お題:感情の域をこえる/「したい。」/愛されているという実感
この感情は、友情なのだろうか。
傍に居たい。
話をしたい。
触れたい。
アレがシたいコレがシたい。
最後のソレは明らかに友情じゃねェよと頭を掻いた。
駄目だから、友情でいなきゃさァ。
てゆーか、せっかく友情までは許される関係になれたんだから、それ以上求めてどーすンの?
それ以上望んで、壊れたら?
オレビビりだから、考えるだけで痛いんスけど。ねェ?
すぐ近くで雑誌を読んでるその人を見た。
オレの視線に気付くことなく、黙々と雑誌を読むアンタ。
視線に気付かないように、きっと気持ちにも気付いてもらえない。
まあ別に、気付かれなくてもいいんスけど。
むしろこんな気持ち、気付かれちゃァ駄目だって。
付き合った相手とことごとく破局するマイナスジンクス持ってるし。
あー。
……ハイ。
わかってる、怖いだけだって。
女々しい。
それも、わかってる。
あ゛ー、と濁音混じりの声を上げると、雑誌に夢中だったかの人がオレの方をちらりと見た。
何、と問われたので、いえいえ何も、と手を振り返す。
するとその手をひょいと掴まれて、そのままぎゅっと握られた。
「……おー?」
「手、繋いでると安心するんだとさ」
書いてあった、と指が雑誌を叩く。
「オレ不安そうっスか」
「そう見えなきゃしてねえよ」
「わァ、オレ愛されてるゥ」
「あーはいはい」
軽口を叩いてかわされて。
でも確かに実感して。
だからこそ、感情を越えないように願望や欲望を封じ込んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます