蒼紅「星」

あのが「星が好き」って言ってたから

あいつはたくさん星を覚えた

「あれがデネブ、アルタイル、ベガ」


わざわざ俺にも教えてくれた

その台詞は俺の好きな歌の歌詞と同じで


七夕に告白するなんてなかなかロマンチックな奴だ

残念ながら雨だけど


少し笑みがこぼれる


3か月前お前があのに出会うずっと前から

言えるわけもないけれど

「俺もあののこと好きなんだ」


夏の大三角さんかくかんけい

この状況は俺の好きな歌の歌詞と似ていて


とりあえず窓を開けて星の見えない夜空を見上げてみる

雨は止んでいた


少し月明かりがこぼれる


スマホの振動に息をとめた

あいつからの電話

少し呼吸を整えて

少し覚悟を決めて

少し泣きそうになって


あいつの嬉しそうで不明瞭な声が聞こえる


「…よかったな」


だめだよ泣かないで

あの歌が響く











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る