第10話 衝撃



 妙議団本部会議室。



 正行と倫子の2人は詩織に案内されるがまま部屋の中に入って行く。


 部屋の中には妙議団の幹部、そして一般のメンバーの全員がすでに参加していた。



 「おお、今回は全員参加か」



 「正行君は遅れてきているのだから静かに席に着席しようよ」



 「それを言うなら倫子さんも俺と一緒に来ているから遅れているよね」



 「まあ、……そうだね」



 正行は倫子に指摘されたことをそのまま言い返す。


 倫子も自分が正行と一緒に来たということは事実なので強く言い返すことができずそのまま納得する。



 「はいはい。2人とも早く席に座ろうね」



 詩織が2人に着席を促す。



 「「はーい」」



 詩織の言葉に正行と倫子の2人は素直に従う。


 そのまま近くの空いている席を探して座る。ちょうど2つ席が空いていた。倫子の隣に正行は座る。


 詩織は団長であるため中央真ん中の団長席に座る。


 詩織が座ったことによりいよいよ今回の妙議団全員の集めた理由について語る。



 「さて、今回みんなに集まってもらったのは重大な作戦を行うからよ」



 『じゅ、重大な作戦』



 その言葉に全員が身を構える。


 重大な作戦とは一体何なのか。


 全員にはその作戦がどういうものなのか考える。


 本当に重大な作戦のパターンを全員思い浮かべている……ということはなく、実際に全員の頭の中で考えていることは何かというと。



 (ああ、これ絶対にどうしようもないことだ)



 全員このように考えていた。


 どうしてかと。


 それはいつも詩織がこのような会議を開くと大抵どうでもいいことを提案してきたからだ。


 例えば、前回の提案は何であったかと言うと、



 「これから全員で運動会をしまーす」



 『はっ?』



 これが前回全員を集めて行った重大な作戦の中身だ。


 そして、それから1週間後本当に運動会を実施した。


 だから、今回もまたバカ騒ぎをするのだろうとこの時全員は思っていた。


 妙議団の団員らは全員詩織の性格が分かっていた。だからこその全員共通の考えがどうしようもないことだと決めつけにかかっていた。


 しかし、詩織の言葉は誰も考えていなかったとものだった。



 「これから榛名団と全面戦争になります。各自、戦闘準備をしてください」



 『………………………………………………え?』



 その言葉は衝撃であったのだった。

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