「私とミャイは違う」

「私は、リボンをたくさんつけられるのは、どうにも落ち着かぬ」

 シュンとミャイがうなだれる。

「だが、ミャイはそれを、かわいいと言う」

「だって、リボンはとてもかわいいもの」

 うつむいたまま、ミャイはポツリと言った。

 ふむ、と息を漏らせば、ミャイが肩を縮める。ミャイの母親に説教をされているときと、おなじ態度だ。

「説教をするつもりはない。ただ、リボンをあまり多くつけられるのは、困る」

「……うん」

「なぜ、ミャイは私をリボンまみれにしようとする」

「それは……だって、かわいいから」

「それだけか?」

 ミャイは上目遣いになって、じっと私を見てから口を尖らせた。

「うらやましくって」

 なにがうらやましいのだろう。

 首を傾げれば、ミャイは視線を落として膝のあたりをポコポコ叩いた。

「私、もっといっぱいリボンをつけたいけど、毛が長くないから……いっぱいつけられるの、いいなぁって」

「自分の代わりに、私にリボンをつけていた、ということか」

「代わりだなんて! でも……そう、なのかな。わかんない」

 ポコポコと一定調子で膝を叩きながら、ミャイは首をゆらゆらと動かした。

「私とミャイは違う」

「そんなの、わかってるもん」

「私の好むものと、ミャイの好むものは違う。その、かわいい、というものの基準も、おそらく私とミャイは違う」

「さっき、かわいいっていうことは、よくわからないって言ったのに?」

「そうだ」

「変なの」

「そうか?」

「そうよ。だって、わからないのに、どうして違うってわかるの?」

「ミャイのかわいいを、私はリボンのバケモノのようだと思うからだ」

 ミャイは膝を叩く前足を止めて、ポカンと目と口を丸くした。

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