いたずらの神さま
山川一
第1話 はじまり
あるところにいたずらの神さまがいました。森に入っては枝をおったり、牛に石を投げたりよくいたずらをしていました。小さな神様だったので、よく他の動物に食べられたりもしましたが、それでもライオンや象など自分より大きな動物にもよくいたずらをしていました。ある時、雨が降ってきたのでいたずらの神さまは近くの木陰で雨宿りをしていました。そして空が真っ暗になったかと思うとズドオオンという大地が割れるような大きな音がしました。いたずらの神さまは、びっくりしてしばらく木陰に隠れていました。しばらくするとしーんと辺りが静まり返ってきました。「おれよりすごいいたずらをしたのは一体誰だ!?」と思ったので、木々をかき分けて大きな音のした方へ進んで行きました。しばらくすると、変な匂いがしてきて、その先に立派に緑の茂った大樹が真っ黒になり折れているのが見えました。いたずらの神さまは、「象が体当たりしてもこうはなるまい。さては天の神様の仕業だな。」「自分じゃなくてよかったな」などとつぶやきながら真っ黒になった大樹の周りを見回しました。しばらく見ているとところどころに赤い光があるのを見つけました。「変だな。葉っぱはまだ緑のはずなのに。」不思議に思って赤い光に近づき手を伸ばしました。「痛っ!」指先に強い痛みが走りました。なんと赤い光は触るととても痛かったのです。栗の針が指に突き刺さったようでした。しかし、指には針は刺さっていないし赤い光にも針はないのです。いたずらの神さまはとても不思議に思って、これをお家の洞窟に持って帰りたいと思いました。「なんとか持って帰りたいなぁ。でも持つと痛いしなァ。」また、しばらく周りを見回しているとあることに気づきました。どの光も木のかけらや木の棒にくっついているのです。そこで光のついた木を持ってみようと思いました。さっきはとても痛い思いをしたので、ツンツンと木の棒をつついて見ました。するとどうでしょう。「おう。これは痛くないぞ!」赤い光のついた木の棒を持ち上げてみると赤い光も木の棒にくっついて来ました。振り回してもなかなか赤い光はとれません。いたずらの神さまはこれを大変喜んで、お家の洞窟に持って帰りました。
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