第8話 移動
正行は倫子に秘密を握られている。
そのため倫子に従わざる負えない状況になってしまい諦めて妙議団の本部へと向かっていた。
「ふふふ、正行君は本当に素直だね」
車の中でのこと。
正行は依然として倫子にからかわれていた。正行としては倫子のことが嫌いではない。しかし、あまりにもからかわれ続けているととても悲しい思いになる。いや、悲しい思いというよりも正行本人にも分からないが男子としてやはり何か思うことがあるようだ。
「倫子さんは俺になんか恨みでもあるの?」
正行はいつも倫子にからかわれているためついそのことについて聞いてしまう。
どうしてこんなにからかわれているのだろうか、と。
「……内緒」
しかし、倫子は案の定そのことを言わなかった。
内緒と言い正行の質問に対して誤魔化した。
正行はそのことは想定内であったので特に驚くことをしなかった。安定の事だった。
「やっぱり、言ってくれないのですか?」
「ふふふ、そう簡単に私が素直に言うと思ったの……唐変木ね」
正行は倫子の言葉の最後の方はまったく聞き取れなかった。
「最後、何て言ったんだ?」
正行は聞く。
しかし、帰ってくる言葉はすでに予想できたものだった。
「内緒」
倫子は思いっきりの笑顔でそのように返事をした。
まったく、倫子には勝てないなと正行は思った。
車に揺られること30分程度たった。
着いた場所は群馬県安中市、富岡市、甘楽郡下仁田町の3市町にまたがる山、妙義山であった。
妙議団。
その名前の由来である妙義山のふもとに妙議団の本部がある。その本部が3市町のどこにあるのかは企業秘密である。近くには一般人に気づかれないように民家はなく、登山道の入口からも離れた位置に存在している。妙義山は岩山として有名なため大きな岩に扉が隠されている。
そして、近くに民家がない人里離れた本部へと正行と倫子は入って行ったのだった。
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