芍薬~しゃくやく~
白いチョークの粉を指にたっぷりつけて黒板の上をなでる
少なくなったらまたつけて
同じところを何度もなでる
一枚一枚書いて重ねて
一つの花を黒板に咲かせる
今度は
緑色の粉をつけてまっすぐに落とす
何度も 何度も なぞって濃くする
左右に葉を広げる
光をたくさん吸収できるように
大きく 広く 青々と
赤と黄と白のチョークの粉を混ぜて
少しだけ花びらをなぞる
ほんわりと色づいた真っ白い”芍薬”を咲かせた
真っ白な花びらの中にわずかに色づく赤と黄
ふわりと白いスカートをなびかせて教室をでる
”春が来るお知らせです”
くすくすと笑って少女は風に乗って消えた。
終
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます