第百十一話 目の黒いうちは
俺の目が黒いうちは絶対に許さん!
そう怒鳴った父が、目を赤く泣き腫らしている。
私の夫は目が青い。
その目が黄色くなるくらい根を詰めて。
私を白眼視から守ってくれた。
祭壇の前に二人並んで、目を虹で染める。
私たちの目の黒いうちは、ずっと目に互いを映せますようにと祈る。
【 了 】
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