第34話 結界
「いくわよ」
「くらえ」
詩織と源二郎の2人が言継を攻撃する。
その攻撃をどのようにして防いでいるのか。それが魔術具による能力なのか。正行は横からしっかりと目をかっぴらき様子を見る。
何としてもヒントを見つけなくては。
言継を倒す戦略を立てるために。
まったく動くことができない正行としても2人が攻撃するサポートを何としてもうまくしなくてはいけない。それが自分にできる唯一のことなのだから。正行は自分にそう言い聞かせるのだった。
「ふふふ、それでいけるのか?」
言継は相変わらずムカつくほど冷静であり余裕であった。その余裕の表情がどうしてできているのか。
ここにいる全員はその裏を何としてでも探り当てなくてはいけなかった。
「……防」
「くらえ」
「はあああああああああああ」
2人が攻撃をする。
その前だ。
正行はその前の一瞬を逃さなかった。言継が言葉を発した。防。その言葉を言った。それを正行は聞いた。
「わかった!」
正行は、叫ぶ。
「結界だ!」
「え?」
「ん?」
正行の言葉に源二郎と詩織の2人が反応する。攻撃をしている最中だが、反応する。
2人の攻撃は案の定効いていなかった。だが、2人は理解した。
「ふふふ」
余裕そうでいる言継であるが、その額からは汗が流れている。先ほどみたいな完全の余裕がなさそうだった。
「結界か」
「確かにそれは便利だな」
正行が見出した結論。それは結界であった。結界の魔術具というものは存在している。だが、貴重である。すべての団の0.02%の団員が結界系の魔術具を持っていると言われている。ゆえに、結界系魔術具の使い手は貴重であるので組織においてかなり上の地位に就くことが多い。
言継もその例に漏れないとしたら。
「結界、か。私の魔術具の能力が本当に結界系だと思っているのか?」
言継はまだ強気で出てこようとしている。
だが、正行はもうすでに結界系だという自信の推察にかなりの自信を持っていた。正行は言継の様子をずっと見ていた。一見、余裕そうに見えるがその実焦りが見えていた。正行はそう判断した。
「ふうん。結界系ではないんだ」
詩織が言継に言う。
かなり挑発的であった。
言継からイラっとした空気が醸しだされている。
「ほお、私に言わせるつもりか。自身の能力を」
「うん。言ってくれないの?」
駆け引きが始まる。
詩織と言継の間で。
2人の言葉による駆け引きは果たしてどっちが勝つことになるのか。どっちが先に動き出すのか。
勝負の決着がいよいよつきそうであった──
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