アニメーション

 創作形態の一つであるが、筆者はこれを勧めない(もともと大学の専攻も含め、筆者の専門分野だったものがこれだが)というのも、明らかに労力に見合わないからだ。


 さて、ここは具体例を明示して話を進めよう。

 https://www.youtube.com/watch?v=eNnotOdHk5M


 こちらは8年前に筆者が原作・脚本(中略)監督を務めた作品「テユべスクの歌」である。1話の時間は5分だが、製作時間はというと半年もかかっている。制作スタッフともなれば、3話目の段階で述べ100人を超える大所帯だ(ちなみに現時点で最終話にあたる三話(30分)の製作期間は、さらに伸び5年)


 ではそれだけの時間と金をかけ、得られたものは何であるか、と言われれば、何も無い(せいぜいスタッフの貴重な時間を筆者が食いつぶし、そして筆者の借金が増えただけであろう)


 旗振り役の筆者がこんな事を言ってしまってはどうにもならない事は承知の上だが、結局はそういうオチだ(本当にみんなには申し訳なく思っているし、未だに呵責に苛まれている)


 ここまで聞いてそれでも尚、アニメがやりたいのだという諸氏に向けて以下に進む。とは言えロートルの、もう時代にはとっくに乗り遅れた老人のたわ言でもある。ソフトその他については、一線で活躍しているクリエイターのものを参考にするのが良いだろう。




□使用ソフト・機材

 After Effects 6.5、Photoshop CS、Light wave  ライトボックス・スキャナ


 ソフトと機材なんてものはこれで以上だ(総額150kほど)学生時代にアカデミックパッケージを買って以来、騙し騙し作っていた。「テユべスクの歌」発表当時はそれなりのクオリティだったかも知れないが、分かりやすく言えばジオンの残党軍。新型たる連邦のガンダムには到底及ばなかったという訳だ。




□オリジナル作品

 現状、自主制作アニメのオリジナル作品とは、言わばアニメーターの見本市の様なものだ。つまりイチローの如くトッププレイヤーでありながら、且つストーリーテリング、演出にディレクションと多岐に手がけられるかという、周囲や企業に対する、自身の売り込みの舞台となっている。


 片や筆者はというと、確かに人並み以上には絵は描けるものの、アニメーターのには遠く及ばない。言ってみれば文字寄りの人間だ(その自覚があったからこそ、大学で人を集めて制作を始めたのだ。なお仕上げや編集、制作進行で自身が絵を描く機会は減り、4年間で高校時代よりさらに画力は落ちた)




□アニメーター志望の方であれば、PVや短編を作る価値はある

 とどのつまり「アニメーターとしての素養が第一にあるのであれば、ウェブにアップして反応を観てみるのも良い」と言う事になる。


 例えば14年前であれば、新海誠監督作「ほしのこえ」の様に、絵がさほど上手くなくとも、個人で作る物語や世界観に拍手喝采が巻き起こったであろうけれど、現状は違う。商業アニメのクオリティも軒並み上がり、動画共有サイトに投稿される同人アニメの質も商業に引けをとらなくさえある。


 そうなると、動画共有サイトのインスタント性も相まって、質がバラけがちになる長尺の作品よりは、5分以内に収まった、質を濃縮したPVや短編が有利となってくる。具体的には7年前に発表された「フミコの告白」の様な。



 

□それ以外なら

 個々人の傾向によるだろう。あなたは昨今ならTRIGGERの様な、ポップに動くアニメに楽しみを見いだせるだろうか。見いだせるのなら職人方面の方と話が合うだろう。


 それが無理であるとしても、艦これやデレマス、ぐらぶるやガルパンといった世のブームの最前線に抵抗なくハマれているだろうか。ハマれているのなら共感性は多分にある。きっと大丈夫だ。


 だがもし。動きのあるアニメよりもストーリーに心が惹かれ、それも単純な護憲反戦では無くもっと複雑なやりとりや、大風呂敷の中に描かれる壮大な世界に思いを馳せているとすれば……多分あなたはこちら側の人間だ。悪いことは言わない。自主制作アニメに手を出すのはよしたほうが良い。




 最後にこの作品を貼っておこう。筆者が20歳の折に制作したアニメーションだ。https://www.youtube.com/watch?v=kqrUiJBrBmI


 タイトルは「今日も平和な終末を」

 戦後半世紀を経た日本に、大陸が属国を用いテロを仕掛け、やがて世界は混沌の渦にーという、なんというかアレな感じの作品である。


 ちなみにこの作品を発表した後、露骨に連絡が取れなくなった先輩や業界の方が数名おられ、実のところ相当凹んだ事を覚えている。


 しかし筆者としては、こういう作品こそを本当に作りたかった訳であるから、現在も尚、小説として再起を図るべく構想は練っている。


 くっ……それでもなおオリジナルをやりたいというのか……

 よろしい、ならば筆者と共に地獄に落ちよう……そしてそこから這い上がろうではないか……




□二次創作のススメ

 そもそもカクヨムを読んでいる時点でオリジナル寄りであろう事は百も承知だが、基本は二次創作やっとけば楽しいよ多分、というのが筆者の持論だ。


 例えば同じ絵師の同じイラストでも、人気ジャンルの二次創作のほうが圧倒的に伸びる状況を、皆さんは既にご存知の筈だ。


 アニメにせよイラストにせよ、反応があったほうが嬉しいに決まっているし、その時の快感がまた次の作品を作ろうというモチベーションにも繋がってくる。


 8年前ならボカロ、東方。最近なら人気ジャンルのトレスや二次創作。そっちのほうが見て貰える確率も遥かに上がるからね。


 もちろん人脈だって増えていくし、なんというか、わざわざ人の少ないオリジナル沼に、時間を浪費しに来る必要は無いよ。と筆者は思う。




□総括

 長くなってしまった。


 結論から言えば「時流に乗れる、ハイセンスなアニメーターの方なら、アニメに手を出すのも有りだぜ。ソレ以外はちょっと止めた方がいいぜ。せいぜい二次創作にしとこうぜ」というのが本項のまとめである。


 何を夢が無いと仰るかもしれないが、夢も糞も全て敗れたのが筆者である。敗戦国の老人のたわ言と理解して頂ければ幸甚だ。

 

 いや、小説が主たるこのサイトで、こんな話をする事に需要があったのだろうか。駄文失礼した。次項に移ろう。


 かしこ。

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