「私とミャイは違う」
「私は、リボンをたくさんつけられるのは、どうにも落ち着かぬ」
シュンとミャイがうなだれる。
「だが、ミャイはそれを、かわいいと言う」
「だって、リボンはとてもかわいいもの」
うつむいたまま、ミャイはポツリと言った。
ふむ、と息を漏らせば、ミャイが肩を縮める。ミャイの母親に説教をされているときと、おなじ態度だ。
「説教をするつもりはない。ただ、リボンをあまり多くつけられるのは、困る」
「……うん」
「なぜ、ミャイは私をリボンまみれにしようとする」
「それは……だって、かわいいから」
「それだけか?」
ミャイは上目遣いになって、じっと私を見てから口を尖らせた。
「うらやましくって」
なにがうらやましいのだろう。
首を傾げれば、ミャイは視線を落として膝のあたりをポコポコ叩いた。
「私、もっといっぱいリボンをつけたいけど、毛が長くないから……いっぱいつけられるの、いいなぁって」
「自分の代わりに、私にリボンをつけていた、ということか」
「代わりだなんて! でも……そう、なのかな。わかんない」
ポコポコと一定調子で膝を叩きながら、ミャイは首をゆらゆらと動かした。
「私とミャイは違う」
「そんなの、わかってるもん」
「私の好むものと、ミャイの好むものは違う。その、かわいい、というものの基準も、おそらく私とミャイは違う」
「さっき、かわいいっていうことは、よくわからないって言ったのに?」
「そうだ」
「変なの」
「そうか?」
「そうよ。だって、わからないのに、どうして違うってわかるの?」
「ミャイのかわいいを、私はリボンのバケモノのようだと思うからだ」
ミャイは膝を叩く前足を止めて、ポカンと目と口を丸くした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます