第9話 喪失

卵がなくなりました。卵を失った女は、身体は女そのままに心がまるで男のようになりました。男はなくなった卵を探して山のように女の絵と女の像を作りました。男と女は一緒になって卵を作る真似事を毎晩のようにしました。しかし、卵はありません。子供も生まれなくなりました。いたずらの神さまはなくなった卵を血眼になって探しました。草むらをかき分け、山を登り、海に潜りました。それでもまだ見つかりません。「山のもっと高いところを探そう。」「海のもっと深いところを探そう。」「そうだ。天を探そう。」息のできないほど高いところまでいき、月と太陽までも探しに行きました。それでも卵はありません。天の神様は一体どこに卵をどこに隠したのでしょうか。

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