キラキラ

はてこの足は どこへ向かっていたのだっけ

忘れてしまった 遠い昔のこと

確か 何か 大切なモノを探していた気がする

わたしにしか見つけられない 何か

なんだったっけなぁ

思い出そうとしたけれど

砂時計の砂のように こぼれて なくなって わからなくなっちゃった


はてこの腕は 何を持っていたのだっけ

忘れてしまった 遠い昔のこと

確か 何か 大切なモノを持っていた気がする

わたしにしか扱えない 何か

なんだったっけなぁ

思い出せないけれど

万華鏡のように キラキラ 輝いていた 気がするんだ


とても大切だったはずなんだ

とても大事にしていたはずなんだ

だけどどうしてかな

時間の経過とともに

優先順位が低くなっていって


もっと大事なものができたわけでもないのに

大事なものが だんだん後回しになって

あのキラキラは もうわたしには 見えないのかな


もう一度見たいなあと思っても

もう一度追いかけたいなあと思っても

もう遅いのかなあと諦めてしまったり

もうずっと遠くにあるんじゃないかと不安になって

なりふり構わず追いかけた先で

何も見つからなかったらどうしようと思うと怖くて

足踏みを続けたまま もう何年?


今この足は 堅実な現実を歩いているんだなあ

向かう場所は決まっていて

たまにちょっと逃げ出したくなって

わたしにしかできない 何か

なんてもの あると思ってた?

ないんだよなぁ そう簡単には


今この腕は 社会の歯車の一端を担っていて

かつて持っていたものは全てなくしてしまって

たまにてのひらを見つめてみるけれど

そこには手相があるだけで

どんな未来が広がっているのかなぁ

なんてちょっと自嘲する


未来がわかればいいのになあ

安全だったら踏み出せるのになあ

それができないから今があるのかなあ

怖がりだからキラキラはどんどん小さくなっていったのかな

いつの間にか 見えなくなってしまったのかな


もしも もしも

わたしが今からでも一歩踏み出せたら

またあのキラキラは わたしの手の中に戻ってきてくれるかな

怖いけど 不安だけど

見えない一歩を踏み出せたら

大事な何かが 見えるのかな

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