第3話 どらごんてきさばいばる(何か違う気が)2
結局、僕か目を覚ましたのはお昼を回ってからだった様な気がする。
この日は試し斬り序でに昨日の魔物を狩った。
良く斬れたのか、気付いたら斬られてたって感じであっさりと倒れたって言う事を表記しておく。
同時にカメロの実も採取する。
有って損は無い。
と言うか一部を除いて生食に慣れていないから恐いと言うのもある。
理性と言うのかな?
いや、本能のレベルで生は危険だと感じているのかもしれない。
『キュゥゥ…オ』
アイテムボックスが有るから幾らでも持ち運べるって、便利だ。
劣化する事も無い。
逆にいえば、発酵・腐敗させたいものには不向きみたい。
便利と言えば便利だけど、時間を掛ける物を作る時には不便。
ただ、スキルのお陰で何とかなってるっていう状況かな?
出来るだけスキルに頼りたくない僕としては、劣化アイテムを手に入れなければならないのかもしれない。
…面倒臭い、果てしなく面倒臭い!
仕方ない、食料調達序でにストレスの発散でもしよう。
あの狼とか良いかな?
草の茂みから覗いて機械の双眸のレンズに一匹の狼を映す。
○フォレストウルフ
・様々な場所の森に生息する狼の魔物。
この個体は別の個体に敗れ群れからあぶれたはぐれ個体。
相変わらずと言うかなんというか…説明文は要らないんで、敵さんのスキルとかそういうのでお願い。
そう考えていたらカチリ、と何何処かの歯車が噛み合った様な音と共にステータス表示が切り替わった。
『フォレストウルフ』
ランク:B-
スキル:『遠吠えLv.3』『威嚇Lv.5』
称号:『はぐれ』『一匹狼』
状態:やや飢餓状態
備考:様々な場所の森に生息する狼の魔物。
この個体は別の個体に敗れ群れからあぶれたはぐれ個体。
様々なものと戦ってきたためか、普通の個体より強くなった。
全ては再び群れの頂きに舞い戻るために…。
レベルじゃ無くてランク制か。
HP・MP表記が無いのはついぞ最近やってたゲームと同じ仕様みたいだ。
ビルド機能はスキルだけ、ハードルが高い分解り易くて良いけど。
それにしてもはぐれとは当たりみたいだ。
ちょこっと狼の説明文のバックストーリーに胸が熱くなってドキっとしたけどこの世は弱肉強食、下剋上。
ふむ、と言う事はこの状況でいくとちょっと強いだけの個体という比較的楽な条件下で戦えると言う事かな。
今の僕より弱いからといって油断は大敵だけど、プレイヤーズスキルがものを言うこの状況下において余裕を持って倒せるだけの実力はあると自負している。
狙いを定めて指パッチンする。
すると狼の足元が爆発し中空に放り出された。
其処を僕が見逃す筈も無く、すかさず藪から身を乗り出して斬り付ける。
着地、ひゅんふっと刀を振り血を飛ばし、ちんっという納刀と共にどさりと倒れて絶命した。
倒れた狼を見やると頸動脈――首筋の辺り――から血を流している。
因みに僕がやったのは単純で、『
そうすると化学反応で爆発を起こす。
但し、ただ酸素と水素を集めただけじゃ駄目で、『水素2:酸素1』の割合じゃないと出来ない。
音が出るのは仕方ないとはいえ、不意打ち程度には便利だ。
ま、でもこれで少しは食料の足しになった。
でもまだ一匹だけじゃ足りないからもう少し捜そう。
音、
『
脳内に妙なアナウンスが流れる。
うぇ…何か気持ち悪い。
――――それより、スキルの習得に加えて最適処理された!?
しかももういっこやるか、って?
……何かもう怪しい。
怪しいけど…スキルの整理が出来るのならええい、ままよ!
Y一択。
《どのスキルを最適化させますか?》
勿論、此処は『
《『
…あれ、とんでも無い事になっちゃった予感。
しかし成程、普通は『
対して探査系スキルは経験習得、と言った所だろう。
よし、今回はレベリングのために同時に発動しとこうか。
これで狩り暮らし生活が十分送れる――――――――と思っていた自分が居ました。
『ギュ…ゥゥゥ』
(おえ…気持ち悪い…吐きそう! オイル吐きそう!)
色んな情報が一気に入ってきて、頭痛どころかリバース直前な状態。
すぐにスキルをぶち切ったけど…うん、今すぐにでも、何もかもぶち撒けたい最悪な気分が続いてる。
でも残念、昨日から何も食べて無いんだ。
だから逆に空っぽ過ぎて辛い。
吐きたいのに吐き出せない…何このジレンマ。
もう駄目、死んじゃうぅぅ~!
情報過多による頭痛と同時に襲い掛かって来た空腹による気持ち悪さも抑えてやっとの思いでねぐらである洞窟に戻った僕は、途中拾った薪を敷いて生活魔法で火を起こした。
狩ったフォレストウルフを解体、爪の鋭い部分で叩いて筋を取ってから木の串に刺して炙る。
じゅうじゅうと肉汁が滴り落ちる様子に息を呑んだ、空腹で有る事も忘れて。
そして程良く焼けた所でパクリ。
『キュオ…キュルオォ…ン』
ああ、何て美味しいんだ。
森に不慣れで香草も塩も無い、純粋な肉の味。
血抜きをしたけども完全じゃなかったから、僅かに抜けない野性味。
だけども脂の甘さが口いっぱいに広がった途端、言葉に出来ない旨みが脳?を突き抜けて気付けば涙を流していた。
久しく忘れて居た食べる事への感動。
うん、そう、VRでも初めて食べた時もそんな感じだったなぁ。
βから始めた僕は何も無い状態から自給自足。
いや、申し訳程度の知恵と武具とお金だけだったけ。
話は逸れたけど一般的なNPCが経営している店も確かに美味しい事は美味しい。
だけど、どうも何かもう一味足りない様な気分になった。
まぁでも同じNPCでも宿屋とか、家庭の食卓はその限りでも無かったけどね。
それでも美味しいものを食べた時、幸福感が僕の全てを満たしてくれた。
そして今、再びそれが僕の全てを満たしていた。
今が極限状態ってのも有る。
でも、それだけじゃ無い。
ついさっき目が覚めて、右も左も解らない状態で、それでも冷静になって動いたからこそこの結果を自力で導き出せた。
“森”という或る種恵まれた環境って言うのもその要因の一つだろう。
「ご馳走様」
祈る様に両掌を合わせ、食事を終わらせた。
さて、これからどうしようか。
森の中を進めばいずれは出るだろう、あるいは街道に出るかもしれない。
偶然、盗賊らしき物にも出くわすかもしれない。
今は人に会うには微妙な立ち位置で、僕自身討伐されてしまう危険性もある。
何処からか迷い込んだゴーレム、って言うのもいまいち信用されない。
勿論、
うーん…現状維持かぁ。
取敢えず今は森から出るって事は考えないで、探索をメインにする方向で考えよう。
んじゃ兎に角今日はもう寝よう、明日の事は明日考えれば良い。
今僕が出来る事といえば、明日に備えて準備する事だけ。
『フ、ォオオオン…』
大きな欠伸と共に、僕の意識は
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