無気力なとぼとぼとねぐらに帰り初めて数分。

違和感を感じてマッピング機能を確認すると、さっき見た道のりと違うに気付いた。

げっ、しまった!!

ねぐらから更に離れていってる!?

あぁ、ん、いやまぁ、その、ボケっとしてた僕が悪いんだけども。

…うーん、仕方ないか。

後は野となれ山となれ、だったけな。

どうせこのままマッピングを埋めて行く時点でいずれは遠出しなきゃならないんだから、今回はそれが早まっただけの事だし。

準備も無しにあれやこれやと慎重になり過ぎて結局深層に潜らなかったとしたら、どの道経験を積むという意味で勇気の無い臆病者として後ろ指を指されかねない。

無茶ではあるけども”一度痛い目に合って~”を早い段階で身体に叩き込んでおこう、そうしないと一生後悔する。

幸い今の僕はスキルのお陰で下手を打っても何とか出来るボディーだ、直ぐに死ぬ事は有り得ない。

…万が一あっても内部の腐食や錆、不具合による故障くらいだ。

それも今の所は大丈夫だろうと判断する。

ナマモノを口にしてそれなりに時間が経過している時点で――とは言っても昨晩の事だが――何も不調も起きて無いからだ。

嘗てこの身体が相棒のギルガメッシュとはいえ、基はただの魔導人形ゴーレムだった――筈だったんだけど。

でも現在はシェーシャとして機械の身体でありながら五感がしっかり働いている状態、人間であった時の記憶と経験が存在しているから別段違和感なんて無い。

寧ろとしてそうじゃなかたら今頃、色々と心が壊てた気がする。

閑話休題それはともかく


(最も、さっき熊を狩ったお陰で野営時の食料に困らなくて良かった)


面倒臭がらずに仕留めたお陰で余計な時間を取られるといった心配は無くなったので良しとしよう。

同時に欲を言えば水と葉物――食物繊維――が欲しいが、今は時間が無い。

もう少し移動すると、水の流れる音が聞こえて来たので其処へ向かうと、湧水の池を発見した。

た、助かった…!

と言う事で、じゃん!


○ミスティ・トレントの端材はざい

レア度:C

品質:C

劣化度:56%

耐久値:44%

備考:武器製作で余った端材はざい

手を加えればまだまだ道具を作製できる位の量は有る。


アイテムボックスから取り出す。

今更周りの木を伐採して木材を得るとなると時間が掛り過ぎるので、予め持ってきていたこれを使いたいと思います。

先ず底と蓋と側面に組み立てられるように板状に切り出す。

次に薄く紐状にした物でたがを作製。

本来なら竹製が良いんだけど無いので今回は端材で代替する。

そしたら板状に加工した木材を『木組み』という技術で組み合わせてそこ等辺にあった蔦で綱を作ってきつく巻き付け、箍を嵌める。

嵌めたら緩まない様に同じく端材はざいで作った木槌できっちり締めて蓋を嵌めて、水を出すための個所を作製して完成。


○百年魔樹の貯水樽

レア度:A

品質:B

劣化度:0%

耐久値:100%

貯水率:0%

付加能力:『水質劣化防止・保存(小)』『浄化(小)』『貯水許容量20%UP』

製作者:シェーシャ

備考:百年魔樹ミスティ・トレントを使用し、異界の技術で作成された巨大な貯水タンク。

保存した水は浄化され、短期間なら劣化せずに水質を保ち続ける。

改良する事でこの効果は大幅に上がる。

一先ずはこれで良いだろう。

アイテムボックスからミスティ・トレントの端材はざいで作った有り合わせ急造タンクに水を汲む。

貯水率が100%(と、上乗せの20%をプラスして)になった所で栓をしてアイテムボックスに仕舞った。

うん、えっと、これについては昔テレビで放送してた特番で樽の作り方を思い出して作ったらなんと出来てしまったというのが正しいかな?

これで水も確保出来たから良しとしよう。

今更だけど昔の記憶、憶えていて良かったぁ。

さて、日も暮れて来たし急いで此処を出発して何処か広い場所で野営の準備を始めようかな。


泉の近くに丁度良い広さの場所を確保した僕は、貯水タンク作製にあたり、出てしまった木屑を種に拾った薪に火を付けた。

全く、こう言う時に魔法と言うのは役に立つんだから習得して良かったよ。

さっき狩った熊をアイテムボックスから取り出して解体、肉を即席木串に刺して焚火の横に肉を火の前に来る様に斜めに地面に数本刺した。

――――そう言えば、ゲームの、それこそVR世界で遊んでた時は楽しむのに熱中し過ぎて空を見上げた事なんて無かったな。

最後に視た時は一昨日辺り…そう、あの世界が終わりを告げた時だ。

なんてしみじみ感傷に浸り始めた瞬間、ぐーと間抜けな音がお腹から出てきてびっくり。

慌てて肉に視線を戻す羽目になってしまった。

…今頃、どうしてるだろうな皆。

焼けた肉を頬張りながら取り残された親と、ゲームで知り合ったフレンドの顔を思い浮かべながらその日僕の探索一日目が終わった。

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