前橋エレメント

騎士星水波

第1話 プロローグ

 極東と言われているところに国がある。ご存じ日本国だ。

 その日本国にある地方公共団体は47都道府県。その中でも関東地方には東京都1都と神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県そして群馬県の6県がある。さらにさらにその中でも関東地方をさらに細かく分け、北関東に位置している群馬県。2012年度のブランド力では47都道府県中堂々(?)の47位。2013年度は46位。少し上がったがむしろ微妙。さらに、最新の2014年度では46位と下から2番目。どう見ても知名度は相当低いと言っても過言ではない。ネット上では未開の地。グンマー。グンマー帝国など言われており、アフリカの画像に群馬県とつけられて始末。まあ、ネタとしては最高であるがそこは群馬の名誉のためにも否定しておきたい。ただ、某群馬県選出国会議員や県知事が公認してしまっている以上これから先もこのネタは引き継がれることになると思う。というよりも、公式に群馬探検隊とか発足しているので洒落じゃない。

 しかし、群馬にはみなさんには知られていないことが多くある。焼きまんじゅう? 水沢うどん? 碓氷峠? 富岡製糸場? そうではない。この辺は有名な話だからいいとしておく。まあ、焼きまんじゅうは意外とメジャーじゃないという事実からは今は目を背けることにしておくとして、今回知ってほしいのは群馬では日夜日本の平和を守るため戦っている者たちがいるということだ─────


 群馬県の県庁所在地前橋市。

 市には何の自慢だか分からないが東京都庁に続いて日本第二位の高さを誇る群馬県庁が天を刺すかのように堂々とそびえ立っている。ただ、その周りには基本的には田んぼしかない。田んぼ以外にも一応は建物が建っていて市街地を構成しているが県庁のデカさを比べるとそれらはかすんでしまう。

 前橋市は群馬県の県庁所在地だ。一応は。何が一応かというと前橋市の土地の地価は全47都道府県の県庁所在地の地価の中でも一番低いというデータが残っている。それは、前橋駅中心がさびれてしまっているという悲しい現状もある。人口は約34万人。これは、他の県庁所在地と比べれば普通である。現に、34万人よりも少ない県庁所在地は存在している。しかし、群馬県には前橋市と匹敵するもう1つ都市がある。それがお隣に位置しており、永遠のライバルとしてよく知られている高崎市だ。

 前橋市と高崎市の対立というかライバル意識は昔からよく埼玉県における大宮と浦和の対立と一緒に語られてきた。この伝統的なライバル意識の理由はいくつか説があるのだが、無難な説としては明治時代からのものだろう。明治時代に群馬県が設置されることになった時にもともと県庁は群馬県域で一番発達していた高崎城がある高崎に置かれることになるはずだった。しかし、高崎城には軍の部隊が置かれることとなり、県庁の各機能は多くの建物に散らばっていた。それは、とても不便なものであった。そこで、明治政府に前橋の住民が働きかけて一時的に前橋に県庁が移ることになる。少なくとも、高崎の人にはそう思われていた。しかし、その後県庁が高崎のちに帰ってくることがなく、ライバル意識が出てきた──そういう話もあるほどだ。

 高崎市。

 高崎市の人口は約37万人。前橋市よりも多い。土地の地価も前橋よりも高い。前橋市にある中心駅である前橋駅よりもはるかに大きい高崎駅がある。高崎駅には新幹線が通っているだけでなく、上越新幹線と長野(行き)新幹線(正式名称北陸新幹線)の分岐点でもある。

 そんなこんなで前橋という市はとことん不憫である。先に述べた地価や新幹線のこともあるが、他にもヤ○ダ電気の本店のこととかいろいろと高崎に奪われてしまっている。さらに、他にも高崎の優位性を言うとしたら他の県の人。とりわけ、西日本の人に群馬県の県庁所在地はどこだ? といったような質問をしたら何て返ってくるか分かりますか? あれですよ、奥さん。高崎ですよ、高崎。前橋って小学校で習うじゃないですか。おかしいですよね。これじゃあ、やっぱり県庁所在地は高崎の方が……うん。


 さて、話が長くなってしまったがここまで前橋市についての最低限のことを学んでもらった。では、ここからが本番となる。


 ここから、前橋市で日夜この世界とは異なる別の世界─俗に並行世界お呼ばれているところから何の目的のためにこの世界に現れて日本を襲っているのだか分からないが、異界生物と呼ばれている謎の未確認、生態系不明、情報不足の生物を討伐する仕事をしている討伐師という職業がこの世界には秘密裏に存在している。その討伐師をしている主人公林正行はやしまさゆきとその仲間である谷野美久やのみく町田萌恵まちだもえの3人の物語を語ることにしていきたいと思う。

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